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触れる


私の丁寧さのなかには
臆病さも流れているけれど
慈愛も含まれていて
だからこそ私はその一瞬のためらいのような指先を
ひとつも余さず味わいたい
一事が万事そういう感じ


あなたは熱いだろうか 冷たいだろうか
やわらかいだろうか ざらついているだろうか
想像して、美しいものを夢見て
現実の豊かさに裏切られては愛される

手を伸べるのをやめられない
もっと、触れられる。そう思う
指先に触れたものがいとしくて仕方がない
そのくせ
もう次触れるもののことを考える 息継ぎのように
深呼吸のように 

もっと、触れられる。そう思う

触れたいと願うその幸福に、まだとまどいながら

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