サバの塩焼き

本日は仕事が休みだったので、朝は、映画鑑賞をしていた。加入しているアマゾンプライムの、おすすめに上がっていたものを観た。タイトルは覚えていない。昼過ぎ、腹が減ったので、外に飯を食べに出た。自宅から数件となりにある、定食屋だ。休みの日は、わりとここに来る。
店に入ると、見知った猫がいた。猫は入り口に向かって座っており、私に気が付いて、右手をあげた。そして、ニコニコ顔で、大声を出す。「よう!東じゃねえか!」
この猫は、やかましいので苦手である。「ああ、こんにちは。偶然ですね」と言いながら、しれっと、猫とは別のテーブルに座るも、「おうい!こっちこいよ!」と、こうだ。せっかくの休みなのに、面倒なことになったなと思う。作り笑いで、猫の向かいに腰を下ろす。
私が席につくなり、猫は「とりあえず、ビールでいいか」と聞いてきた。そして、私の答えを待たず、店員にグラスをひとつもらって、自分の瓶ビールを手に取り、かたむけた。私は「ああ、ありがとうございます」とかなんとか言いながら、新しいグラスを持って、ビールを受ける。店員さんが、「これは、サービスよ」と言って、キムチをテーブルに置く。
「東、お前。今日、仕事、休みなのか」と猫が聞いて、「そうです、そうです。朝から映画を見ていたのですが、腹が減ったので、飯を食いにきました」私が答える。「じゃあ、何食うんだい」と聞くので、「チキン南蛮が食べたいですね」と言うと、「ダメだ、ダメだ。タルタルソースには、玉ねぎが入っているからな。俺は食えん。サバの塩焼きにしておけよ」と言う。分けてやるつもりなどないのに、もう、もらうつもりなのだ。(そういうところが、苦手なんだよなあ)と思いながら、「そうですね、では、サバの塩焼きにしましょう」と返事をする。店員さんに注文を伝えて、キムチをつまみ、ビールを飲む。減った分のビールを、猫が継ぎ足して、私は、「すみません、おっとと、ありがとうございます」とかなんとか言う。
サバの塩焼き定食が盆に乗って運ばれて来たので、店員さんに向かって、「ありがとうございます。おいしそうですねえ」とかなんとか言っているうちに、猫は、私のサバに、自分の箸を入れていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?