空
私が生まれた日
空は、どんなだっただろう
母はその日、空を見上げただろうか
父はその日、空を見上げただろうか
その空を
いつまで覚えていただろうか
母が死んだ日。
父が死んだ日。
見上げることすらなかった
ふたつの空……
私が命を最後に生きる日も
空は変わらず そこにあるだろう
私が生まれた日と同じ空が
老いることも 褪せることもなく
母が最後に生きた日も、
父が最後に生きた日も、
空は、何も言わなかった。
地上ではいつも何か起きている
空にはただ念仏がこだましている
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?