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君と最後に会った日

 いつがそれになるかわからないけれど、きっとその日が遠くないことはわかるし、ひょっとした…

蜩ひかり
2か月前
4

繊細な花

 あれはすばらしい花だと言われ、咲きそうな蕾を誰かがたいせつに育てている時、その花を見る…

蜩ひかり
2か月前
3

あなたがいたから

 運命の輪の軸に選ばれる人間というのはたぶんあらかじめ神様が決めたもので、あなたは最初か…

蜩ひかり
2か月前

あいまいな空

朝起きて、わたしの頭上に覆い被さるどんよりとした曇り空からふと光がさすのを見あげて、今日…

蜩ひかり
2か月前
5

梅雨

 紫陽花が似合うあなたはいつでも冷たい雨に打たれている。濡れそぼった髪が額にはりつくのを…

蜩ひかり
3か月前

天国と地獄

 死後の世界には三途の川があると聞いていたけれど、あの話は嘘だったのだと今しがた思い知っ…

蜩ひかり
3か月前
3

月に願いを

 流れ星が願いを叶えてくれそうな気がするのは、きっとあのちいさな炎が燃え尽きて、もう消えてしまう寸前だからだろう。何億光年か先でわたしたちのために光るいのち。その上にほんとうは誰が立っているのかを知れるとき、わたしも跡形もなく消えている。  月はきれいだけれどなにも叶えてくれない気がするな。あそこは竹から生まれたわがままなお姫様が治めていて、兎が住んでいる不思議の国、昔からそういうことになっている。  勝手に満ちたり欠けたりするし、太陽を食べたりするし、月はいつだってわがま

降り止まない雨

 わたしは雨である。  雨というものは表現手法においてまったく便利な代物で、いついかなる…

蜩ひかり
3か月前
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また明日

 別れの挨拶は祈りなのだ、と唱えたひとがいる。  もう二度と会わないことを願ってさような…

蜩ひかり
3か月前
1

透明

 都会を歩くひとたちはみんな透明だ。情報の洪水でわたしたちの色温度は希釈され、水びたしの…

蜩ひかり
3か月前
1

理想のあなた

 あなたがあなたの思いどおりのあなたじゃなくても私はあなたが好きなことに変わりはないし、…

蜩ひかり
3か月前

失われた時間

 遡ることができるなら変えたいのは私の未来なんかじゃなくて、ただ貴方に会いに行きたいな。…

蜩ひかり
3か月前

一年後

 未来のことなんて誰にもわからないけれど白か黒かなら白がいい。なんて、あたりまえのことを…

蜩ひかり
3か月前

二人だけの秘密

 貴方の眼のなかに深海を見るのは私が貴方をなにも知らずにいられるからだ。塵芥の雄弁が埋まる水の底では沈黙だけが宝石だよ、その光だけが世界を照らしていることだけは知っている。貴方のうつくしさだけが正しいから太陽はいつも東の海に寄り添いたがるんだ、深海に居る貴方だけがそれを知らない。  なにかを思うことも許されないと勘違いするのは私の勝手で、本当は許さないとさえ思ってもみなかったのでしょう。驢馬の耳には名前さえ明かさなくていいから貴方がいい、秘密は海底に穴を開けてしまうから、打