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諸行無常の意味

諸行無常という言葉は皆さんも一度は耳にしたことがあると思います。すべてのものは移り変わり、とどまることがないという意味で、これは仏教から来た言葉ですね。先日ある友人と話をしていて、なぜ「諸行」なのか?ということが話題になりました。

「すべてにおいて常なるものは無い」という意味なら、諸【物】無常でも、諸【事】無常でもいいのではないかと。確かにそれでも十分意味は通じますよね。

でも・・・何か味気ない。物足りない。躍動感がない!

それは、【物】や【事】という字からは、あまり「動的」なものが感じられないからかも知れません。「ここに物があります」と言ったら、多くの人は何か止まった状態の物があるのを想像するでしょう。一方、【行】と言えば、文字通り「行く」ということですね。行動、行事、進行、運行など、行がつく言葉には常に「動」のイメージがあります。銀行なんかもそうですね。常にお金が動いている場所ですもんね。

つまり、一見静止しているもの、何の変化も起こっていないと思えるものも、全て「行」なんです。あなたの身の回りに、例えば100年前から今も同じ姿を保っているものがどれほどあるでしょうか?私達の「今」を構成するものも100年後、200年後には跡形もなくなっていることでしょう。

この諸行という言葉自体が、何ものもとどまることがないという万物の真理をすでに的確に表しているのです。そしてそれらの「行」はすべて、無常であるということなんですね。

何だか妙に納得してしまいました。言葉って、たった一文字違っただけで、こんなにも受け取り方が変わってくるものなんですね。もともとはこれもインドの言葉だったのだと思いますが、「諸物無常」でも「諸事無常」でもなく、それを「諸行無常」と翻訳した先人の言葉のセンスに脱帽です!


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