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2021年3月の記事一覧
39 山のいぶき
【MY FAVORITE SONGS 39(私は音楽でできている)】 児童養護施設で働きだして、入学式、卒業式はもちろん、授業参観、運動会、文化祭、クラスマッチなど様々な小中高校の催しものに出席するようになりました。初めは私も20代で、親代わりになって出るのは荷が重かったのですが、だんだん慣れていきました。そういう催しに何十回も、いや百回以上出たことになると思います。たくさんの得難い経験をさせてもらったと思います。 その中で、確か2年目の年に行った中学校の合唱コンクールが記憶に残っています。3年生の課題曲は「山のいぶき」でした。それまで聞いたことがない曲でしたが、一所懸命に歌う中学生の合唱っていいなあと思いました。 そういえば、わたしが中学校の時、クラスマッチや合唱コンクールはもちろん、清掃コンクールや英単語コンクールも必死になってクラスで取組んで賞状もらおうと頑張ったことを思い出しました。様々な重たい事情を抱えた家庭が大半だった、いま考えるとかなりあぶないクラスだったのですが、だからこそだったかもしれません。団結力がとても強かったのです。 話を施設時代に戻します。その合唱コンクールで結果発表が終わった後、うちの施設にいるやんちゃな子が、突然立ち上がって、「山のいぶき~」と叫んで、全員で歌おうと提案したのです。私もびっくりしましたが、先生方も驚いておられました。しかし、あの頃の先生方は度量が大きかったのか、最初「待て待て」と言いながら、ちゃんと伴奏をつけて、みんなで大合唱になりました。もしかしたら、そういう手はずだったのかもしれませんが、うちのやんちゃで問題児の子の投げかけをよく受け止めてくれたなと感激しました。
31 Ben E. King ☆ Stand By Me
【MY FAVORITE SONGS 31(私は音楽でできている)】 ジョン・レノンの「Stand By Me」も大好きな曲ですが、Ben E. Kingの「Stand By Me」は、私にとって別格のFAVORITE SONGです。 それはやっぱり映画の存在が大きいと思います。スティーブン・キング原作の映画『Stand By Me』は、少年時代の仲間意識や冒険心、背伸びや競争心、切なさや不安を叙事詩のように描いた名作です。もう2度と戻ってこない時代、米国の豊かさを感じる田舎町の少年たちを描いていますが、普遍性ももった作品だと思います。 こういう映画を見ると、私は、子ども時代、少年期というのは、大人の世界とはまた別個のある完成をみる、一つの完結した時期なのではないかと思います。そこにとても魅力を感じます。 4人の主人公の中でも存在感を示したリヴァー・フェニックスが23歳で夭折したので、尚更この映画は子どもの時代の輝きを閉じ込めた珠玉の作品として扱われるようになった気がします。リヴァー・フェニックスの生い立ちの厳しさを知ったりすると、なおさら喪失感が募ります。 そして、何といってもBen E. Kingの「Stand By Me」の素晴らしさです。映画との間に四半世紀の時間の隔たりがあるのに、まるでこの映画のために書き下ろされた曲のような一体感があります。Ben E. Kingの歌声も一つの楽器ですし、ウッドベースがお腹から響き、ギロがリズムをもたらし、バイオリンのストリングスが奏でます。ベストのアレンジ、ベストの1曲だと思います。 何度も映画を見たせいもありますが、どこかからBen E. Kingの「Stand By Me」が聞こえてくると、私の脳裏に浮かぶのは、4人の少年が線路を歩く姿です。