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おしごと(血液凝固免疫/腫瘍循環器)

年度末の人の入れ替わりが激しいさなか慌ただしく病棟管理をしています。
随分と暖かくなってきたし桜前線が気になるところですね。さて、時々出くわす病態で頭を悩ませる症例について、です。ちょっと一般の方には理解しにくい内容かなー。
 昨今、免疫学が発達し、これに関わる自己免疫疾患や血液疾患、腫瘍学の病態解明や治療の進歩はめざましいものがあります。実際、現場でみていると横文字、カタカナの薬剤や良く知らない英語の頭文字の症候群とかがドンドン出てきます。該当科の先生方に教えて頂いてもスーと右から左って感じでなかなかついていけません。特効薬や切れ味鋭い薬剤が世に出れば、とても注目されますし、医療者としても期待感は高まりますよね。少しでも患者さんが良くなったらイイね!と心から思います。
 とはいえ、科学の進歩は常に栄光の光と影の構図。効果反面、副作用と僕らは闘う必要があるのも事実。副作用や合併症で瀕死状態に陥ることは珍しいことではないですね。
 最近注目されている免疫チェックポイント阻害薬なるもの。PUBMED検索しても5万件近くHIT。特に2010年以降の報告が指数関数的に伸びてきている印象。普段自分で処方することもないのでイメージが捉えにくいのですが、パッと日本語で読める市民講座などでもあるとあらゆる症状が出る可能性があるし、重症度分類もあるみたい。対症方法は?その都度、症状に応じて…?。何とも恐ろしいですね。その最たるものが劇症型心筋炎、重症呼吸不全など。
 ある疾患で治療している方がirAE、劇症型心筋症、ショックに陥った。主治医チームは勿論、循環器、呼吸器、など複数の科がサポート。あまりに激烈過ぎて体外循環サポートを要した。何とか全身状態を整えて祈るのみ。(良くあることだが、重症の極みに到達すると、それまで関わっていた人たちは距離を取り始める…あれなんででしょうかね?自分が知らないことだと出番なくなると思っちゃうんですかね?)
 少し前から循環器と腫瘍学を結びつけた分野が注目されていることはみなさんご存知かと思います。自分達の施設ではあまり機能しているのを観たことがないのですが、とっても深い知識と幅広い知識が必要とされるだろうからメチャクチャ大変なんだろうと思ってます。恐らくは大学病院レベルのエラい先生方がdiscussionするレベルでしょう。2019年にはNEJMに症例報告あったみたい。

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc1901677?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed

Metaやreviewも出てきてはいるけど問題はこれらの疾患は複数の科にまたがっており誰が音頭をとって治療戦略を立てられるか、だと思います。ステロイドくらいは誰でも思いつくけど、2nd、3rd lineはどうする?効かなかったら?みたいなのを迅速に方針決定する必要がありますよね。↓ステロイド耐性の場合のロンブン。これ最新でしょう。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10806650/

でないとpoint of no returnになっちゃうから。
自分が分からない分野ではあるけど、これからの将来、新種の薬剤が増えてへんてこりんな副作用や合併症がどんどん出てきて、誰がmanagementできるの!って不安になります。

 答えはないことだけど、本気でみんなの叡智をぶつけ合って気概を持っていかないと、この難敵は倒せないんじゃないかなーて思います。
 免疫チェックポイント阻害薬の負の側面と、それに関わる人の気概で時々感じていた感想を最新論文と共にご紹介しました。みなさんの施設はどんな対応されているのでしょうか。難しい問題がいろいろありますね。

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