映画「あの子は貴族」と東京と私
一極集中が再び強まっている。東京圏への転入超過は2年連続で前年を超え、22年より2万6996人増えた。日本人に限れば28年連続の転入超だった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA297NV0Z20C24A1000000/#:~:text=%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E3%81%AE%E8%BB%A2%E5%85%A5%E8%B6%85%E9%81%8E,%E3%81%AE7%E9%83%BD%E5%BA%9C%E7%9C%8C%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82
東京って、なんで「憧れ」なんですかね。私の周りの親戚とか知り合いとかもみ~んな東京に行っちゃいました。働く場所が無い、仕事が無いって言うんですけど、それって自分がやりたいことがここには無いってことなんですよね。
東京って人込みいっぱいあって賑やかですっごい楽しいじゃないですか?でも私若い時にフッと急に気付いてしまって。確か新宿か池袋か渋谷の喫煙所だったと思うんですけど「あ、ここで私が死んでも誰も私のこと知らないんだ・・・」って当たり前のことに気づいてしまった。なんか急に寂しくなっちゃったんですよね。誰も歩いてない小道とか田んぼ道とか歩いてる方がずっと寂しい筈なのに、なんかこう賑やかで煌びやかなのに埋まらない寂しさがここにはあるんだなって。なんか急に悟ってしまって、私はやっぱ東京では生きれらないなって思いました。
東京って、東京に憧れた人たちが作り上げた幻なんだって作中で言ってて、あ~なんか腑に落ちるなって思って。誰かの憧れや欲望を吸い込んで輝いて成長してる街だから、だから東京って魅力的なんだろうなって。
じゃあ生まれながらに東京の人からした東京ってどうなのかなって。ちょっと電車やバスに乗れば年がら年中世界中の名画や美術品が見られる場所があって、すこし歩けばハイセンスなショーウィンドウがあって、そこからもうスタートが違うなって。あ~打ちのめされる。
だって私が住んでるとこなんて見渡す限り山と田んぼと畑しかなくて、煌びやかなものはパチンコ屋やラブホのネオンばっかりで、美術館や博物館はおろか図書館にすら一回も行ったことないし場所すら知らないってのが一般的で。どんどん本屋が減って。よくわかんない店に居抜きされて、お気に入りだった本屋さんは無くなってしまった。未だに会員証を捨てられずにいる。
少なくとも品が良いとも治安が良いとも言えないようなところに住んでいる。若者は帰ってこないし高齢化や過疎化で空き家や廃墟ばっかりで、その割に新築の家はみんなモダンで色も形もてんでちぐはぐな家が建ってて。極端すぎて、何もかも落ち着かない。人が居ないと思えば、祭りには普段は寂れてる駅前にどっからこんなに人が出てきたん?ってくらい混雑する。私はそれを路肩に座り込んで抹茶ラテを飲みながらボーッとしている。そんな夏もあった。
漫画ヘルタースケルターでりりこが付き合ってたナンブグループの御曹司が「俺は昆虫博士にもなりたかったし、宇宙飛行士にもなりたかった。なれなかったんだよ」的なことを言っていて、生れながらに、さもすれば生まれる前から自分の人生設計や歩くべきレールが敷かれてる人生ってしんどいなって思った。幸一郎は「じいじ」の期待とか母親からのプレッシャーとか全部一身に受けて、さぞや大変だったろうなと。秘書の仕事に疲れ切ってベランダでうずくまってるとこ。結婚も敷かれたレールの上の強制発生イベントだって言われたら、一応ひとめぼれして嫁入りした箱入りお嬢さんだったらメチャクチャ傷つくよね。
本物の「お嬢さん」の華子は気の強い姉二人に上からガーガー言われて、末っ子だから母や祖母からは溺愛されて、唯一の理解者で逃げ場所が義兄っていうのがなんか親近感沸いた。家族や内戚が頭おっかしいと会話にならないから、他所から来た人の方が気楽だし話会うんよね。なんかさ、変なルールとか見えない決まりみたいなのがあってしんどい。私も外戚の人の方が話が合うし好きやんな。うん。
水原希子ちゃんはちょっとプライベートで色々炎上してなんだかなぁ…と思ってたけど、今どき等身大のイケてる女の子って感じで良かった。
華子はどうやって離婚を伝えたんやろなぁ。あんな性悪クソババァと一緒に居たら魂腐るから離れて正解だよ。興信所が華子の家族構成調べたって言ってたけど、お前んちの方が品が欠けてんねwって感じで。私も姑にマジガチ嫌われてたから、ちょっと私情入りますね。やっぱさ、結婚って難しいんよ。金のことしか考えてねぇくせに、お上品ぶってねぇで息子離れしろよ!クソババア!!!みたいな♪そのあたり気になるから本読もうかなって思う。
最後のシーンが大好きな東京駅手前ですごく綺麗で良かった。東京駅めっちゃ好きなんですよ。やっぱ憧れの上澄みっていうか。あんま渋谷とか六本木とか若者向けのガチャガチャしてる場所じゃなくて、適度に緑があって公園があって優雅なマダムが犬連れて散歩して成城石井で買い物してる…みたいなのが私の中の好きな東京のイメージですね。
東京くんは今日も皆の若さと命を吸って輝いて、そして毎日成長してる。新宿駅や渋谷駅が工事中じゃない時を見たことない。街は行くたびにトルネコのダンジョンみたいに進化して、生き苦しいほどに目まぐるしい。だからみんな東京くんに憧れるんだよ。それで水が合った人間だけが生き残れて、合わなかった人間はすごすごと田舎に戻って身の丈に合った暮らしに戻る。でも私、きっとあのまま東京に居たら壊れてた。たぶん、東京に焦がれた人の数だけドラマがある。
全然映画の話してないけど、美術や小物や空間演出がものすごく丁寧に作れられた貴重な邦画だと思います。家事手伝いって単語、令和まで生きとったんね…すごいや…。まあでも、別れた後のふたりも割と良好そうなので良かったというか、華子のか細いメンタルでは政治家の妻は無理だろうし、ならば早々に自由にしてあげたんだろうなって優しさ?を感じた。どうにもならない縛り、レール、そこから抜け出そうともがいている最中の華子は、親や周りに言われるがままのお人形さんだったころよりちゃんと「生きてる」
生きるって、自分で責任を持って選んだことを積み重ねていくってことだから。楽しくはないけど悲しくもならない、ただ淡々流れる川のようにと流れる都会の風景や限られた人だけが見られる美しいものが、人はみな平等ではないということを静かに優しく知らしめてくれる。そんな素敵な映画でした。
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やっぱり東京の夜景が一番綺麗。夢や希望や魂を吸って光り輝いてるから。
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