東京女子医大で看護師400人退職の意向。看護師をディスポ製品と一緒にしないで。

感染の最前線で戦う看護師のボーナス”0円”

東京女子医大付属病院で夏季のボーナスが0円という記事を読んだ。
ボーナス0円に抗議した看護師400名が退職の意思を示しているそうだ。

もっと詳しく読んでみると経営者側の発言として、

「看護師の大量退職があったとしても、その分を300名程度 新卒採用するから問題はない。」

と書いてあった。（ちなみに募集要項には賞与２回の記載もあるそうだ。）

この経営者にとって、看護師は使い捨てのﾌﾟﾗｽﾁｯｸ手袋やエプロンと同じ扱いなのだろうか？なくなったら補充するだけの話？
この扱いはあまりに酷い。誠意も何も感じられない。

東京女子医大付属病院では確か早期にコロナ患者を受け入れていたと思う。
未知のウイルスに対して、最前線でリスクを覚悟して働いていた人たちも今回の件で気持ちが折れてしまったのだろう。
コロナ対応ではひとたび院内感染を起こせば袋叩きにあってしまう恐れもある。
一時期、医療者差別が横行したこともある。そんな中頑張ってきた結果がこれではあまりにも報われない。

「新卒を補充する」とあるが、新人が入ってきた初日から業務をこなせるのか？通常の会社でもそうだが、命を預かる分 看護師の新人教育はそれ相応の労力や時間が必要になる。
そもそもこんな問題のある病院に募集が集まるのか？

医療事故で特定機能病院取り消しの過去。経営に問題あり。

そもそも東京女子医大付属病院では、小児へのプロポフォール使用問題など特定機能病院の取り消しを受けるような医療事故を過去に起こしている。
その時にも経営が傾きボーナス”0円”になっている。
つまりコロナ以前に経営は赤字傾向だったようだ。"
それに加えて病院の移転や改装工事も行っていたというのだから、経営者は相当に無能なのだろう。
コロナを言い訳に夏季ボーナスを0円にしているが、その経営の実態は怪しい物だ。
こんな調子では冬のボーナスにも希望は持てないだろう。

看護師には全く非がない。放漫経営をしていたこの病院の経営者が問題だ。
スタッフすら守れていない この病院の患者になりたいとは思わない。
事務長は「集団心理に惑わされ、今辞めたら後悔する。雇ってくれるところはありませんよ」と言っているらしい。

いわせてもらうが、正直  看護師資格というのは本当にありがたいものだ。
病棟や外来勤務以外にも幅広い分野で利用できる。他に就職先が見つからないということはまずないだろう。
今回退職される方は、次の職場では良い待遇で受け入れて欲しいと思う。

10兆円の出番はいつ？　医療者不足から医療崩壊へ

しかし、この問題は同じ看護師として他人事ではない。
今の感染者増加が続けばもっと多くの病院が経営難に陥るだろう。

わたしの勤めている地方病院も、現在コロナ対応用として１病棟を空室にしている。国からの空床確保料は多少でるのだろうが１病棟分の収益をすべて補填できるほどではないだろう。

東京女子医大付属病院での技師さんやクラークさんなど医療を支える方々への対応も心配である。
ブルーインパルスやみんなで拍手が無意味というわけではないが、コロナの被害に対してもっと直接的な支援が必要だ。

いったい予備費10兆円の出番はいつになるのだろうか？