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「戦地跡の平和」オーダー絵画

「戦地跡の平和」という以前描いた絵画をご覧になった方から、オーダーをいただき、改めて描きました。感動したとおっしゃっていただけまして、作り手のこちらこそ感動です!

”戦地跡の光景と印象”は、身に染みた平和は、戦争も平和も凌駕するあっけらかんとした自然は、私の絵画を描きはじめた動機、初心であり、生涯のテーマでもあります。RPGゲームでいうと、冒険に出るきっかけでもあり最終目標でもあるラスボスです。どう攻略しようとしてきたか、記憶が散る前に記します。

戦地跡を描く経緯


高校の世界史の授業でNHK「映像の世紀」を見て、これは戦地跡を見ておかねばと思い、主に大学の頃、第二次世界大戦の戦地跡を旅しました。
ポーランドのビルケナウ・オシフィエンチム(アウシュヴィッツ)強制収容所跡、ハワイのパールハーバー、広島の原爆ドーム、スペインのゲルニカ…
(大学生の時、2001年9・11アメリカ同時多発テロ事件が勃発。)

特にビルケナウが衝撃的でした。当時をしのばせる凄惨な遺物、後世の人がつくったインスタレーションアート、誰か手を入れたというわけでもなさそうに自然と黄色い花が咲き白い蝶が飛ぶ自然の光景!自然、強い!

戦地跡を訪れると、平和が身に染みるし、慌てて死ななくてもいずれ土に還るし、死にたくなくなります。死にたくなったら旅をするといい。

その後、病気で一時的に視力を失い(←すごく眩しくて見えなくなったので、たぶん瞳孔開いてた)回復した際、せっかく目が見えるなら以前訪れたポーランドの「戦地跡に咲く花」を描きたいと切に望み、本腰を入れて絵を描くようになりました。

これまでの戦地跡を描いた絵画


そして初めてアクリル絵の具で絵画を描きました。

「跡に咲く花」2009年

美大に行ったわけでもなく拙いだろうけど、デザインフェスタでお買い求めいただき、自信は無いけど勇気が出ました。


黄色い花と白い蝶をクローズアップした小さい絵も描きました。

「ビルケナウに飛ぶ蝶」2012年

オーストラリアのMe&Artギャラリー「Kawaii!展」出展して、結婚お祝いのお礼に人に差し上げました。


その後、これまで訪れた戦地跡の印象を凝縮して、西荻窪の個展中に描きました。
特にハワイのパールハーバーで見た空の虹と、沈んだ戦艦から海に浮かぶ虹色のオイルが、大きく反映されました。

「戦地跡の平和」2013年

ROOMIEでご紹介いただいたり

アートメーターでお買い上げいただきました。

売れると全く思わず描いた作品をお買い求めいただけると、望外の喜びです。

絵画のオーダー 流れとご感想

こちらの絵をご覧いただき、今回オーダーいただきました。
元の絵と同じサイズをということで、F50号(116.7cmx91cm)です。

色やモチーフなど大まかな構成は同様にできますが、ほとんど下絵無しで想い向くまま描いたので、細部は変わってくるかもしれないとお伝えした所、
「少し変わっても大丈夫だから思いきり描いてください」とおっしゃっていただけて非常にありがたかったです。

下記のような流れで制作いたしました。

ご依頼

制作

描き上げた作品画像をメールでご確認

お振込み

発送

予めスケジュールはご相談させていただいたのですが、8月上旬にオーダーいただいて、お盆休みが挟まりキャンバスが届いたのが8月下旬頃、他の制作などで立て込んでいたこともあり描画できたのは9月の中の数日でして、9月末に描き上げました。「いつでもいいです!」というお言葉に甘えて約2ヶ月掛かり、恐縮です。

「戦地跡の平和 order」2022年

内心ドキドキしながらご依頼主の方にお送りした所
「実際に見て改めて感動しました。
部屋が優しく暖かい雰囲気になっています。
毎日眺めて癒やされようと思います。」

という、とても嬉しいご感想をいただけました。

オーダーをいただけましたら絵画を描きますので、よろしくお願いいたします!
(ホームページのcontactより、メールをお送りいただけます。)
http://www.hifumi123yoi45.com/gallery.html#gallery_p

自分の過去作品を改めて描く

9年ぶりに己が描いた「戦地跡の平和」を見た印象は…テクニック(技術)では無くパッション(情熱)で描いたな!

その後グラフィックデザインで学んだ構図的にいうと、もうちょっとメインの白いシルエットは左下に寄せた方が重心が落ち着くかなと思ったり、
近ごろ漫画で学び直したパースを考えると、現実世界では破綻しているけど心象風景としてはむしろパース気にしない方がいいなと思ったり…

まあ、パッションを大事にしよう!と思って、NHK「映像の世紀」や「日曜美術館」の”ビルケナウ 底知れぬ闇を描く ゲルハルト・リヒター”を流しながら描きました。リヒターはビルケナウを描いて、やっと肩の荷が降りたそうな。それほど重いテーマですよね…

当時は記憶を頼りに描いたのですが、今回は参考資料(ネットの画像、パールハーバーでもらったリーフレット)を見ました。旅行した時は、戦地跡で写真を撮影するのは気が引けて撮っていないのです。

久々に描く大きいアクリル絵画。出だしは置いて描きました。

まずは背景をざっと塗った所

立て掛けて水や絵の具たっぷりで描いたら絵の具が垂れてきました。
(そういえば元の絵も海のあたりは垂れがち。)

私の場合は短時間で描き上げた方が、情熱をほとばしらせやすいと思いました。
とはいえ1〜2日は描く時間を確保したい所。他の制作をしてクライアントの確認待ちの間に、更に1〜2日ほど描画。
じっくり時間を掛けて描くのもありだと思いますが、草間彌生さんは確か2〜3日で大きな絵を描き上げていたし、短期間で描くのもよし!…なはず。

夫に見せたら、「前より明るくクッキリしたね」とのこと。良いも悪いも無いけれど、ドロドロが減ったかな…


毎日ペンタブレットのペンを握って漫画やイラストは描いているのですが、
絵筆を握って絵画はなかなか描けていないのが実情です。

今は子育てや制作の仕事、引越しで追われてオリジナル作品は描けずにいますが、数十年という長期的なスパンで見て、絵画は描き続けたいです。
ひとまず引越したら部屋に飾る絵画を描きたい。
私が幼少時にはじめてなりたかったものは絵かきさんでした。

2022年、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、北朝鮮からの弾道ミサイルと、戦争を遠くに近くにひしひしと感じる今年、「戦地跡の平和」を改めて描く機会をいただけて幸甚です。

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