【計画的偶発性】ただの大学生がJALと共創した話。
「計画的偶発理論」を聞いたことがあるだろうか。スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授によって発表された理論で主に3つ骨子を持つ。
この理論は、主にキャリアを考えるときに用いられるものだが、実は私の大好きな「旅」にも通用する理論である。
この5つの行動特性は「旅」にも共通するものである。旅に出るという強い好奇心や冒険心。不足の事態が起こっても対応できる楽観性や柔軟性。目的地にたどり着くまで諦めない持続性など、旅とも非常に近い関係である。
「計画的偶発性理論」に関する詳しい内容はこちらの記事を読んで欲しい。
結論
JALとの取り組みは大成功に幕を閉じた。今回の企画は、鹿児島県の予算を頂戴し、世界遺産にも登録された奄美大島を含む「奄美群島需要喚起施策」の一環として行われた。
僕はTABIPPO学生支部の代表として、JALの社内ベンチャーチーム「W-PIT」のみなさんと協力しながら企画を作り込んだ。僕たちが企画する、年に一度の旅の祭典「BackpackFESTA」でのトーク、JALさんから頂いた喜界島への航空券を使用し、Z世代のメンバー40名が実際に喜界島に来島。
この企画に対するSNSの関連投稿数は700件を超えるなど、かなりの反響を呼んだ。実際に来島すると喜界島の方々が喜んでくれたり、地元新聞社2社に掲載されるなど、僕たちだけではなく島の方々も喜ぶ企画を作ることができた。(詳しくは下の記事を読んで欲しい。)
全ての始まりは「たった2時間の飲み会」
さかのぼること数ヶ月前。9月下旬に、友達からある飲み会に誘われた。実はその日、年に一度あるかないかのイベントバッティングデー。3つか4つのイベントに同時に誘われており、どれに出席すればいいか迷っていた。
オフィスで作業をしていると、ふとLINE電話がなった。出てみると、この企画のキューピットとも言えるだろう女子大生カフェ店長のほのかからこんなことを言われた。
JAL。ふむ。これは何か匂うぞ。時たま犬のように強くなる嗅覚に従って、結局そのイベントに足を運んでみることにした。
みーつけた!今日のキーマン。
電車を乗り継ぎ、カフェに到着。さてどんな人がいるのだろうかと眺めていると、1人の真っ黒に日焼けをしたお兄さんに声をかけられた。
この人こそ企画の運命の人。JAL社内ベンチャーチーム発起人・代表の「しげる」こと、松崎志朗さんだ。
正直、最初の感想は、
「えっ、この人本当にJALの人!?
JALのイメージとなんか違う。イケてるベンチャー企業の社長じゃん!」
本当にこう思った。
犬のように嗅覚が冴え渡っていた僕は、「今日の飲み会では絶対この人がキーマンだ。なんとしてでも何か成果を残してやる!」と鼻息プンプンと意気込んでいた。
そんなガメツすぎる僕は、しげるさんをすっと捕まえて10分間、TABIPPO学生支部の活動やそれに対する僕の想いを熱弁。お話をしていくうちにみるみる意気投合し、「よし!俺はお前と何か一緒にやるぞ!」と約束を交わしてくれた。
計画的偶発性理論で言う「好奇心」と「冒険心」だろう。この時は、喜界島の企画なんてできるとも思っていなかったし、そもそも本当に一緒にプロジェクトをやることすら想像できてなかった。でも、この人がキーマン!だと信じ、10分間熱弁したことは今でも鮮明に覚えている。自分の強みである社交性がいきた瞬間だった。
そして、何かが起きそうなところに飛び込むこと。つまり、偶然は必然である!と言う言葉こそ、計画的偶発性理論である。この出会いは運命かもしれない。しかし、自らが何か起こるであろうことに飛び込んでいったからこそ、起こったまさに必然であるとも言えるのではないだろうか。
喜界島へ来島。ここでも計画的偶発性。
この出会いから約半年間。試行錯誤を重ね、企画実現への目処が立ってきた。僕たち2人に加えて、W-PITのらんらんこと、浅野さんとTABIPPO学生支部からは、ゆきなを企画メンバーとし、4人で企画を動かしていった。
念願かなって喜界島への視察。浅野さんとゆきなが視察スケジュールを綿密に立ててくれたおかげで、順調に視察は進んだ。
順調に進んだと言っても、普通の順調とは違う。予定していた旅程があったのだが、喜界島を訪れてみると面白いように「人」が数珠つながりのようにつながる。
金属加工店を営む伊藤さんが、地域おこし協力隊の住岡さんを紹介してくれたり、その住岡さんが牧場を営むひかりちゃんを紹介してくれたり…。島の人との出会いの数々だった。
これも計画的偶発性理論。物事を固定して捉えるのでなく柔軟性を持ってみる。偶然の出会いは必然であり、柔軟性を持っていたから素敵な出会いに恵まれたのかもしれない。
#自分を見つめるキカイ旅
しげるさん、ららさん、ゆきなをはじめとする企画メンバーや喜界島の方々の多大なるご協力もあり、この企画は大成功となった。
3月に行われたBackpackFESTAでは、しげるさんとTABIPPOのしみなおさん、そして僕の3人で壇上に上がり、計画的偶発性の話を会場に来てくれたお客様に説得力を持ってお話しすることができた。
実際にイベントで計画的偶発性理論の話を聞いてくれた方にも、かなり強いインパクトと影響を与えることができ、企画者冥利に尽きる。
そして、JAL様のご尽力により喜界島への往復航空券を提供いただき、たくさんのZ世代のメンバーが来島。おもいおもいの時間を過ごした。
TwitterやInstagramなどで「#自分を見つめるキカイ旅」と検索すると、たくさんの感想を見ることができる。ぜひ、このnoteを読んで喜界島へ訪れたくなった方は見てほしい。
終わりに
人間は、自分を防御することを本能的に持っているため環境が変わることを拒む生き物である。多少個人差はあるものの本能である以上、大差はない。
計画的偶発性理論は、待っていてもこない。本能と格闘し自ら環境が違くなるリスクを背負って、偶然が起こりうるところに飛び込む必要がある。
この企画が無事に終了し、まさに計画的偶発性理論に従いながら就職活動を始めてみた。もちろん、ある程度の中長期的な目標を持って努力することは大切である。
しかし、人生は旅だ。
悪天候で飛行機が飛ばない時もあれば、思わぬ事故に巻き込まれる時もあるかもしれない。そんな時でも前を向いて、冒険心を忘れず挑戦できるのかどうか。柔軟性を持って対処できるのかどうか。それが大切である。
今回のこの企画は、目の前にあるチャンスを絶対にものすると言う好奇心と冒険心。そして、旅で世界を素敵にするために、若者が旅する文化を創るのだ!というたった1人の大学生の想いが実現した。
あの飲み会がなかったら、あそこで話してなかった。
今頃どうなっているのだろうか。
僕はこれからも、偶然を必然にするべく挑戦を続けていきたい。
感謝
末尾に、たった1人の想いをこのような形で実現してくださったしげるさんをはじめとする日本航空の皆様。試行錯誤する姿を温かく見守ってくださったTABIPPOの皆様。そして、アイディア出しから始まり、実際に来島してたくさん発信をしてくれた学生支部のみんな。
本当にありがとうございました。
2022.4.2 日賀野舜
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