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歓声

ベッドで昏々と眠る主人に特に変わりはない。ただ、顔だけは昨日よりさらに腫れてるように見えた。病院の売店で間に合わせで買ったパジャマに着替えていた。

静かに呼吸していたのに、急に苦しみだして、モニターがけたたましい音をたてる。”赤い音”が見えるようなアラート音。

看護師さんたちはいつも忙しそうだ。
ナースコールを押しても、誰も来てくれるような気配がないので、あたりを探し回る。

「のどにつまっちゃったんですね。」

手慣れた様子で吸引機でさっと痰を取り除いてもらうと、苦しい表情が消えた。機械に制御された規則的でゆっくりとした息が聞こえて、ほっとした。

そして、また二人ぼっち。わたしがいなければ一人ぼっち。
時折、痰をつまらせているのだろうか。看護師さんはすぐに来てくれているのだろうか。

顔も見たし、とりあえず仕事に向かおうとしたところで、賑やかな声が聞こえてくる。看護師さんたちも集まっていた。

「よかったねー!」「本当におめでとう!」
「こんなに早く退院できるなんてすごい!」
「ありがとうございます!」

看護師さんたちに見送られて、その患者さんたちはそのまま部屋を出て行った。拍手が聞こえた。

あたたかくてやわらかくて晴れ晴れとしているのに、きりきりしてもやもやした。
わたしはこころがせまい。



最後まで読んでくださってありがとうございます💗 まだまだ書き始めたばかりの初心者ですが、これからの歩みを見守っていただけるとはげみになります。