もうひとつの「インターハイ」、全国定時制通信制サッカー大会


この時期、高校生のスポーツにおける一大イベント、高校総体が開催される。今年は福井県メインで北信越開催、来年は徳島県メインで四国で開催される。昨年の北関東開催はコロナウイルス感染拡大防止の観点から開催が中止されたことを考えると、今年の大会の多くの競技が無観客とはいえ開催されるだけ、まだ当事者にとってはありがたいことだと思います。
さて、このインターハイには実はもうひとつ「インターハイ」と呼ばれる大会が存在する事をご存知でしょうか?「全国高等学校定時制通信制体育大会」つまり、定時制や通信制の高校に通う学生によるスポーツの全国大会である。競技の数は少ないものの、れっきとしたインターハイである。
通常のインターハイは毎年開催地が変わりますが、定通制のインターハイはだいたい同じ開催地で行われることが多い。サッカーにおいては毎年、静岡市清水区(昔の清水市ですね)で開催されます。決勝は毎年に日本平(IAIスタジアム)でナイターでの開催と、清水サッカー協会が「サッカーのまち、清水」のプライドを賭けて毎年開催しているのかな?と思うくらいの力の入れようです。

ここ数年は32チームで行われていますが、今年は26チームでの開催です。そのため、1回戦はJ-STEPと蛇塚各2面で4試合づつ、計16試合を初日に行っていたのを、今年はJ-STEPの2面各5試合の計10試合に縮小された。なので、第1試合のキックオフ10:30から第5試合のキックオフ16:30(30分ハーフ)となり、初日の終了予定がなんと18:00という、全試合を観戦するには過酷な環境となってしまいました。まあ、この全試合を観戦し尽くしてやろうという強者は日本中探しても何人いるかでしょうけどね…(笑)おそらく、今年の大会が有観客開催ならチャレンジしてもいいのかな?などは思ってますけど…、まあ難しいと思うので辞めておきます←ただの言い訳?(笑)それくらい、個人的にはこの大会は出来れば毎年見ておきたい大会の一つです。

この大会のおもしろいところは、いろんな環境だったり選手がごちゃ混ぜになった「カオス」な大会だからです。一昨年まで4連覇した都立世田谷泉高校のような「ガチ」でサッカーやってるチームもあれば、なんとか11人、いや8人しか集められなかったけども参加しているチームがあったり。また、日系人かあるいは東南アジアや中南米からの出稼ぎで来日しているのかと思われる、外国人が多くいるチームがあると思えば、最近増えている広域通信制の高校だったり、またサッカーの強豪校の通信制のチームが出てたり、一昨年なんて女子の登録選手が登場し、さらに男子に混じって試合に出てもさほど違和感を感じなかったり…。そんな、チームも選手も実にバラエティ溢れるユニークな大会で、毎回「どんなチームが見られるだろうか」と楽しみな、そんな大会です。

ハッキリ言ってしまうと、サッカーのレベルは通常のインターハイとは劣ると思いますし、レベルの高い試合を見たいのであればハッキリ言ってプレミアリーグやプリンスリーグ、インターハイを見ていただいた方がいいです。この大会を通じて、サッカーの持つ多様性というものを少しでも感じてもらうことができれば、それに越したことはないのかな。個人的にはそう思うわけです。

さて、最後になりましたがトップに貼った画像のお話。私が初めて定時制通信制サッカー大会を見た時に遭遇し、衝撃を受けた豹柄のユニフォームを纏った某高校(校名は明らかにしませんが、某北関東の学校です)の様子です。こんな自由でユニークで多様性溢れる高校生の大会。ほら、ちょっとだけ興味が湧いたでしょ?(笑)

来年こそはコロナ禍も落ち着いて、また定通制大会を見に行けることと期待して、締めにしたいと思います。

第29回大会(2019年)で4連覇を果たした世田谷泉高校と1回戦で対戦し、0-29で大敗した宮城県代表の白石高七ヶ宿校。主に不登校の子達が、山形県他の県境近くの七ヶ宿町で寮生活を送りながら、勉学に励んでいるとのこと。

第27回大会(2017年)に出場した沖縄県代表の仙台育英沖縄キャンパス。ユニフォームは仙台の本校と同様、ライオンのエンブレムが付いてます。

第29回大会(2019年)に男子に混じってプレーした、女子選手。ごく自然にチームに馴染んでいて、何ら違和感を感じさせないプレーを披露した。もう一度、彼女のプレーを見てみたいです。


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