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貧乏人が極悪人になる仕組み

 世界一の資産家で実業家、イーロン・マスクさんはTwitterを5兆円で買収しようとしている。Twitterに書き込もうとした際、使っていた言葉の一部がフィルターに引っかかったことがきっかけだ。彼は自由な言論の場を作ろうとしている。

 彼が自分に批判的な人をブロックしたり、テスラ社で社員が労働組合に入らないよう促していたりしていることは、多くの記事に書かれている。私からは今件だけの話ではなく、世界全体で起きている流れについて伝えたい。

それはお金持ちが「正義」を作っているということだ。

お金持ちの世界とつながった

 インスタで挙げたこの記事でも、ソーシャルメディアをビリオネアが掌握することへの疑問が投げかけられている。

 ちなみにビリオネア、というのはbillion、つまり10億の資産を持っているという意味で、日本だと10億円持っている人だが、アメリカだと10億ドル、つまり1000億円以上の資産を持っていることになる。要は混じりっけなしの超大金持ちということだ。

 彼らは当然、私たちとは違う世界で生きている。資産額だけでなく、見るもの、触れるもの、聞こえてくること、何もかもが異なるのだ。

 当然考え方だって異なってくる。アイデアを思いつく可能性さえ違うのだ。一般人が「Twitterは言論の自由が保障されていない、これは良くないことだ」、と考えたとしても、まさかTwitterを買収しようなどと考えつくはずもない。しかも5兆円で。

 私たち一般人は、本来そんな大金持ちの世界に触れることはなかった。しかし別世界に生きていた彼らを、SNSが私たちの世界につないだ。想像もしたことないようなキラキラした世界に、常に触れられるようになったのだ。それと同時に、お金持ちの世界の価値観が、一般人の世界の価値観に影響力を持つようになった

「正義」を決めるのは誰か

 イーロン・マスクさんは言論の自由が大事だと言っているが、それでも差別をあおるヘイトスピーチの類が許されないのは当然だろう。だが、問題は何がヘイトスピーチなのかを判断するのは難しいということだ。どんなに細かく法律で定めたとしても、白か黒かを判断するのは容易なことではない。

 それをいちいち裁判所が判断するわけにはいかないから、大半はTwitter社がそれを判断することになる。イーロン・マスクさんが5兆円も出して買収するのは、その判断基準に彼の価値観を反映するためだ。買収が成功すれば彼の言論がTwitterから制限される可能性は極めて低くなる。彼の価値観が、世界一大きな言葉のプラットフォームであるTwitterの正義の基準となるのだ。

 同じような流れはすでに、様々な分野で起きている。例えばヴィーガン(完全菜食主義)も、もともと健康法や好みの話だったはずが、セレブがやるようになって、現在は「道徳的に正しい生き方」として語られることが増えている。以前記事にしたように、肉食はそう遠くない未来、悪となるだろう。

 今や圧倒的な正義として広まっているSDGsもジェンダーも、民主主義も環境問題対策もすべて、そういう側面を持つことを忘れてはならない。確かに大切だし素晴らしいことではある。しかし光が強ければ影は濃くなる。私はその光がどこからきて、その結果どこに影ができるのか、見失わない人間でありたい。

お金持ちが決める正義の中で

 繰り返すが、ビリオネアたちは、その他のほぼ全ての人たちとは違う世界で生きている。

 彼らの価値観が世界の正義となり、お金がなくてそれに対応できない人間の価値観は、「怠惰」や「悪いもの」、さらには「存在しないもの」とする世界が作られつつある。多様性が大事、差別は許されないと言い続ける世界の中で、現にそれは起こっている。

 お金持ちが悪いと言っているのではない。私たち一般人も世界を作っている。みんながお金持ちのキラキラを羨み、価値観を真似ようとするから、お金のない人が悪の存在とされてしまうのだ。そんな人のことなんかどうでもいい、と思う人は、いつか自分がお金のない状態になったとき、その刃が自分に返ってくることを想像してほしい。

 一人一人が「人は人、自分は自分」という感覚を持てれば人生は充実する。SNSで他人のキラキラした生活を見るのをやめるところから始めよう。

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