日本一過酷で残酷な大会を見ながら、選手を最後に後押しするのはサポーターの声である、と改めてそう感じた、というお話
毎年11月は、一年で最もお金を削がれる1ヶ月です。その前の10月も、全国社会人サッカー大会を見に行ったらそこそこの出費があるのですが、この月はそれに加えて体力とメンタルも一緒に削がれます。なぜなら、この1ヶ月でおおよそその年のシーズンが総決算されてしまうからです。
例えばJなら各カテゴリーの降昇格、つまり残留争いがほぼこの月で決まります。昇格プレーオフに行けるかどうか?あるいは残留か、はたまた降格か?といったこともほぼこの月で決まります。JFLもこの月で順位が確定して、自動降格か入替戦か、あるいは残留かが決まります。
地域リーグになるとややその過程が複雑で、優勝自体は10月の半ばまでには決まるのですが、全国社会人サッカー大会で上位に入れば、その先のJFL昇格を賭けた全国地域サッカーチャンピオンリーグへの出場権を勝ち得ることも出来ます。まあ、尤も全地域リーグで優勝もしていない、全社でも上位に入れなかったチームは、その時点で残念ながら今シーズン終了となります。
そして、晴れて全国地域サッカーチャンピオンリーグに出場したとしても、そこで勝ち上がらなければそのチームも今シーズンが終了となります。そんなシーズン終了を迎えると共に、ありとあらゆる歓喜と絶望感が渦巻くのがこの11月という月になります。
そのうえ今年は、長年JFLで見続けてきたソニー仙台の廃部、さらにはここ数年お世話になっている横河武蔵野FCの残留争いと、歓喜よりも絶望感や焦燥感の方が強くなりそうな、そんな1ヶ月になりそうです。
とは言いつつ、まずは見に行かないと何も始まらない。いうことで、一つ一つの試合を丁寧に見に行くことにします。出来ることは結局、それしかありませんので…
11/8 全国地域サッカーチャンピオンリーグ@ひたちなか市総合運動公園陸上競技場 VONDS市原 4-0 FC刈谷、飛鳥FC 3-2 ブランデュー弘前
第2試合については前回の記事の最後でちょっとだけ触れてます。下にリンクを貼っておきますので、そちらを参考にしてください。そのうえで、軽く補足説明をしておきます。
ここ数年、VONDS市原の試合を見る機会が増えてきました。なぜかと言うと、佐川滋賀で最後までプレーした清原翔平がこのチームでまだ現役としてプレーしているからです。彼ももうアラフォー(37歳)なので、いつ引退してもおかしくないのです。昨年まで現役だった、同じ年の奈良輪雄太も最後の年のプレーを見届けた以上、キヨも最後まで見届けてあげたい。そういう思いから、ついVONDS市原の試合を見に行ってしまうのです。
実は滋賀全社も見に行ったのですが、試合当日が大雨でとても写真どころの話ではなかったので、ここでは一切取り上げませんでした。初戦で、優勝したJAPANサッカーカレッジに3-3というVONDSらしからぬ大味な試合の末、PK負けを喫しました。終わった後に彼に声を掛けたら、第一声「申し訳ない!ダメっすね…。もう一回やり直しです」と言われてしまいました。サイドからトップスピードで突っ込んでくるプレースタイル、どんどん縦に放り込んでいく戦術、さらには超ロングスローからの失点(このキーワード覚えておいてください。試験に出ますから…笑)と、関東にはないプレースタイルのチームとの対戦だったことを考えると、なかなか対応は難しかったと思います。「それでも勝たないと…」という思いが彼の中に強くあったんだと思います。でも全社は、今のVONDS市原にとってはあくまでも通過点。最終的に地域CLで勝ってJFLに上がるのが目的と考えれば、ここでそういうチームと対戦できて、新たな課題が見つかったと思えばそれで良いんだと思いました。
そう、地域CLに出るチームの共通した目的は「JFLに上がること!」ただそれだけなのです。しかも昨年VONDS市原は、決勝ラウンドで2位となり沖縄SVとの入替戦の末、敗れて昇格を逃したのですから、今年こそという思いは他のどのチームよりも強いかもしれません。
そんなVONDS市原をひたちなかまで見にいく。実にサラッと書いてますが、これが結構困難でして…。というのも、まずはこの週の土曜日に武蔵野のアウェイゲームが沖縄であるのです。それに行くので、必然的に金曜日か日曜日のどちらかとなります(さすがに金、日の両方は無理でした…)。ただ、去年の経験から最終日はメンタル的にキツいと感じたので、今年は初戦の金曜日に行くことにしました。その、メンタル的にキツかったお話について読みたい方は、以下のリンクを参照してください。
今年の関東優勝チームは、必然的に1次ラウンドは関東開催の会場に振り分けられることが決まっていました。会場も、公式には出てませんでしたがひたちなかだろうという情報も聞きつけていました。しかし念のため、公式発表を待ってから改めてスケジュールを組んでみたのですが、第1試合のキックオフ10:45までに会場に着くには、当日の始発では間に合わないことが判明してのです…(汗)。確かに昨年のデンチャレひたちなか開催では、茨城空港から当日入りしましたが、必死に頑張っても11時キックオフの第1試合の前半20分過ぎに着くのがやっとでした(勝田駅からタクシーを使えば多少早く着いたかもしれませんが…)。今回はそれよりもさらに早い時間なので、前日移動しか間に合う方法はありません。しかも、よりによってVONDS市原の試合は3日間とも第1試合(笑)。はい、どの日に行くにしても前日移動が確定しました…。
前泊という手もあるのですが、都内のホテルは平日でも高いので出来れば前泊は避けたい。となると夜行バスになるのですが、水戸行きに乗ろうと思うと自宅を21時前に出てギリギリ。仕事上がりでそこまでの時間のリスクは負いたくない。東京行きならもう少し遅くても大丈夫ですが、カメラ機材とかの大荷物を持って平日朝のラッシュも避けたい。じゃあどうすればいいの?…実はいい手があるんです。寝台特急のサンライズ瀬戸・出雲を使うという手があるんです。これだと三ノ宮が24:11発なので、23時くらいに自宅を出ても十分間に合います。ということで、今回はサンライズのBソロで東京に向かうことになりました。
木曜日の夜中の三ノ宮駅。終電1本前で三ノ宮に着くと、今からサンライズに乗ると思われる、カートを持った人たちがちらほら。しかし大多数は仕事を終えて明日も仕事、と帰宅を急ぐ通勤客です。平日に休んで遊びに行く(いや、これは立派な「出張」です!笑)という優越感を抱きながら、接続待ちのために遅れた終電の到着を待って、数分遅れで三ノ宮を出発。一路、まずは東京まで!
サンライズには仕切りはあるものの個室ではない、のびのびシートには乗ったことありますが、個室タイプのBソロは初めてです。扉を開けで中に入ると案外狭く、思わず「狭っ!」と言ってしまいました。しかし、寝るだけなのでこれくらいのスペースがあれば十分ですし、またドアは内側からはもちろん、外側からもナンバーロックが掛けられるので、お手洗いや自販機に行く時も貴重品を室内に置いて行くこともできます(まあ、出来れば持っていった方が安全ですけどね…)。室内の照明も3つに別れているので、必要な照明だけ付けることができますし、ハンガー掛けの逆側には時計も付いているので夜中でもすぐに時間が確認できます。荷物を置くと入口付近がやや狭くなりましたが、見た目以上に居住感は良かったです。実にこれならプラス1万円出しても惜しくないかな?と思いました。去年の年末、栃木で開催された高専大会に行くのにサンライズのBソロを押さえた際は(その時は大寒波のために運休。高専大会自体に行くのも諦めざるを得なかったでした)ネットで買えなかったのですが、今回ダメ元でトライしてみたらサクッと買えたので、今後は利用頻度が増えるかもしれせん(笑)
サンライズでぐっすりと睡眠を取って、朝7時過ぎに定刻で東京駅に到着。ここからひたちなかまで移動です。そしてなんと、サンライズを降りたホームの向かい側に、今から乗る特急ときわ51号がやってくるという奇跡が…(笑)。おかげさまで東京駅の構内を大荷物を持って移動することなく、楽に乗り換えが出来ました。これもやはり、日頃の行いでしょうかね?←関係ありません!(笑)
実は前日の夜にえきねっとで特急券を押さえたのですが、10両ある特急ときわの窓側席が全て埋まっていました。出張と思われるスーツ姿の乗客も多く、中には大きなゴルフクラブを持った人も乗ってました。朝9時前に水戸に着く特急なので、何かと使い勝手がいいんでしょうね。そりゃあ、全席指定にしてもみんな乗りますよね…。いや〜、やっぱり実際に乗ってみないとその実態は分からないものですよね…
さて、そんな長旅の末に到着したひたちなか市総合運動公園。ここは陸上競技場よりも体育館がやけに立派なことで有名ですね(笑)いつ来ても「デカいな〜」と感心させられます。
2試合目については前回の記事でお話ししたので、今回は主に1試合目について触れておきます。
今年大本命と目されている関東王者のVONDS市原。関東リーグは盤石の戦いっぷりでした。途中、2位の東京23FCに勝点1差まで詰め寄られましたが、そこから再び突き放しての独走と、圧倒的な強さを発揮しました。そんなVONDS市原に対するのは、全社勝ち上がり組のFC刈谷です。この大会の常連で3年連続の出場、そして2年連続の全社勝ち上がり組…と、あまりいい響きではないですね(笑)。東海リーグでは終盤に開幕から首位を走るFC ISE-SHIMAから首位の座を奪いましたが、直接対決で敗れ惜しくも2位でフィニッシュ。それでも全社で勝ち上がるのですから、実力あるチームではないかと思います、、
下馬評では互角と思われましたが、VONDS市原が7分にあっけなく先制します。右サイドを軽く抜けた有永があげたアーリークロスを鈴木が頭で合わせます。その後もVONDSは攻撃の手を緩めることなく攻めます。そして23分に一木のゴールで追加点を決めます。こんなに簡単に崩されるのか?と思うくらい、本当にあっけなく決まった2得点でした。その後も市原が攻める時間が多く、逆に刈谷は惜しいシーンは一つあったかどうかという停滞した内容で前半を終えます。
相手のやりたい放題にされていたFC刈谷も、後半は気持ちを切り替えて1点でも返そうと攻めに出ます。しかし、堅守が売りのVONDSに対してサイドから単純なクロスしか上げられないので、いとも簡単にクリアされて攻撃が途絶えてしまいます。そして64分にVONDSが試合を決めるであろう3点目を決めます。その後、スタメンの前線の選手を3枚変えたVONDSは71分に、交代で入った加藤のゴールでダメ押しとなる4点目。刈谷に最後まで決定的なシーンを作らせないまま試合は終了。終わってみたら4-0という大差でVONDS市原が勝利。大量得点差に加えて、3連戦の初日に主力を途中から温存させられるという大きなアドバンテージも得たVONDS市原が最高のスタートを切りました。一方のFC刈谷は実に大きな得失点差-4を喫しての負け。苦しい残り2試合となってしまいました。
4-0と大勝したVONDS市原。リーグ戦では1-0、2-0という僅差での勝利がほとんどだっただけに、この4点差をつけての勝利には正直びっくりでした。FC刈谷の立ち上がりのプレーの軽さもあったとは思いますが、それでもそこを突いてキッチリとゴールを決める勝負強さは、昨年あまり見られなかったように思います。昨年の悔しさをバネに、取れる時に点を取るという姿勢がチーム全体に強く現れてきた証拠ではないでしょうか。守備に関しては昨年同様堅いです。そう簡単に失点はしないでしょう。大本命と言われているVONDS市原ですが、この大会でここまで盤石なのも珍しいかもしれません。ただ、油断は禁物。何が起こるかわからないこの大会。最後まで気を抜かなければ、今年こと「満願成就」となるのではないでしょうか?
全社の勢いはどこへ?とそんなことを思わせる、0-4という散々たるスコアで惨敗したFC刈谷。FC刈谷の一番悪い癖が出た試合だったと思います。というのも、実は滋賀全社でFC刈谷を2試合見たのですが、2回戦の東邦チタニウム戦の前半はこの試合同様、FC刈谷はほぼ何もできないまま終わりかけてました。ただ、ATにラッキーな先制点が決まったから後半はいつも通りの試合運びが出来るようになりましたが、もし前半無得点だったらこの場にいなかったかもしれない、そんな内容でした。その翌日のヴェロスクロノス都農戦も、前半に都農のDFの要だった濱口が退場して数的優位になるも後半に追いつかれてPK戦にまでもつれ、ようやく勝ち切りました。初戦は大阪府リーグのチームとの対戦でしたし、今年のFC刈谷の勝ち上がりはややラッキーな面もあったのかな?と思いました。
たしかにツボにハマった時の強さはあるのですが、裏を返せばハマらなかったらそれほど強くないことを、この試合が証明してしまったようにも感じました。それが、東海リーグを勝ち切ることができなかった要因ではないでしょうか。2戦目のブランデュー弘前には4点差を跳ね返すべく7-0と大勝するも、最終戦で飛鳥FCに完全に押さえ込まれて0-2と完敗。強い時と弱い時の落差の激しさが今年のFC刈谷の実態だったのではないかと、1次ラウンドを終えた率直な感想でした。
2試合目ですが、ざっと振り返るとまずは飛鳥FCがCKから先制。その数分後に弘前が追いつきます。40分過ぎに再び飛鳥FCが同じくCKから突き放して前半終了。後半、弘前が攻める時間が続き85分に同点になります。そのままドローかと思われたATの90+4分に飛鳥FCが勝ち越しゴールを決めて3-2で飛鳥FCが勝利を収めた試合でした。
85分に再び追いつかれながら、ATのラストワンプレーで勝ち越したFC飛鳥。勝ち越して迎えた後半、やや弘前の攻撃に対し受けに回る時間が長く続き、苦しい展開となりました。さらに、ボランチでいい働きをしていた北田が足を攣って交代。さらに押し込まれる時間が続く中での失点。気持ちが折れかけたところで、攻撃の核となる清川が決勝点を決めて勝つという、チームの勢いを付けるには最高の試合となりました。しかもこのゴール、終盤に交代で入った瀧上と金蔵がお膳立てしたチャンスだったことも、チームの勢いをつけるにはいい流れだったと思います。
2戦目のVONDS市原戦も終盤まで0-0と粘り、敗れはするものの選手たちには「やれる!」という自信に繋がったのではないでしょうか。その流れを受けてのFC刈谷戦は完勝とも言える内容で勝ち切り、他のグループの結果より2位の最上位チームとして決勝ラウンド進出を決めました。その老獪な戦い方は、まさに前回の記事で書いたようなベンチワークの勝利と言えるのではないでしょうか。決勝ラウンドに進出した他のチームからすれば、実に厄介なチームが来たなと言った感じだと思います。
2度に渡り追いついたものの、ラストワンプレーでの痛恨の失点で敗れたブランデュー弘前。東北リーグをぶっちぎったその実力は十分発揮された試合だったかと思います。やや攻撃に雑な部分はありましたが、それでも何度も飛鳥FCが冷やっとするシーンが何度もありました。ただ、やはり「負け方」があまり良くなかったかもしれませんね。それが証拠に、翌日の試合は得失点差を挽回しようとするFC刈谷の餌食となってしまい、0-7というこの大会でも稀に見る惨殺劇での敗戦。2日目での敗退が確定しました。最終戦となったVONDS市原戦は、相手のオウンゴールというラッキーな先制点がありながら、後半に逆転を喰らい結局1勝も出来ずに敗退することになってしまいました。たとえ東北でぶっちぎったとしても、全国では簡単に勝たせてくれない。それを実感しただけでも収穫になったのではないでしょうか。
と、初日から実に内容の濃い試合でした。こんな濃い内容があと2日も続くと思うと、実にしんどいですね…。
ということで、まず初日を終えて一旦帰宅。茨城空港から帰路に向かいます。その前に、水戸駅改札を出てすぐ隣にある「いばらき地酒バー」で軽く打ち上げ。立ち飲みで試飲がてら、安く飲めてツマミも美味いとくればもう、ここに立ち寄るしかないでしょう!水戸に来た際は、是非ともお立ち寄りください(笑)
11/9 JFL@糸満市西崎陸上競技場 沖縄SV 4-0 横河武蔵野FC
気温15度のひたちなかから、翌日は気温29度の沖縄へ。体がおかしくなるわ!と思いつつ、前日夜から降り続く奄美、沖縄本島北部豪雨の影響を受けながら朝10時過ぎに那覇空港に降り立つと、那覇市内は雨模様。時よりかなり激しく降ったと思うと、急に雨が小康状態になるという不安定な天候でした。那覇市でも南の方に位置する那覇空港からさらに南の糸満市へは、車で20分もあれば着くので渋滞で時間が読めないバス移動よりもタクシーで移動、ということで空港からタクシーで糸満市内へ向かいます。
まず向かったのは、今日の現場のある西崎陸上競技場のすぐそばにある、泡盛まさひろギャラリー。焼酎の酒蔵であるまさひろ酒造の工場兼直販所です。ここで泡盛の試飲ができるということで古酒の5年もの、8年もの、10年ものをそれぞれ試飲。さらに別のものもいただき、8年ものの泡盛とクラフトジンをお土産で購入。外に出る頃には雨はかなり弱くなっていました。
次に向かったのは、かつて甲子園を沸かせた栽監督が長年指揮していた沖縄水産高校。校内にはグラウンドとともに両翼100mの野球場があり、かつての強豪校らしい佇まいが残っていました。沖縄県の高校野球、今はエナジックとか日本ウェルネスとかの新興勢力と沖水以前からの強豪だった興南高校が中心です。そこに再び割って入るのは難しいかもしれませんね…
この日の現場の、糸満市西崎陸上競技場ですが、私にとってここはどうしても来ないといけなかった場所でした。というのも、佐川滋賀のサポーター時代の2010年か2011年だったかにFC琉球のアウェイゲームが、ここ糸満市西崎陸上競技場で開催される予定だったのです。しかし直前になって、ピッチコンディション不良のため会場変更されたのです。以後この日まで、糸満で試合が組まれることはありませんでした。つまり今回の沖縄遠征は、私にとって「幻の糸満開催」という忘れ物を取りに来たというわけです。
そんな糸満市西崎陸上競技場。7月に行った豊見城市の陸上競技場に負けず劣らず、ボロい…、いや味わい深いスタジアムでした。スタンドの上段には屋根があって、雨もちょっとくらいなら凌げるのでまあまあ快適かな?と。ただ、トイレが絶望的に酷かったですが…(笑)
とうとう最下位ミネベアミツミと勝点3差まで詰め寄られ後がない武蔵野ですが、この日も序盤から低調な入りでした。ただ、沖縄SVもそんなに出来がいいわけでもなく、なんとなく過ぎていった20分過ぎ。中央からDFラインを破られて、沖縄SVの青戸にあっけなく先制ゴールを許します。その6分後にはエリア外から放たれたシュートがエリア内にいたDFのでに当たりPKを献上。それを再び青戸が決めて2-0。さらに終了間際の44分にも失点。0-3と武蔵野にとって絶望的なスコアで前半を終えます。
後半になって、今季限りで引退を発表した石原や鈴木裕也などのベテランを入れて、チームに喝を入れますが、それが効いてたのも後半15分くらいまで。それ以降は沖縄SVが試合の主導権を握ったまま、試合は進んでいきます。そして終了間際の89分、代わって入ったばかりの儀保にダメ押しの4点目。沖縄国際大時代から見ていて、チームを転々としてもどこかで個人的にずっと掛けていた儀保くんのゴール。「個人的には嬉しいけど、今のこのタイミングで君のゴールは見たくなかったよ…」と思わず呟いてしまいました。試合は4-0で沖縄SVの勝利。翌日、ミネベアミツミがHonda FCに勝ったことで、得失点差で武蔵野は最下位に転落。この日の試合の内容を見る限り、残り2試合で残留圏内に戻れるかすら怪しいとも思える、そんな試合でした。
まあ、兎にも角にも武蔵野が酷すぎました。最初の失点シーンも、3点目の失点シーンも人数は全然足りているのに、全く誰も反応できていない。ここまで酷いか、と思うくらいチーム全体が動けなくなっています。技術的とか体力的とかではなく、メンタル的に限界に来ているのかもしれません。それくらい非常にヤバい状態です。これがまたリーグの中盤とかならそこまで心配しないのですが、リーグはすでに最佳境、あと2試合しか残ってないのです。まだ幸いなのは、仮に最下位で確定したとしても自動降格ではなく入替戦に最後の望みを繋ぐことができること。それでも、今の状態ではとても入替戦で勝てるとは到底思えません。
しかも次節のソニー仙台戦は精神的心柱の石原が出場停止。最終戦はアウェイでHonda FCとの対戦です。勝てるどころか、勝点すら取れるかどうかも怪しいです。そして、よりによって武蔵野と勝点で並ぶ14位クリアソン新宿と15位ミネベアミツミが武蔵野vsソニー仙台のちょうど真裏で直接対決です。つまり、確実にどちらかが勝点3、もしくは両チームが勝点1つづを積み上げる計算になるのです。武蔵野が残留するためには残り2試合で、得失点差も考えると最低2は必要となります。今の武蔵野に廃部寸前でチーム全体の士気が高まっているであろうソニー仙台と、順位こそは高くないが明らかにチーム力で上回るであろうHonda FC相手に引き分けに持っていけるとは言い難いです。
サポ自身がそんな弱気なことを言ってはいけないのですが、この日の内容ではライター目線からすれば入替戦回避はなかなか困難ではないかと言わざるを得ません。それでも最後まで諦めず、希望を捨てずに選手たちには闘ってもらいたいし、サポーターとしてフルパワーでそれを後押ししたい。もはやそれしか出来ないのですから…。
絶望的な敗戦と、それに伴う激しい焦燥感に駆られながら、試合終了後すぐにアプリでタクシーを呼んで、逃げるように会場を後にしたのでした…(別に逃げたくて急いだんじゃないんです。飛行機の時間が16:40だっだだけなんです…笑)
11/10 全国地域サッカーチャンピオンリーグ@松江市営陸上競技場 福山シティFC 0-1 JAPANサッカーカレッジ、福井ユナイテッド 0-0 北海道十勝スカイアース
ジェットコースターのように駆け巡ることとなった3日目。この日の目的地は島根の松江です。以前からお話ししているように、関西から山陰地方に行くなら断然飛行機が楽、ということで今回も行きは飛行機です。こういう時のために買い溜めしているJALの株優を使って、伊丹20日7:10出雲行きで移動です。
出雲空港は何度となく来ています。というのも、JALのマイル修行期間中に何度となく「回数稼ぎ」の為にここに降り立ったからです(笑)。当然、出雲空港から松江市内に行くのも慣れたもんです(笑)。到着した松江駅にあるシャミネの中も手に取るように分かります(笑)。そんな馴染み深い?松江で見る地域CL、実は2回目です(出雲開催も含めると島根県は3回目)。そして会場である松江市営陸上競技場も、隣の補助競技場も含めると今回で6回目となります。いったい何回来てるんだ?って話ですよね…。
ま、そんな松江市陸で行われる地域CL1次ラウンド最終日。実はこのグループは混戦模様でして…。福山シティFCと福井ユナイテッドは共に勝点4、得失点差で福山シティが1位。そして3位の北海道十勝スカイアースが勝点3。そしてこの日、福井ユナイテッドと北海道十勝スカイアースが直接対決。ということで、1試合目の福山シティFCvsJAPANサッカーカレッジの結果次第では北海道十勝スカイアースにも1位の可能性があるという、実に激アツな展開が予想されます。
昨日、一昨日とは違いややどんよりとした雲の下、4チームの運命を決める試合が始まりました。まずは第1試合。ホーム扱いとなる福山シティFCと全社優勝したものの、2戦2敗で予選敗退の決まったJAPANサッカーカレッジとの試合です。
福山シティは5月の天皇杯で見た時は、全体的に躍動感ある動きが目につきました。地域レベルではかなり強いという印象でした。しかし、先月の全社では都リーグのSHIBUYA CITY FCに初戦で負けるという、地域チャンピオンがやってはいけないような試合をやってしまいました。それもあって、個人的にはあまり「買ってません」。あれから3週間足らずで修正できたかどうか、と言ったところが注目ポイントでした。
全社優勝しながら2連敗したJSC。スピードと後方からのロングボール戦術、そして町田ゼルビアを思い出させるような超ロングスローが特徴的なチームです。この試合が最後、ということで本来のサッカーが出来ると、そこそこいい勝負になるのではないかと思います。
試合は立ち上がりから、勝たないといけない福山がまずは攻勢に出ます。しかし、JSCはしっかり守って凌いでいきます。しばらくこの流れが続くかと思われましたが、均衡はあっけなく崩れます。11分、JSCのスローイン。全社のVONDS市原戦でもゴールが生まれた、5番篠田の超ロングスローを10番渡辺が頭で合わせて、JAPANサッカーカレッジが先制します。思わぬ失点に慌てた福山シティ。まさか、この大事な1戦でビハインドを許す展開になるとは、というところでしょう。それでも福山シティは追いつこうと反撃を試みます。JSC陣内での時間が長くありましたが、JSCの堅い守備の前に福山シティは前半を1点ビハインドで終えます。
最低でも同点、さらに追加点を奪って勝ち切りたい福山シティですが、試合が進むにつれて徐々に動きが重くなり、また特にキックの精度が格段に落ちていきます。ボールを奪っても全体の押し上げは遅く、パスもショートレンジはまだしもミドルレンジやロングレンジはコントロールができないくらいの酷い状態。パスも繋がらない、思うようにチャンスも作り出せない。そうして無駄に時間と体力だけを消費していきます。対するJSCもプレーの精度は決していいとは言えず、後半途中からは追加点を奪えるようなチャンスすら作れなくなりました。結局、後半は共にゴールを決めることはできずそのまま終了。JAPANサッカーカレッジが最終戦を勝利で飾り、天皇杯での活躍や全社優勝は決してフロックではなかったことを証明できた、そんな試合でした。そして、負けた福山シティはこの時点で1次ラウンドでの敗退が確定。この試合をもって、2024年シーズンが終了しました。
負けた福山シティFCですが、今年こそ本命だろうと世間ではそう目されていたこのチームでした。たしかに私も5月の天皇杯を見た限りではそう思いました。しかし、その後の中国リーグのスコアを見ながら、そして滋賀全社でのSHIBUYA CITY FC戦での敗戦を見て、福山シティFCは勝ち抜けることはないだろうと思っていました。そしてそれを確信したのは、試合当初から感じた選手の動きの重さでした。選手にとって、おそらく未知の境地であろう3連戦の3日目。頭では動かないとと思っていても、実際は全く動けていないし、足も前に出ない。いつもなら正確に蹴れるはずのキックの制御もできない…。それが側から見ている素人でもわかるくらい、疲労度はMAXに達していたように思いました。
リーグ終了後から地域CLまでの最後の公式戦となる全社を、今年だけでなく3連連続初戦敗退している福山シティFC。リーグでもその他の公式戦でもなかなか経験しないであろう3連戦というにものに対する、選手たちの耐性のなさが敗因の一つと考えられます。そして、そういた事態を出来るだけ回避させる必要があるにも関わらず、それを回避出来なかった時点で、現場やスタッフ含めたチーム全体のマネジメント能力の欠如と言ってもいいかもしれません。福山シティFCが来年以降、同じ過ちを犯すようでは今後「中国リーグで無敵」だけのチームとなってしまうでしょう。そうならない為にも、今後はチームトータルでのマネジメント力の強化を図るべきでしょう。
最後に、福山シティFCの DFラインを締めていたベテランの39番代健司。彼はプレミアリーグが始まった年に1年だけリーグにいた広島観音の10番で、インターハイ優勝メンバーでした。その後、水戸でJリーガーとしてのキャリアをスタートさせた後、いろんなチームを転々として今年、ようやくレンタルながら地元のクラブに戻ってきました。
彼の使命はクラブをJFLに昇格させること。しかしそれは未達に終わりました。それでも、肩を落として泣く若い選手の肩に手を置き、そっと寄り添う姿を見て、少し切なくなってしまいました…
勝ったJAPANサッカーカレッジですが、こちらも3連戦の疲れは否めなかったです。でも、そういう時のセットプレー、篠田の超ロングスローが実に有効でした。ロングスローが出来る選手は各チーム1人くらいはいるでしょうが、あれだけの距離を投げられる選手はそうそういないでしょう。情報として入っていたとしても、果たしてキチンと対応できたか?と言われると難しいでしょう。しかも、立ち上がりとなると尚更困難です。先制後は福山シティFCに圧倒的に攻め込まれますが、天皇杯の名古屋戦のような強度のあるチームの攻撃を跳ね返し続けたという自信が、選手たちを後押ししたようにも思えます。「練習でやったことないことを本番でやっても必ず失敗する」ということをよく耳にします。経験したからこそ体現できる、この試合に関してはまさにその一言に尽きるのかもしれません。3連戦を経験しておらず、さらにリーグ中はリードされることがほぼなかった福山シティFCと、3連戦は愚か5連戦を経験し、さらにリードしてから強い相手に攻め続けられるという経験をしたことあるJAPANサッカーカレッジ。そんな経験のあるなしが、この試合の勝敗を大きく分けたように思えました。
天皇杯の勝利から、学校への入学問い合わせや出願が例年よりもはるかに増えたということを耳にしました。来年は今以上にいい選手が入ってくるかもしれません。来年以降の活躍も楽しみです。
福山シティが負けたことで、負けなければ1位が決める福井ユナイテッドと、勝てば大逆転で1位となる北海道十勝スカイアースの1戦。この試合は序盤から激しい当たりの連続で、前半の途中には接触プレーを巡って両チームの選手がピッチ内で激しい口論となるほどの熱い試合でした。そんな熱い試合とは裏腹に、内容としてはやや低調なものでした。十勝は福井のゴール前まではなんとか来れても、そこから福井の守備陣に行く手を阻まれます。対する福井もサイドからの攻撃で崩しにかかりますが、得点には繋がりません。前半終了間際のゴール前での混戦も、十勝がクリアして0-0で前半を終えます。
後半は、ほぼ攻撃が出来なくなった十勝を福井がフルボッコ状態にするという展開でしたが、そんな福井も3連戦の疲労から押し上げがなかなか出来ず、効果的なチャンスを作り出すのも難しくなってきました。こういう試合を決めるのはミスかセットプレーというのが定番ですが、両チームともミスというミスもなく、さらにセットプレーも冷静に対応。十勝のラストのCKにはキーパーも上がって臨戦体制を取りましたが、これも福井 DFが凌いでそのまま両チーム無得点で試合終了。福井ユナイテッドが苦しみながらも、最低限の勝点1を積み上げて1位となり決勝ラウンド進出を決めました。
まずは最低限のドローで決勝ラウンド進出を決めた福井ユナイテッド。勝点1とはいえ、実に大きな勝点1となりました。これを取れるか取れないかで、天と地くらいの差が出てくるのが、この地域チャンピオンリーグの恐ろしさです。十勝の粘り強い守備に苦しみながらも、取らないといけない勝点1をちゃんと取れた福井ユナイテッドは、やはり地力はあるチームと言えるでしょう。
特に目を引くのは、予選を勝ち上がった4チームの中で唯一3戦無失点という堅い守備力です。勝ちきれなかったとしても勝点1を拾えるかどうかが、残り3試合では重要となるでしょう。そういう試合展開を他のチームに見せつけられたのは、大きなアドバンテージとなるでしょう。
ただ気になるのは、1次ラウンド3試合で1得点という攻撃陣の不振っぷりです。特に今年6月に見た時に脅威と感じた高貝のブレーキです。JFL昇格を目指す福井ユナイテッドにとって残り3試合、彼の復調は昇格への絶対条件と言えるでしょう。最少得点差で勝ち抜けられるような、そんな甘い戦いには決してならないでしょう。この1週間と少しで復調できるかが福井ユナイテッドの鍵となるでしょう。
勝てば逆転で決勝ラウンドに進めたはずの北海道十勝スカイアース。でも、やは。実力的にはやや難しかったようです。そもそも、北海道リーグのレベへが他のリーグと比べてやや劣るという側面はあります。さらにこの日は最もハードな3戦目。パフォーマンス自体も落ちていたからそう見えたのかもしれません。それでも、今年の北海道リーグは中盤から北海道十勝スカイアースの独走状態となりました。ここ数年の北海道リーグは、北海道十勝スカイアースとB TOP北海道の2チームと他のチームとの実力差が特に激しく、この両チーム間で勝点4差付いてしまうとほぼ逆転は難しい。そんな「ぬるま湯」とも思える環境の中で全国にも通用するチームを作ることは並大抵なことではないでしょう。
北海道のチームが最もJFLに近づいた2012年。地域決勝で3位となったノルブリッツ北海道は、JFL昇格を賭け栃木ウーヴァとホームアンドアウェー(と言っても、開催時期が12月上旬でノルブリッツ北海道のホームゲームを北海道で行えなかったので、実質は栃木の「ホームアンドホーム」となりました)に臨みました。私は2戦目を観戦しましたが、栃木ウーヴァとノルブリッツ北海道との実力差はやや大きく、またノルブリッツが1戦目に2-1で勝利していたこともあり、前線に1人残してあとは自陣に引いて残り90分間を守り切ろうという、極めて現実的な戦い方を選択しました、この日の北海道十勝スカイアースの後半のように…。結局栃木ウーヴァに追いつかれ、PK戦で敗れてしまいましたが、もしあの時ノルブリッツ北海道が勝っていたとしても、翌年JFLで戦うだけの戦力を揃えることが出来たかと言えば、厳しかったのではないかと思います。昇格できたとしても、果たしてどこまで通用したのか…。それを見たかったような、見なかったから良かったのか…。
あれから12年。この日の北海道十勝スカイアースの戦い方は、あの時のノルブリッツ北海道と重なる部分が多くありました。この12年間で、北海道と他の地域とのレベル差はほぼ変わってないように見えました。いや、北海道のレベルはかなり上がっていると思うのです。でも、それ以上に他の地域もレベルが上がっているので、その差がなかなか縮まらないのでしょう。それでも彼らは、これからも戦い続けていくことでしょう、北海道のサッカーのため、そして自分たちのためにも…。
そしてもう一つ。このチームにはコンサドーレ札幌のアカデミー出身者が何人か、メンバーに名を連ねています。ボランチで攻守の要を担った7番の中原くん、 DFを統率していた4番内山くん、そして前線で体を張り続けて孤軍奮闘していた24番の下田くん。内山くんはトップに昇格するも活躍できず、中原くんは一度はガンバ大阪にレンタルで「出世」したり、ベガルタ仙台で活躍したりもしましたが、キャリアの終盤にまた北海道に戻ってきました。そして下田くんは、関東の大学に修行に出るもトップには戻って来れず、地域カテゴリーのチームを転々と渡り歩き、彼もまた再び北海道に戻ってきました。他にも旭実や帯北、岩教大出身の子達もスタメンに名を連ねています。卒業後もまだ高いレベルでサッカーを続けていきたい。そう思う北海道出身の子達がプレーを続けていけるクラブがあること、それがまずはこのクラブが存在する意義と言えるでしょう。その上でチームのレベルが上がっていき、ゆくゆくはJFL昇格となればそれに越したことはないでしょうか。そんなことを思いながら、松江を後にしました…。
たまたま、出来て間もないコンサドーレ札幌というクラブと出会い、それから北海道のサッカーのことは常にどこかで気にかけるようになりました。4年前に栃木の地域CL1次ラウンドでみた時は、まだ声出しとも言えないサポーターしかいなかったように思います。それが4年経って、ちゃんとした声出しサポーターがいて、さらにユニフォームを着用したサポーターが何人も遠く松江まで見に来られてました。そして、みんな一緒に声や手拍子でスカイアースの応援をされていました。そうした声や手拍子が選手たちを後押しして、勝てはしなかったものの福井相手に意地のドローにまで持っていったように感じました。
選手を最後に後押しするもの、それはサポーターの声
そうです、この3日間で強く感じたのは「最後の最後で選手の背中を後押しするものは、なによりサポーターの声援であり手拍子である」ということです。
初日の飛鳥FC。いつも太鼓を叩きながら声楽家と間違えるようなテノールの美声を響かせるサポーターさん。優勝の決まった桃源郷で話を伺うと、身内に不幸があり地域CLの1次ラウンドがちょうど四十九日法要と重なるため、どうしても来られないとのことでした。でも代わりに、普段太鼓もリードもほとんど取ったことないであろう若い子が、率先して声を出して応援していました。そんな彼の応援が、最後の最後の清川の決勝ゴールに繋がったかもしれません。最終日、決勝ラウンドに行けないと確定したJAPANサッカーカレッジのスタンドには、学校関係者かどうかは定かではありませんが、太鼓を持って応援するサポーターらしき人たちがいました。さらにその近くにも、その太鼓や声に合わせて手拍子や声援を出す人たちがいました。中には同じ北信越リーグの福井ユナイテッドのサポーターもいたかもしれませんがそれでも彼らの声援が、リードしてからの80分を耐え忍ぶだけのパワーになったのかもしれません。
「たとえ声を出さなくても、現地に見にいくだけでの選手たちには心強い応援になります」と常日頃から言っていますが、苦しい時に本当に選手の力を振り絞らせるのは、やはりサポーターの声や手拍子です。選手は試合前の練習やその前ににスタンドを見て、サポーターの存在にはおそらく気づいているでしょう。でも、試合が始まるとその存在を意識しなくなる瞬間があります。プレー中は視覚に入らなくなりますし、そもそもプレーに集中してしまうとその存在を忘れてしまうでしょう。でも選手たちは耳からは、聴覚からはプレーに集中していたとしてもその存在が確認できるのです。プレー中、選手たちはピッチ内のあらゆる声や音にまでアンテナを張ってプレーしているから、サポーターからの声や手拍子はしっかりと聞こえているはずです。本当に選手に力を貸したいのであれば、試合開始から終了の笛が鳴るまで、サポーターは声を出し続け、手拍子を打ち、自分たちの存在を選手にアピールする必要があるでしょう。
当然ながら、それでも結果が伴わないこともあります。たとえそういう残念な結果になったとしても、自らを責める必要はありません。また、選手を責めたくなる気持ちもあるでしょうが、精一杯戦ったのであればそれもまた結果として割り切る必要もあるでしょう。勝負事は相手がいる以上、どう足掻いても望まない結果を招くこともあります。それを受け入れるのもサポーターとしての大事な役割だと思います。それが「真のサポーター」と言えるのではないでしょうか。
私は11/16、武蔵野のホーム最終戦に行ってきます。これをアップする頃にはその結果は出ていることでしょう(結果についてはあえて書きません)。もしこの試合に負けることになれば、入替戦回りが濃厚となる可能性が高くなるでしょう。そして私は、この試合を以て武蔵野サポーターとして今シーズンのラストゲームとなります。リーグ最終戦は、旧JFL時代からいつも隣を見ると「すぐそばにいた」ソニー仙台の最期を看取ってきます。もし武蔵野が万が一入替戦に臨むことになったとしても、対戦するであろう地域CLのどのチームには何かしらの思い入れのあるので、誠に勝手ながらどちらにも肩入れすることはできません。後は残り試合に行かれる方々に全てを託すのみです。そのため、私のサポーターとしての魂はこの日、ムサリクに置いて帰るつもりです。いかなる結果に終わろうとも私自身は悔いは残りません。ただ私は、遠い仙台の地で吉報を待つのみです。
最後の最後、敵地都田でサポーターが気持ちをひとつにして戦うことが出来る、いや、戦ってもらえることを信じたいです。今こそ、サポーターの力を見せてもらいたい。そう思うのでした…
追記
試合後、泣きながら声を震わせて、それでも必死に一言一句絞り出しながらサポーターの前で最後の挨拶をしていた、福山シティFCのゴールリーダー。その姿を見ながら、声出しとしてほぼ未経験にもかかわらずここ2、3年頑張って武蔵野のサポーターとしてコールを切ってもらっている彼が、今後の試合において同じような状況にならないことを祈りつつ、でもその反面、そんな彼にいろんな重圧や責任を背負わせてしまってはいないだろうか?という自責の念に駆られています。
勝負事である以上、どこかで誰かに必ず「それ」が回ってくるということはよ〜く理解しています。でもそれが「身内」から出ないでほしいと思うのは、サポーターとしての単なるわがままなんでしょうか?そんな思いを抱きつつ、あと数週間過ごしていくのです。そして私にはあと数週間後、いつもの「あのプレーオフ」が残っています。頼むから今年はせめて現場には行かせてくれ!金曜日、どうしても行けなくなったから…