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【必見!】良い皮膚科を見分ける6つのポイント

 世の中には多くの皮膚科クリニックがあふれています。しかし、正直なところ良い皮膚科医も悪い皮膚科医もあり、患者さんがそれを見極めるのは難しいです。

 そこで今回のnoteでは、良い皮膚科を見つけるためにチェックすべき6つのポイントをまとめてみました。まず結論から説明すると、次の通りです!

【良い皮膚科を見つけるポイント】
①子供にやさしく接してくれる
②美容目的のプラセンタを扱っていない
③薬の塗り方/塗る量を詳しく説明してくれる
④前回処方した塗り薬の残っている量を確認してくれる
⑤飲む抗菌薬としてセフゾンやメイアクト、フロモックスを処方しない
⑥塗り薬としてゲンタシン軟膏やリンデロンVG軟膏を処方しない

 これらが出来ている皮膚科であれば、かなり当たりの可能性が高いです!ここから先でその理由を詳しく説明していきます。

①子供にやさしい
 皮膚科選びの際に気をつけないといけないことは、残念ながらお金儲けだけを目的に開業している医者がいるということです・・。そういう医師の場合、患者さんが治るかどうかには興味が無いんです。

 ではどうすれば、そういう医師を見分けられるのか?実は、子供への診察が丁寧かどうかはかなり重要なポイントです。

 お金目的の皮膚科クリニックの作戦は、下記2つのどちらかです(両方という所も多いです)。

・適当にぱぱっと診察して回転をあげることで数をさばく。

・利益幅が大きい高額の自由診療を売りつける。

 こういう医師にとっては、子供の患者は面倒でしかありません。なぜかというと、子供は

・問診や処置に大人よりも時間がかかる⇒数がさばけない

・美容目的で来院しない⇒単価の高いものを買わせられない。

という特徴が有るからです。そのため、金儲け目的の医師は子供が来院するのを嫌がっており、非常に適当に扱います。それこそ、「子供は診ません」という皮膚科すらあるほどです。

 しかし、真面目な医師なら子供の治療に手を抜くことはありません。子供のうちに皮膚をキレイにしてあげれば、その後にアトピーなどアレルギーの発症を予防できる可能性があります。そうなれば、その子の一生をより良いものにできるはずです。患者さんの人生を幸せなものにすることこそ、医者の使命なはずですよね。

②プラセンタを扱わない
 美容皮膚科入門編と言えるプラセンタ。しかし、実際に美容効果を示した研究はなく、副作用のリスクのみが示されています[Am J Obstet Gynecol. 2018;218:401.]。「効果は不明、副作用あり」という客観的事実を明示しないで提供するのであれば、もはや医師ではなく商売人です。

 「プラセンタがお肌に効く科学的な証拠は無いですし、副作用も有りえます。それでも使いますか?」と説明するのであれば、販売してもかまいません。しかし、そのことをしっかりと明示しない限りは、説明責任を果たしたことになりません。残念ですが根拠のない治療を売りつける医師も多くいますので、皆様には気をつけていただきたいです。

③薬の塗り方/塗る量を説明する
 皮膚科が他の科とは異なる特徴とは何でしょうか?それはなんと言っても、塗り薬の使用機会が圧倒的に多いことです。例えば循環器内科の先生なら、塗り薬よりも飲み薬を多く使いますよね。

 すなわち、塗り薬を患者さんに正しく使ってもらえてはじめて、「皮膚科のプロ」を名乗ることが出来、他の診療科の先生との違いを見せることが出来ます。なかなか知られていませんが、塗り方にはいろいろなコツがありますし、これをどれだけ把握して患者さんにうまく伝えられるのかが皮膚科医の腕の見せどころです。したがって、患者さんに対して塗り方のコツを教えないのは職務怠慢とみなされても仕方がありません。

④塗り薬の残っている量を確認する
 先程③で書いた内容とも関連しますが、「患者さんが塗り薬を正しい量塗れているのか」を確認するまでが皮膚科医の仕事です。たとえ「正しい薬」を処方したところで、「正しい量」を塗らないと無意味ですからね。飲み薬であれば飲む量を間違えることはそんなに多くないですが、塗り薬を正しい量塗ってもらうのは意外と難しいのです。

 時間はかかりますが患者さんが塗った薬の量を適宜確認しないと、正しい治療は出来ません。たとえば外来では、

皮膚科医「前回処方した水虫の塗り薬は3本とも塗り終わりましたか?」

患者「まだ1本しか使い切っていません。」

皮膚科医「そうですか。この薬はだいたい10日に1本くらいのペースで塗るとちょうどよいです。少し塗る量が少ないようですね。この資料を見ながら、薬を塗る範囲を一緒に確認しましょう!」

というようなやり取りは日常茶飯事です。患者さんがうまく塗れていない場合には、皮膚科医が修正していかねばなりません。逆に、なかなか治らない場合にもこのようなやり取りを受けていないのであれば、少しおかしいと言えます。

⑤セフゾン/メイアクト/フロモックスを処方しない
 これらは第3世代セフェムと呼ばれる抗菌薬の飲み薬です。日本では皮膚科医に限らずに非常に乱用されているのですが、そもそも体内への吸収率が悪く、皮膚へ適切な効果を示した十分な研究が有りません[小児感染免疫 2016;28:302-10.]。それこそほとんどが体へと吸収されないままに便になってしまうので、

経口第3世代セフェム=だいたいウンコ(DU)薬

とすら言われています。効かないだけならばまだしも、下痢[日本環境感染学会誌 2008;23:175-180]や低カルニチン血症など副作用が起こりやすいので、まさしく踏んだり蹴ったりで使い所のない薬です。実際、勉強をしていない日本の医師しか処方していないガラパゴス的な薬剤です。これらの薬剤を処方されたら、その医師は勉強不足とわかります。

⑥ゲンタシン/リンデロンVG軟膏を処方しない
 ゲンタシン軟膏は塗るタイプの抗菌薬です。しかし、この薬は乱用されすぎた結果、現代では皮膚に住んでいる細菌のうちでゲンタシンが効きにくい菌(耐性菌)の割合がとても高くなっています[小児感染免疫 2007;19:405-12.]。さらに、アミノグリコシド系というタイプに属するゲンタシン軟膏はかぶれを生じやすい薬であり、副作用的にも使いにくいです[皮膚 1985;27:571-7.]。つまり、効果とデメリットのバランスが悪い薬としか言いようがありません。

 付け加えると、アクアチム軟膏などゲンタシン軟膏よりも効きやすく、明らかに優先すべき塗り薬が存在しています[J Med Microbiol. 2008;57:1251-8.]。これらを総合すると、ゲンタシン軟膏が処方されたとしたら、それは不適切と考えられます。

 リンデロンVGはリンデロンVというステロイド軟膏にゲンタシンを混ぜた薬です。しかし、「(先ほど説明したように)ゲンタシンが抗菌薬のチョイスとしては微妙」「リンデロンが外用ステロイドのチョイスとして微妙(ネリゾナ軟膏よりも効果・安全性ともに劣るとされている[日獨医報 1993;38:44-58.])」「そもそもステロイドと抗菌薬を混ぜた薬剤を使うべき場面はかなり限定的[Am J Clin Dermatol. 2000;1:211-5.]」と疑問点が多く、これを処方すべき場面は思い当たりません。これまた処方されるとすれば不自然な薬剤と言えます。他にネオメドロールEE軟膏なども、ステロイドと抗菌薬を混ぜた薬であり、使い所がない薬です。


 以上、長くなりましたが、これらのポイントを守れている皮膚科であれば当たりと言える可能性が高いです。皆様がよいかかりつけ医を見つける参考になれば幸いです。

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