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パパは嫌われる

デジタルデトックス。
つまり、ネットの断食だ。
パソコンやスマホなどを一定期間使わず過ごし、ストレスや疲労を回復させるのを目的とする。
これをやると公言し、休みの日は一切の電源を切っている、大分に転勤中の友人の自宅に電話した。
気持ちはわかるが、めんどくさい。
電話ぐらいスマホでいいだろ、と思いながら、かけた。


(はい。もちもち?)
幼い女の子が電話口に出た。
確か、3歳か4歳か、そこらの子がいたはずだった。
遅くに授かり、大層喜んでいたのを覚えている。

「あ、こんにちは。おとうさん、いるかな?」
わかるようにゆっくりと聞いてみた。

(パパでしゅか?)
「そうだよ。パパだよ」
あいつがパパねぇ・・・。言いながら思った。
すると、まったく予想外の答が返ってきた。

(いらなぁ~い)
「・・・???」
何を言ってるのか、わからなかった。

(パパは、いりましぇ~ん)
やっとわかった。電話口で思わず笑った。

「えっとね、パパにでんわ、かわってもらえるかなぁ?」
(はぁ~い。・・・パパぁ~、でんわでしゅよ~)
よかった。通じた。

(あ、モシモシ?鈴木ですが)
あいつが出た。
「よぉ。俺だ。ひがしだ。パパ、もう嫌われてるのか?」
(なんだ、お前か。いきなりなんだ?)
さっきのやりとりを話した。あいつは笑った。

(どうやらそうらしい。ヒゲがイヤなんだとよ。パパは家出でもするか)
「前途洋々だな」
(おかげでな。まぁ、でも可愛いもんだ)
「いつまでもつやら」
(確かにな)

互いに笑いながら、電話を続けた。




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