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2013年9月3日

母が他界して今日でちょうど丸8年。

2013年9月2日の夜、私は仕事帰りに実家に寄り、母と二人で寿司を取って食べた。父は大腸癌の摘出手術を数日前に無事に終え、9月3日に退院する予定だった。寿司を食べ終え、「そろそろ帰るから、ちゃんと戸締りして寝るんだよ」と母に告げ、私は家路に着いた。玄関で見送ってくれた母がいつになく眠そうにしていた。それが少し気になった。

あれが今生で母と交わす最後の言葉になるとは思ってもいなかった。

それからずっと行方不明となってしまった母。どこに行ってしまったのか。一年後、父も癌が体中に転移してしまい他界した。父も行方不明となってしまった。両親が今どこでどのような日暮しをしているのか全く見当もつかない。二人とも死んでしまったのだからもう二度と会えないと思っていた。ずっとそう思っていた。

私たちは生まれた時から人間という命の殻に閉じ込められ、生きて、死ぬ。人間でなくともあらゆる命とは結局そういう運命から逃れることはできないのだと思っていた。

今ははっきりとわからせてもらった。もう何も心配することはないのだと。死は永遠の別れではない。それはあくまで通過点であり、死で終わらない世界があるということを。先立った両親が今どこでどのような日暮しをしていようとも、この私が救いにゆけるのだと。

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