見出し画像

自伝小説 ままごとかあさん15  7歳の決意

何にもしないでタバコを吸ってばかりの母のこと

怒鳴り散らしてばかりいる父のこと

気が狂ったように悪口を言い続ける祖母のこと


ワタシの家族の異常さを

みんなが知ったらどう思うだろう。

ウワサのネタにされ

学校や近所でバカにされるかもしれない。

この人たちと同じ血が流れている

ワタシのこともバカにされるだろう。

きっと、

みんなからかわいそうな子どもだと言われる…

そう考えはじめると

ワタシの中は恐怖と羞恥心でいっぱいになった。


なんとしても

この家族のことを隠さなくては!


7歳のワタシはそう決意した。



学校からもらってきたプリントの返事は

自分で書くことにした。

母の筆跡に似せて名前を書いて

提出してみた。

諸経費袋には

その辺に転がっている

母の財布からお金を取って入れた。


これで

醤油のシミがつくのを防いで

期限を守って提出することができた。


「お知らせはおウチの人に必ず見せて

書いてもらってくださいね」

と先生がみんなに言ったが

ワタシが書いた提出書類に

何か言われることはなかった。


弟が小学生になると

弟のプリントの返事もワタシが書いた。

弟の算数セットの名前書きもした。


今思えば

子どもの字がバレないわけはない。

先生はワタシが

弟もいる母を

一緒懸命お手伝いをしていていると

思ってくれたのかもしれない。



給食着は袋から出して

これから洗う洗濯物の山の上に置いておいた。

洗濯されて乾いてしまえば

ワタシにも畳むことはできる。

多少のシワがあっても

洗っているとウソをついて持って行くよりは

何倍もマシだった。

運がよい時は

気が付いた父がアイロンをかけて

くれるようになった。



フツーを装うために思い付く限りのことをした。

ワタシは毎日アタマをフル回転させて

あれこれ先回りをした。

必死だった。


でも、どんなにひとりで頑張っても

避けられないことはたくさんあった。


そのたびにとても落ち込んだ。




小学生になり

もともとあったアレルギー性鼻炎が

悪化してきた。

喘息の症状が出始め

深夜、近所の医者へ駆け込むことが増えた。


出さなくなった言葉は

ワタシの身体に溜まり

心身を蝕んでいった。



つづく



サポートしてもいいよ~!と思った方、よろしくお願いいたします🙏活動資金とさせていただきます☺