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元作詞家の「若き日の憧れ」Gentleman 最終回

松本 隆

「有名な作詞家」としては勿論存じ上げておりました。歌番組では曲名脇にそのお名前が頻繁にクレジットされましたし、私が恋い焦がれた大滝詠一氏のアルバム「A LONG VACATION」の詞を全て書かれておりました。「どうやらそれ以前に大滝氏と〝はっぴいえんど〟とかいうバンドを組んでいたらしいし仲良しなんだろうな」といった程度の印象であります。

1981年 NIAGARA ⁄ CBS SONY

 その方を雲の上の存在と意識し始めたのは、矢張り自身が作家活動を始めて以降でした。初めてド素人の作品資料をご覧下さった若松宗雄氏については以前記事に致しましたが、その節若松氏が仰った「どうせやるなら松本隆を越える位の意気込みでやらないと」という台詞が印象的でした。若松氏と言えばその直前迄松田聖子さんのプロデューサーをされていた言わば聖子さん育ての親。彼自身がその詞を発注していた先が松本氏でありますから、当然ご縁も深くそういった上でのお言葉であった筈です。

 以降松本氏の詞は読めば読む程に深く、それ迄無意識に聴いていた過去作品がすっかりと高価な文学作品に姿を変えたのです。無論前述の「A LONG VACATION」はその価値を更に高め、松田聖子作品の一曲一曲も奥深いものとなりました。

 これも過去記事に…その後諸々のご指導を頂いたBeing社に於いても私のテキストとして提示されたのは松本氏の作品集でしたし、勝手ながら何か不思議なご縁を感じながらいつしか無性に松本氏への憧れを強めてゆきました。

 前述の若松氏に松本隆という人の印象をお尋ねしたことがあります。そのお答えは
「近くに木々の葉が揺れると、それだけでも物語にしてしまう人」
でありました。

 松本氏の御経歴や背景を深掘る中、一本ご自身がメガフォンを取られた映画を拝見しました。

1985年新潮社より発行の小説を1987年に映画化

「微熱少年」…自叙伝的この作品、まさに松本隆という人のある種宇宙を感じさせる作品であります。

 作家キャリアを捨て憧れは叶わず、今も尚強い憧れのまま此処にあります。少なくとも松本節の如く、何処かキャッチーな余生にしたいものです。

くずせるものなら、くずしてごらん
しなやかなまなざしを
くどけるものなら、くどいてごらん
ささやきは風さ
MY TRUE LOVE

ご覧頂きどうも有難う御座います🙇‍♂️

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