こじらせEpisode1:「散歩中のわんこ」
私は犬が苦手だ。
いや、正確に言うと散歩中の犬と
すれ違うという行為が苦手だ。
予め言っておきたいのは、
私は決して犬嫌いではない。
何なら、トイプードルが飼いたいと
家族を説得しようとした時期もあった。
散歩中の犬は可愛い。
楽しそうにとことこ歩く様は
この上なく可愛い。間違いない。
ピンッと上を向いた尻尾に、
ヘッヘッと出た舌はけしからん!と
怒りたくなるくらいには愛おしい。
それなら喜んですれ違えば良いだろうと
思った人も多いと思うし、実際その通り。
ただ、私はどうしてもすれ違いたくない。
なぜ私がこんなにも散歩中の犬とすれ違う
たったそれだけの行為が苦手なのか。
それは…
吠えられた時の空気に耐えられないから。
犬がワンッ!と吠えた瞬間その付近にいる人の
視線と一気にご対面する。
「あ、あの人吠えられた」みたいな。
見た側の人からすれば、たった一瞬の
短期記憶なのは分かっているけども!
そんなことは分かっているけども!
めちゃめちゃ恥ずかしくなるあの瞬間が
もう耐えられない…!!!!!
それがもし、「わ~可愛いですね~!」って
駆け寄った直後とかだったらどうするよ!
「あの人犬好きなのに犬に吠えられたんだ」
みたいなことになるじゃない!!
そこで飼い主さんに
「普段はあまり吠えないんだけどね」とか
言われたらどうする?!崩れ落ちちゃうよ!
分かります分かります、
そんなの大したことないじゃん?みたいな。
そこまで気にしなくても…みたいな。
違うのよ、これ気にしてるんじゃないの。
これがデフォルトなの。
ノーマルモードの平常運転なの。
だから、向かいから可愛い犬と
飼い主さんが歩いてきたら、とりあえず
邪魔しないように道の端っこを歩く。
ほんで、心の中で
「気付かないで~そこの可愛いわんこ~」と
唱えながらなるべく足早に通り過ぎる。
これが、フランクな飼い主さんだと大変。
「お姉さん来たよ、ほら〇〇ちゃん」と
犬の視線を私に向けてくれるのだ。
吠えられる確率はもうかなり高まってくる。
こういうとき私は、
「へへ~可愛い、バイバイ~」と手を振る。
すると、犬側も大抵チラッと見てから
ヘッヘッと言って歩き出してくれる。
そう、実際横を通り過ぎて吠えられたことは
あまりない。というかほとんどない。
それでもやっぱり身構えてしまう。
拗らせ人間の悲しい性である。
ちなみに赤ちゃんと対面するときにも
同じ拗れイベントが発生するのだけど、
それはまたの機会に。
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