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映画感想:オッペンハイマー

もしかしたら日本では上映されないんじゃないか、と危惧された作品が遂に日本で上映だーっということで

早速観てきました。

前置きは飛ばして、すぐ行きましょう。

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オッペンハイマー

クリストファー・ノーラン(2023)

簡単なあらすじ
1954年、『原爆の父』と呼ばれた男、オッペンハイマーはソ連のスパイの疑惑を受け、聴聞会で追及を受けていた。そして1959年、その事件の首謀者であるストローズの公聴会が開かれるのであった。

本作は

実在した人物の生涯を描く

いわゆる伝記映画、である。

そして描かれるのは原子爆弾を開発した理論物理学者「オッペンハイマー」の半生。3時間もの上映時間でもって、たっぷりみっちり描かれる。

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率直な感想を述べる。

これは自身の学のなさ故の問題かもしれないが、テンポが良い上に情報量が多すぎて圧殺されそうだった。脳が情報を咀嚼して反芻し理解する前に、新しい情報がまるでロケット鉛筆のように入っては抜け、入っては抜け

物語についていくのに必死で、しかもそれが3時間も続くもんだから、鑑賞後にはグッタリとしてしまった。登場人物がめちゃくちゃに多く、その上で相関図的な「誰が誰に」「何を思ってて」みたいな要素が重要だったのが大変だった。

小学生の頃に、ハリーポッターの本を読んでいて、「不死鳥の騎士団」になっていきなり登場人物が増えすぎて混乱して前後不覚になったことを思い出してしまったほどだ。

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IMAXで鑑賞したが、これは成功でした。

というかIMAXで観ることを前提に作られているとすら感じた。というのが圧倒的な映像美と音圧、である。これは核実験「トリニティ」のシーンを目にすれば、「ああそういうことか」と大多数の人が納得してくれるだろう。

「トリニティ」のシーンを観て私が感じたのが

爆発してすぐの皆が光に包まれるところは、最先端の科学の英知を集結させた、皆の夢の実現、とでもいうでしょうか。あるいは太陽の光に魅入られたイカロスとでもいうのでしょうか。

その後に訪れる爆音は、現実ですよね。イカロスの羽を溶かす熱とでもいうのでしょうか。

オッペンハイマーが「原子爆弾の開発に成功した、やったー!」という喜びと「…やべえもん作っちゃったんじゃない」という後悔、これが映像と音で表現されていると感じました。

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時系列をバラバラにするのは、ノーラン作品を振り返れば、まぁよくあることなんですけども、本作は情報量が多すぎてただでさえ混乱する要素があるのに、なんでまたバラバラにする必要があったのか、を考えるに

「オッペンハイマーを聖人にしないため」

オッペンハイマーは作中で、何を考えているかわからない人物、と評されたりするが、この何を考えているかよくわからない、を強調する為にも時系列をシャッフルして理解する難易度をあげたんじゃなかろうか。

オッペンハイマーは悪人ではない
が、もちろん大量破壊兵器を作った張本人である

とはいえ問題は戦争そのものであり
戦争を助長する国、政府、軍、人である、と

というのがノーランのメッセージなのかな?と思った。

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オッペンハイマーという人物があまりにも人間臭くて感情移入してしまった。作中でオッペンハイマーは、「何を考えているのかわからない人物」とまで言われてしまうが

好奇心が旺盛で
欲にだらしなく
とはいえ人並の良心があって
不器用で

原爆の父と呼ばれる人に対して、被爆国に産まれ住む私が感情移入するなんて (こんなことを本作を観ていうのは野暮だが)

まさかこんなことを感じさせられるなんて

一歩引いてみるとこのまま懐柔されるんじゃないかと怖くなったりもした、が本作が反戦映画であるのは間違いなく、また過去の戦争・原爆投下を正当化するものでもない。

こういった事実があると認識すべきだよな、と思った。

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会話劇がメインであるが故に「シン・ゴジラ」味を少し感じた。

色んな人のレビューを観るに、マンハッタン計画がてっぺんでその後の展開にだれてしまった、という声が多かったが私的には後の展開の方がハラハラワクワク楽しめた。

これは学がない故のことなのかもしれない。

あるいは登場人物の名前と顔が一致してきたのが後の方だから説もある!

アホですまんな!

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