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字を書くことは生きること 書家・芳耀(ほうよう)さんインタビュー

デジタル化が進み、手で字を書く機会が減り続けている。だからこそ、手書き文字を見ると温かく、美しく書けた時は嬉しい。
文字を書く楽しさを伝えようと活動している書家・芳耀(ほうよう)さん。心機一転して新しく作ったペン字のインスタグラムアカウントは、わずか5ヶ月でフォロワー数4.4万人と注目を集めている。「オンラインで字を教えてほしいと言ってくださる方も増えて、やっと私が目指すところが見えてきました」と話す芳耀さん。願いを叶えたインスタグラム運用から、字を書くことへの想いを聞きました。

アカウントを作って5ヶ月でフォロワー数4.4万人

ーーペン字で運用されているインスタグラムが人気ですね。アカウントを作って、手応えは感じていますか。(※話を聞いたのはアカウントを作って1ヶ月後)
心機一転で新しいアカウントを作ったのですが、思った以上にフォロワーさんの増え方がすごいのでびっくりしています。動画の再生数も20万回再生超えがあって嬉しいです。
(※当時は、0人から一気に1500人ぐらいにフォロワーが増え、5000人目指すと話していた。実際は約5ヶ月であっという間に4.4万人。動画再生も300万再生回数超えのものもある。)
インスタで私のことを見つけてくださって、私からペン字を継続して習いたいという方も来てくれたんです!今、オンラインでお教えしています。子育てが終わって落ち着いて、時間ができたから手紙を書きたいそうです。書道経験のない方なので、はじめからゆっくり教えてほしいと。本当に嬉しいです。そのような教え方をしたかったので夢が一つ叶いました。

ーーインスタグラムの発信で工夫していることはありますか?
毎日更新をしています。ストーリーズも毎日です。動画は結構ゆっくり目な音源にして、書くスピードも滑らかな感じで書いています。リズム感は大事にしていて、「私も書いてみたい」と思ってもらえるようには意識しています

ーー1投稿、動画を作るのにどのくらいの時間、かかっていますか?
以前はCanvaを使っていて、1時間以上時間がかかり大変でした。今はCapcutというアプリで編集しています。1投稿30分ぐらいで出来るので、ストレスなく投稿できています。

ーー動画は反応がいいと聞きますがどうですか?
リールを投稿した日の夜はフォロワーさんがすごく増えるんです。インスタを見たら発見タブに私のインスタが載っていて目がついたのでDMしましたという方も何人かいるんです。

芳耀(ほうよう)さんのインスタより

人のために字を書くことがより心を豊かにする

ーーそもそもペン字を教えたいと思ったきっかけは何でしょうか?
実は最初は教えようと思っていなかったんです。憧れの女性の先生がいて、外国に行ったり、有名ホテルで展示したり。はるか上の方ですけどその方みたいになりたいと思ったんですよね。

でもどうしたらいいのかなと考えて、憧れの方みたいに自分の作品を売ろうとしました。作品が普通に売れると思ったんですよ。それで作品を販売するサイトを作ってみたんですけど、全然売れなくて。そんなの甘い考えだと気がついたんです。

「もうこれ無理やな、ちょっと違うな」と思ってリサーチし直しました。そうしたら書道で有名な人は表では言わないけれど自分の教室を持っていたり、教えたりしていることに気がつきました。私は今も高校で書道講師をしているし「教える」のはありだなと思い始めました。

ーーそれからペン字を教えてみようと思ったのですか?
そこからオンラインでペン字講座をやろうと考えたんです。これなら皆さんのお役に立てそうだなと。私って頭が固いんで、書道を昔からやっているなら書道を教えるべきだという固定概念を一回壊しました。“書道”にこり固まっていた考えを変えたんですよね。それに地に足がついてないうちにオンラインサロンを作ろうとしていたんですけど、私に合ってないと思ってやめました。

ーー本業で高校で書道の講師をされているんですね。高校生に教えるのはどうですか?
今勤務している高校では書道が全員必修なんです。上司の書道の先生から最初に言われたんです。「ここの学校は書道が必修だから、書道が好きじゃない子ももちろん授業を受けることになる。でもその中で書道を好きになってくれる子がたった1人いたらいい。人を惹きつける授業をしてくれ」と。

「興味のない人にもどうやったら届くかな」と考えた時に写経だなと思いやってみました。みんなすごく集中するんですよ。決して楽しくはないけど「なんかいい」と言うんです。私は写経は“元”だと思っています。元だから例え苦しい心で乱れていても元に戻っていく、心を落ち着かせていく効果があるのかなと。

あと、人を惹きつけるには技術だけではなくて心も必要です。私は「心で書く」ことも伝えたいと思いました。

ーー心で書く、とはどういうことでしょう。
心で書くことは誰かのために字を書くことだと思います。手紙や代筆で書くように、人のために書くと自分の心も豊かになるのではないかと感じています。

漢字も美しい

最後まで書く、諦めずに書くことに意味がある

ーーこれからの目標をお聞かせください。
字を書くことの大切さを伝えていきたいです。今、それぞれの方の課題に合った方法で教えるのがとても楽しいです。

私は字を上手に書ける人を増やしたいとは思わないんです。何かを最後まで書くことに意味があって、途中で諦めずに、書く。そこに意味があると思っています。丁寧な字はやっぱり相手が見やすいし、それは相手への思いやりでもあります。そうして心を込めて書いた文字は相手に伝わると思うんですよ。

あと、夢なんですけど写経を広めていきたいんです。例えば、ヨガと写経、薬膳と写経。写経と掛け合わせて、いつかお寺でイベントをしたいです!2024年は、自宅の書道教室と、オンラインの講座、いつかはイベントができるような基盤を整えていく1年にしたいです。

ーー遠い将来にやってみたいことはありますか?
指導者を育ててみたいです。師匠から受け継いだことを私から次の方に受け継いでもらう。私の持ってるものを全部注ぎたい、そんな感じです。私が師匠から受け継いで習ってきたことを私で止めたら終わってしまうので、伝えていきたいです。

息をするように書いている

ーー最後に、芳耀さんにとって「字を書くこと」はどういう意味がありますか?
息をするように書いているんです。だから、生きることですね。
元々昔から私めっちゃ何かを書いてたみたいなんですよ。実家のあらゆるところに落書きがあるんですけど、全部私なんです(笑)。
4歳か5歳の頃からずっと書いてました。いまだにいつも手を動かしています。これ以上自分に合ったものがないんです。多分一生、書いていると思います。

芳耀さんのインスタグラム🖋
https://www.instagram.com/penji_houyou/

インスタグラムより

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