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生活

昨日 どこか遠い国で
洪水が起きた
濁流に呑まれ
いくつもの命が奪われた

昨日 ある町の交差点で
子供がダンプカーに轢かれた
分厚いタイヤの下敷きになり
幼い命が奪われた

夜が明ければ
朝日が登るように
今日が来るはずの昨日を ただ生きていた

その命が
 
今日 どこにもない
もう どこにも存在しない

そんな世界で
わたしは生きている

夜になれば
星が輝き始めるように
明日が来るはずの今日を ただ生きている

夕飯の献立や 満員電車
あなたがふいに見せた笑顔に
煩わされたり 嬉しくなったりしながら

昨日まで確かに生きていた命と
何ら変わらぬ心で

この青い空が
明日も青いことを

疑いもせず
嘆きもせず


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