見出し画像

本当に「哀れなる」ものは誰だったの?(感想)

配信で哀れなるものたちが始まってたので、レンタルで見ました。体調悪くて映画を見に行くとしたら「ボーはおそれている」と天秤にかけてる内に、配給が終わっちゃったんだよね。代わりに同じ監督作品の過去作は「聖なる鹿殺し」「籠の中の少女」「女王陛下のお気に入り」はサブスクで見ました。それぞれ良さはあったんですが、監督の性癖としてイノセンス(無垢や純粋)ゆえの残酷さ…みたいなのが一貫してるのかなって勝手に思ってて。

で、予告編とか解説とか考察とかはその時にメチャクチャ見てたんで内容はもう知ってたんですけど、映像美の暴力って感じで凄かったですね。

私は女なんですがあんまりジェンダーとはフェミニズムの文脈でこの映画は語りたくなくて。アダルト版バービーだって意見も見ましたけど、そもバービーも見たんですが色んなバービーとケンが居るんやなぁとか色んな衣装があるんやなぁしか感想が出て来なくて。

原題のpoor thing。poor は主に貧しいとかだけど、そこから転じて可哀想とか不十分なって意味もあるから、私は色んな意味で捉えて「満たされない人たち」「不十分な人たち」ってことなのかなって。

だから、哀れなるものって云うのはベラを基軸とした「何かが不十分で満たされない人達の物語」だったんだなって。

その何かって云うのは愛とか生き甲斐とかアイデンティティとか存在意義とか色々あると思う。

ゴッドは親の手で去勢手術されてしまい、子孫が残せない。奇異な見た目から差別や偏見を受けまくって来た。だから自分のミームを残したいのと無条件の愛情を与えてくれる存在が欲しくてベラを作り上げたんじゃないかな。って。

ベラを取り巻く男の中でマックスは希薄すぎてやや印象にかけた。身体は大人、頭脳は赤ん坊のベラに背徳的な感情を感じながらも、彼女の権利や人格を尊重してたので、最終的にベラに選ばれてたのかな。何度も言うけど他のキャラが強すぎてめっちゃ印象薄い。

ダンカン、ハーメルンの笛吹き男のごとくベラを攫って言ってしまう。でもダンカンに着いていく決断をしたのもベラだし、ゴッドも選別を持たせて送り出したから、駆け落ちというよりは箱庭から抜け出して世界を行脚する為ならベラ的には誰でも良かった節ある。仮にダンカンが誠実だった場合、適当に庭師とかセールスマンとか誑かして家出してたんじゃないかな。いや知らんけど。最初はヤリモクで飽きたらヤリ捨てする気マンマンだったのに、思うままにならないベラに魅了されて狂っていく様は面白かった。最終的には病院に入れられたり、元夫の将軍を探し出して「テメーらだけ幸せになんかさせねーよ!」ってのが、ガチ恋粘着獣ぽくて良かった。仲間外れは可哀想だからダンカンも庭で飼ってあげれば良いのに、多分ベラはもう吸い取れるものは吸い取ったし用済みだから飽きちゃったんだろうね…。

んで、将軍。急に現れたちょび髭。なんか偉そうだけど自分に自身が無いのか人望が無いからかいつも銃をチラつかせてる。銃はおちんちんのメタファーだし、権力も地位もあるのに性格終わってるから人望無さすぎて滑稽過ぎて笑える。最終的にベラを飼い殺しにしてまた子どもを生ませようとしてたのが、ゲロゲロって感じ。だからベラの母というか元肉体のヴィクトリアは身投げしたのにね。何一つ省みないし悪いと思わない。それが生来のものなのか戦争のせいなのかは分からないけど、最後は草食ってて草生えました。人間としての快楽を奪って家畜のように扱われるというのを、身を持って復讐されたちょびヒゲ。でもいくら仕返しとはいえ、優雅な庭にあんなの居たらメチャクチャ嫌じゃない⁉️😭💦

将軍見てたらなんかもう、元夫思い出して恐怖と怒りが蘇って来ちゃってさ。途中か
ヴィクトリアに自分を重ねてしまい、冒頭の橋からの身投げとか隠されてた愚痴ノートとか、あー分かる辛いよねつらたんわかりみ…ってちょっと泣いちゃった。

私は今は息子大好きだし本当に産んで良かったっていうか、こんな私を親にしてくれてマジサンクスって感じだったんですけど、妊娠が分かった時はメチャクチャ不安というか…怖かったんですよ。その時はもう藉も入れてたし、子どもだって欲しいと思ってた。でもいよいよ本当に妊娠が分かると、いよいよ本当に旦那とは切れない何かで繋がってしまう。今まで守っていた内面まで侵されていく。私が私で無くなる。嫌だ、産みたくない。神様、助けて…って思うこともありました。なんだろう、母になる恐怖というか妊娠による情緒不安定とかじゃないんですよ。こんな野郎の子どもなんか生みたく無い!!!っていう、根源的な忌避でした。話すと長いけど、全ジャンルのハラスメントが酷くて、もうそれから逃げられないっていう諦め?悟り?絶望?みたいな。だから普通は妊婦さんて一番幸せな時期じゃないですか?私はその部分の記憶、ほとんど無いんですよね…記憶喪失みたいにすっぽり抜けてる。よっぽど辛かったんでしょうね(他人事)

まあざっくり言うとベラ以外の誰かしらが何かしらの満たされないものをどうにかしようと足掻いてもがいて苦しんだ様を描いた映画だったなと。

ゴッドは自分の家族を手に入れて、自分のミームをベラに与えて満たされた。
マックスは焦がれたベラを伴侶に得られて満たされた。
ダンカンは…真実の愛と所有欲に取り憑かれてバッドルートに。
将軍はもう誰かに病的に脅かされるような不安を抱いたり、ベラに対して支配欲を持つこともなくなったから良かったね(ドイヒー😭)
怖い顔のメイドのおばさんは自分より手下が出来て良かったね。

いや、良くねェんだわ。これは私の勝手な推察でありある意味期待でもあるんだけど、出奔したベラの代わりに作られた代理ベラ(名前忘れた😭)が着々と自我や知性を身につけてるじゃん?つまりはどうなる?つまりは、ベラのように自分は自分らしく生きたい!!!と大暴れすることも、なきにしもあらずだと想うんですよね。

メイドババアから命令されて不満そうにする代理ベラ。皆満足し、今は調和が取れて全てが満たされた様な庭に、不穏さがあると思いました。原作読んだらそういう感じあったりしませんかね⁉️

とりあえずもう一回真剣に見て、もう少しまともな感想を捻り出したいです。おしまい、チャンチャン🎵

ヘッダーお借りしました。

https://user0514.cdnw.net/shared/img/thumb/aig-ai230105691-xl_TP_V4.jpg?&download=1#:~:gmo_image=https://user0514.cdnw.net/shared/img/thumb/aig-ai230105691-xl_TP_V4.jpg?&download=1





この記事が参加している募集

#映画感想文

66,918件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?