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-舞台マジムリ- 言の葉を拾う

「舞台マジムリ学園 LOUDNESS」について、2回目の投稿。

タイトルに "言の葉を拾う"と入れながら、ことば にご執心なのは前2つの項目が主です。
後の2つは舞台を観ながら感じたこと、つまり感想です。

心に残ったことなので書いていきます。


●イーリスの嘲笑

山内瑞葵さんが演じるイーリス。
生徒会の人間にさえ蔑んだ視線をやっているが、
荒地に至っては「ゴミ」だと吐き捨てるほどだ。

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この侮蔑に満ちた荒地への感情は、この表現以外にも散りばめられていた。


メンズーアをヌルに提案するとき、イーリスは

「もちろんただでは動かないでしょう。エサを与えなければ」

と言う。


「エサで釣る」という言葉は慣用句で、「調子の良いことを言って人をその気にさせること」という意味がある。
当然その用法で使ったのだろうが、あえてその表現を台詞としたのは
イーリスが荒地を蔑む気持ちを表現するためなのではないかと思う。

"エサ" は、慣用句を除けば一般的には人間に対して使う言葉ではないだろう。
エサ・飼料は、家畜やペットなどの動物に対して使用されることが多い。


また、直後にイーリスはこのような台詞を放つ。

「名誉選民になれるチケットを鼻先にぶら下げればいい

"鼻先にぶら下げる"
これは「馬の鼻先に人参をぶら下げる」という慣用句である。

眼前に見える褒美に釣られて 馬は一生懸命に走る。
どれだけ走っても、手に入ることはないのに。
愚かで憐れな家畜。

荒地に生きる人間を畜生扱いしていることを表現する言葉たちだったと思う。
イーリスの 嘲って笑う声がきこえるようだ。
きゃいん。


イーリスの武器って、乗馬に使用する短鞭(たんべん。短いムチのこと)だったりするんだよね。
衣装・小道具もその役を形作っているんだなあ。



●噛み殺せ、噛み殺せ

メンズーアの実行を決めたヌルは狂った高笑いを響かせた後、こう叫ぶ。

「私には牙と爪、頭と目がある。
 邪魔する者は、噛み殺せばいいのだ!」


以下の3つの観点より、この台詞を非常に面白いと感じた。


▽列挙法

列挙法とは、ものごとの要素となることばを並べる修辞法(レトリック)のことである。
今回は「牙と爪、頭と目」がそれにあたる。

」は、おそらく歯向かうものを傷つけるための手段・武器だろう。
」は、きっと欺いたり操ったりする頭脳・判断力だろう。

あえて具体的にせずに言葉を並び立てることによりオーディエンスの意識が誘導され、

つり上がった口元
掲げる手
振り乱した髪
見開いた目

ヌルの一挙手一投足が鮮明に映し出される。
恐ろしさが強調されているように感じた。


▽明らかに真であることを述べる

「私には牙と爪、頭と目がある」

歯・爪・頭・目があることは、ヌルの姿を見れば明らかに分かることだ。
その情報を伝えるためならば、わざわざ言葉にするまでもない。

(当然のことを言うはずがない。)
(つまり、何かを意図しているはずだ。)

いわゆる「深読み」を導くための表現技法だと思う。
(自分はこれらの言葉について先の「▽列挙法」において解釈を書いたが、
これは人によって別の解釈があるかもしれない)


また、もう一つ。
ヌルが普通の状態ではないこと、狂った状態であることを強調するための表現でもあると思った。
"当たり前" のことをわざわざ声高に叫ぶこと自体の異様さにより、
「ヌル様やっべえ…」と思わせているのだと考えた。


▽獣にたとえる

「歯」ではなく「
「殺す」ではなく「噛み殺す

人間ではなく獣に使う表現を用いることで、
より猛々しく荒っぽい様子を伝えているように感じた。


しかも、頭脳を持つ獣だ。
「誰も私を止めることができない!」という強気な感情も伝わってきた。

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噛み殺せ、噛み殺せ。


●『私がリリィー』

ライブパートで披露される「百合を咲かせるか?」は、
小栗有以さん演じるリリィーがセンターを務める楽曲だ。
リリィーは今作には姿を現さず、ほかのキャラクターの台詞の中でのみ登場する。

サビの最後に「私がリリィー」という歌詞があるのだが、その部分が無音になっていた。
明らかに間が空き、不自然な無音の時間が会場に流れる。

リリィーの声だけ収録して音源をあてることもできる
ほかの人が代わって歌うこともできる
曲自体をアレンジして間ができないようにすることもできる

なぜしないのか?
これは、リリィーの存在感を示すためではないかと思った。

その場にいないにもかかわらず
あのヌル様を畏怖させ、気を狂わせるほどの絶大的な存在感を
「言わない」ことにより表現していた
のではないか。


ちなみに自分どんくさいので、2回目の観劇までは
サイリウム振るタイミングしくじってたよ。
アッアッってなってたよ←



●ゾンビの夢

ゾンビは荒地工業高校を卒業し、ネジを作る工場で働いていた。
ケーニッヒの話によるとゾンビが働く工場は下請けの工場で、
ネジは安く買い叩かれ、働けど働けど利益はほとんど出ないようだ。

ゾンビにとって "ネジ" は、決して良いものには映っていなかっただろう。


ただの部品』というだけでなく、
安く買い叩かれることで『格差を見せつけられるもの』になっていたと思う。
自分の多くの時間を費やしているにもかからわず価値を見出してもらえないために、
働くことを『生きるための手段』だと割り切ろうとしてもなお「悔しい」と感じていたようである。


しかし物語の最後、ゾンビにとってネジはまったく違った意味をもつ物になる。


まっすぐな瞳で「荒地からロケットを飛ばすんだ!」と話すネロ。
その眼差しに・その言葉に うごかされ、
荒地のみんなの瞳にも希望が灯る。

「わたしが、ロケットのネジを作る。」

ネロの壮大な夢によって、
ゾンビの "ネジ" は、ロケットを空へ飛ばすための『夢のかけら』になった。

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このシーンを観て、勝手にアイドルと重ねていた。
彼女たちはファンの日々を彩ってくれる。

夢を抱いて今を懸命に生きる姿を見て「自分も頑張ろう」と元気をもらったり、
その優しい笑顔と言葉にもう一度出逢うために「生きるぜ働くぜ」って思えたり。
何度も何度も救われたなあ、なんて思い出しました。

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あともう一つ。
福岡聖菜さんが演じるゾンビが目をひんむいて叫んだ

「もっと血が出るほど生きてぇんだ!」

という言葉はどうやら自分の心の奥に刺さったようで、うめき声と涙が出ました。


AKB48の皆さんにはいろんな気持ちやキッカケをもらってるなあ。

さーて、今日も生きるぞ!!


  ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

今日のがんばる理由の一つは『ハニハモ♪ パジャパごはん』!←


ハニハモから岩立沙穂さん&福岡聖菜さんが出演。
「cookpadLive(配信アプリ)」で19:00~配信開始の番組です。

はちみつを使ったタコスを作るらしい。
前夜、さっほーはタコスモチベが爆上がりすぎて寝れなくなったらしい。
(かわいいね 愛しいね)

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番組後半ではタコスパーティーで もぐもぐするさっほーとせいちゃんが見られるとのことなので、
本当に楽しみです。


お時間が合う方はぜひ観ましょ~( ´ー`)

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