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"absent until Monday"はいつまで不在?

『5時まで待ちます』『水曜日まで東京にいます』など、日常生活で時間の区切りを表現することは多いです。そして、これらの表現がuntilを使って英語で表現される場合、『いつまでか』が曖昧になりやすいです。英語の前置詞untilについてまとめてみました。


untilの誤解

untilは『〜までずっと』という日本語訳が当てられることが多いです。実際、以下のように使用されます。

I will wait for you until 5 o'clock. 5時まで待ちますよ。
I will be in Tokyo until Wednesday. 水曜日まで東京にいます。
I will not be free until Friday. 金曜日まで暇ではない。
They were happy until the war occurred. 戦争が起こるまでは彼らは幸せだった。
You can take your work vacation until Monday. 月曜日まで休暇を取れる。

ここで疑問が生じます。『You can take your work vacation until Monday(月曜日まで休暇を取れる)』と言われた場合、月曜日も休めるのでしょうか。つまり、『until ◯◯』という表現は、時間◯◯を含んでいるのでしょうか。X(旧twitter)でアンケートを実施して、興味深い結果が得られました。『月曜日まで休みで火曜日に出勤』が優勢でしたが、実はこれは誤りの解釈になり得るのです。

untilの意味

untilは実は曖昧な表現です。untilの後ろに来る時間の長さによって、『until ◯◯』は、時間◯◯を含むか含まないか、解釈が変化することがあります。

untilの表す範囲(一瞬の時間)

until 5 o'clockなど、untilの後ろに一瞬の時間や変化を表す時間が来る場合、『until ◯◯』は、時間◯◯を含んでいます。つまり、それぞれの英文の状況を詳細に説明すると…

I will wait for you until 5 o'clock. 5時まで待ちますよ。
→5時の時点まで待ち続けるが、5時を過ぎたらもう待たない(5時前に待つのをやめるとは考えにくい)。

They were happy until the war occurred. 戦争が起こるまでは彼らは幸せだった。
→戦争が開始される前は幸せだった。しかし、戦争の開始が区切りとなり、幸せな状態が変わってしまった(戦争の開始前で既に幸せではなくなっていたと解釈するのは難しい)。

untilが示す区切りが短い期間の場合は、大きな誤解が生じることは少ないでしょう。

untilの表す範囲(期間のある時間)

一方で、until Wednesdayなど、untilの後ろに時間的幅のある表現が来る場合、『until ◯◯』は、時間◯◯を全て含むかどうか、曖昧になり得ます。なぜなら、時間◯◯に幅があるために、その幅の開始時点と中間時点、そして終了時点の全てが区切りになることが可能だからです。この場合、一般的な常識や慣習、文の意味などから大まかに意味が決められることになります。

それぞれの英文の状況を詳細に説明すると…

I will be in Tokyo until Wednesday. 水曜日まで東京にいます。
→少なくとも水曜日へ日付が変わるまでは東京にいると解釈するのが一般的。区切りとして東京を出るのが日付が変わった瞬間か、水曜朝か、それとも夜かは不明。東京を出る時間によっては『水曜日まで東京にいる』といいつつ水曜日に別の場所にいることがあり得る。

I will not be free until Friday. 金曜日まで暇ではない。
→少なくとも木曜日までは暇ではない。しかし、金曜日のどの時点まで暇ではないのかは不明。(1) I have tests on Friday. So I'm not free until Friday. ならばテストが終わった金曜日の午後が区切りになると解釈できる。(2) I have tests on Thursday afternoon and the report deadline is due Thursday evening. So I'm not free until Friday.という文脈なら、木曜日の終わりまで全く暇がなく、金曜日の開始時点が区切りになり、時間が取れると解釈できる。このように、文脈により様々な可能性が考えられる。なお、辞書的には『not … until ◯◯』は時間◯◯を含まないのが一般的だと記載されている(ウィズダム英和辞典)。

You can take your work vacation until Monday. 月曜日まで休暇を取れる。
→untilを使用して不在を表す場合、『until◯◯』の時間◯◯が含まれない解釈もあり得る。なぜなら、慣習として土日に休んで月曜日から勤務日が始まるのが会社では一般的だから。この場合は月曜日に出勤すると解釈することも十分可能な表現になる。しかし、火曜日に出勤すれば良い可能性もあり得る。『I will be absent until Monday. 月曜日まで不在にします』も同様に不在を表す表現なので、月曜日の開始時点で戻って来る、という解釈が可能になると共に、月曜日のどこかの時間で戻ってくる、月曜日は不在、などの可能性もある。

総じて、untilは状態が変化する区切りを表します。しかし、時間の幅がある場合には、区切りは曖昧になってしまうのです。つまり、absent until Mondayは月曜日に全くいないこともあれば、月曜日のどこかの時間で戻ってくる可能性もあります。

誤解を避けるための改善案

文脈で区切りの時間を明示する

文脈を明示し区切りの時間を示すことで、誤解を避けることができます。

● You can take your work vacation until Monday. 月曜日まで休暇を取れる。
→ You can take your work vacation until Monday, and return to the office on Tuesday. (火曜日に戻ってきてね)
→ You can take your work vacation until Monday; we'll expect you back in the office on Monday morning. (月曜朝には戻ってくるように)

until の使用を避ける

● I will not be free until Friday. 金曜日まで暇ではない。
→ I'm busy through Friday. (金曜まで含めて)
→ I'll be free after noon on Friday. (金曜昼以降)
→ I'm busy up to and including Friday.(金曜まで含めて)

言い換える

● I will be in Tokyo until Wednesday. 水曜日まで東京にいます。
→ I will be in Tokyo from Monday to Wednesday. (月曜から水曜日まで)
→ I will come back from Tokyo on Wednesday afternoon. (月曜午後に戻る)
→ I will leave Tokyo after my meeting on Wednesday. (会議後水曜日に発つ)

まとめ

日本語での『〜までずっと』という訳語は、Untilの本来の意味を完全に表しているわけではありません。そのため、場合によっては誤解を生む可能性があります。

untilは状態が変化する区切りを表します。しかし、時間の幅がある場合には、文脈、慣習、などによって意図する区切りが変わってしまいます。深刻な誤解を生じないためには、文脈で明示したり、曖昧なuntilを避ける工夫が必要でしょう。

引用文献


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