桜井飛英

作家・小説家。 小説「#ロンドンのウソつき」をnoteにて無料連載。 感想やコメントな…

桜井飛英

作家・小説家。 小説「#ロンドンのウソつき」をnoteにて無料連載。 感想やコメントなど執筆の励みになりますのでぜひお寄せください。 執筆などお仕事のご依頼はTwitterのDMからお願い致します。 小説/ロンドン/イギリス/ファッション/英国ファッション/ワーホリ留学/語学留学

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  • 短編小説集

    短編小説をまとめたマガジンです。

  • 「#ロンドンのウソつき」連載

    作家・桜井飛英。 無料の連載小説「#ロンドンのウソつき」。No.1からまとめています。

最近の記事

会社に「くノ一(くのいち)」がいた件について(短編小説)

会社に「くノ一(くのいち)」がいた件について(短編小説) 僕はファッション関係の小さな会社で働いている。 社長夫婦と僕たち従業員が5〜6人だけの規模で「中小企業」ってやつだ。 仕事の担当はある程度決まっているものの、少人数で仕事をしていることもあり、境界線は曖昧。 みんなで協力して全ての業務を進めていこう。という感じだった。 朝はいつも9時に始まる。 僕たちスタッフでミーティングをすることが毎朝の日課だった。 ミーティングをしているといつも社長の奥さんが先に出社し

    • ケジメのつけ方がカッコ良いと思えた(短編小説)

      ケジメのつけ方がカッコ良いと思えた(短編小説) 生涯忘れることはないと思った。 ・ ・ 僕はファッションの仕事をしている。全国のセレクトショップなどにブランド商品を納品する「卸し」の会社だ。 会社の規模は小さいながらも大手のセレクトショップから地方のオーナー経営のお店まで幅広く取引先があった。 ある日、いつものように受注を取るために事務所で展示会を行っていた。 バイヤーと呼ばれる人たちにブランドの商品を見てもらって注文をもらうことが狙いだ。 そんな中、ファッション業

      • 社長の嬉しそうな笑みを見た (短編小説)

        社長の嬉しそうな笑みを見た (短編小説) 今日は自社と契約している物流センターとの定例会議だった。 物流センターと言っても規模はそこまで大きくなくて、1人の社員さんとパートの方が数名いらっしゃる程度の物流センターだ。 そこにうちの会社と他にも2〜3社が入っていて、倉庫としてや出荷業務に利用していた。 うちの会社だって社長をはじめ5〜6人のスタッフがいるだけの小さな会社だ。 ファッションの衣料品をお店に納品する卸売をしている。 僕はそんな会社の物流担当だったので定例会議に出

        • #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.16

          小説 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 無料連載中です。 最初から読んで頂ける方はマガジンにまとめていますのでNo.1からどうぞ。 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.16 大阪の海の上に続く長い長い橋を電車で渡ったら、そこに関西国際空港が待っていた。 電車が到着し、僕は大きなバックパックを背負って電車から降りた。 関西国際空港には数回来たことがあったがいつも迷ってしまう。 少しウロウロしてしまったけれど、なんとか出発ロビーにたどり着いてチェックインカウンター

        会社に「くノ一(くのいち)」がいた件について(短編小説)

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        • 短編小説集
          3本
        • 「#ロンドンのウソつき」連載
          16本

        記事

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.15

          小説 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 無料連載中です。 最初から読んで頂ける方はマガジンにまとめていますのでNo.1からどうぞ。 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.15 信じられなかった。 もう4月だというのに、テレビのニュースに映るロンドンは真冬のように雪が降っていた。 珍しい気象だということで、テレビをつけた時から繰り返しロンドンの街の様子などが映っていた。 朝の6時、1人リビングでテレビを見ながら朝ごはんを食べている。 今日は1年間のイギリス留学へ旅

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.15

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.14

          小説 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 無料連載中です。 最初から読んで頂ける方はマガジンにまとめていますのでNo.1からどうぞ。 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.14 いつも通り、母親と父親と共にテレビを見ながら晩御飯を食べている。 バラエティ番組ではお笑い芸人が次から次へとコントやネタなどを披露していた。 そんな芸人たちのネタを横目に僕は少し急ぎながらご飯を食べた。 番組の途中であったけれど、食べ終わった食事を片付けて先にリビングを立った。 「いって

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.14

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.13

          小説 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 無料連載中です。 最初から読んで頂ける方はマガジンにまとめていますのでNo.1からどうぞ。 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.13 ほんとうに何気なく入った本屋さんだった。 ショッピングモールの2階にある本屋さんは開店して少ししか時間がたっておらず、お客さんは誰も入っていなかった。 通路側に誰でも立ち読みできるように雑誌が並べられており、僕はお店の思惑通り立ち止まって雑誌を手に取った。 いつもファッション雑誌を立ち読み

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.13

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.12

          小説 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 無料連載中です。 最初から読んで頂ける方はマガジンにまとめていますのでNo.1からどうぞ。 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.12 ・ ・ ・ ・ 即席のテーブルとして用意した小さな台。 いつもは高いところにある物を取る際に踏み台にしている木製の台。 停電の復帰を待っている間、事務所の外に椅子を出して座りながら、その踏み台をテーブル代わりにしていた。 台の上のお皿に乗っている残り2枚のビスケットの中から1枚をつまんで

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.12

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.11

          小説 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 無料連載中です。 最初から読んで頂ける方はマガジンにまとめていますのでNo.1からどうぞ。 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.11 専門学校の卒業式の会場には、もうすでにたくさんの人が集まっていた。 普段学校で一緒に過ごした顔馴染みの学生たちが、みんな今日は華やかにドレスアップしていて別人のように見えた。 特に女性はドレスや着物、それにスーツ姿などバリエーションが豊富だった。 男性はスーツやジャケット姿など、普段よりち

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.11

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.10

          小説 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 無料連載中です。 最初から読んで頂ける方はマガジンにまとめていますのでNo.1からどうぞ。 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.10 心斎橋駅を降りた僕はいつもの学校へ向かう方向と逆の向きに御堂筋を歩き出した。 今日はイギリスに滞在するためビザ申請で英国領事館に行く日だった。 御堂筋を北に歩いてすぐにある背の高い立派なビル。ここの19階に在大阪英国総領事館があった。 エレベーターが空き、少し重たい扉を開くとセキリュティ

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.10

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.9

          小説 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 無料連載中です。 最初から読んで頂ける方はマガジンにまとめていますのでNo.1からどうぞ。 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.9 自動ドアが開く音が聞こえたので、僕は条件反射的に声がでた。 「いらっしゃいませー!」 スーツを着た年配の男性が吸い込まれるように1人、また1人と入ってくる。 専門学校に通いつつも吉野家のアルバイトはずっと続けていた。 時給が良いという理由で深夜の時間に働いていたので、僕の体内時計は毎日ぐ

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.9

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.8

          小説 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 無料連載中です。 最初から読んで頂ける方はマガジンにまとめていますのでNo.1からどうぞ。 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.8 なんでも自分が経験したことがない初めて時は不安でいっぱいになる。 それが失敗の許されない自分の大金を賭けたことだと尚更だ。 僕は駅前にあるUFJ銀行に自転車で向かっていた。蒸し暑い夏の天気に汗が滲み出る。 今日は学校が午後からなので朝は比較的ゆっくりできる日。 いつもお金を下ろす時はコンビニ

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.8

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.7

          小説 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 無料連載中です。 最初から読んで頂ける方はマガジンにまとめていますのでNo.1からどうぞ。 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.7 「土曜日に学校へ来るなんて変な気分だな。」僕はいつもの通学と違ってガラガラに空いている朝の電車に違和感を感じた。 今日は土曜日なので授業はない。でも事務作業で出勤している遠藤さんにイギリス留学の相談をするために来た。 「土曜日の午前中ならいいよー。」 と遠藤さんからメールの返事が来たので、

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.7

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.6

          小説 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 無料連載中です。 最初から読んで頂ける方はマガジンにまとめていますのでNo.1からどうぞ。 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.6 ・ ・ ・ 「えー、足は大丈夫だったんですか!?」 松下がそれまで深めに座っていたイスから少し身を乗り出していた。 「自分では骨折だと思っていたけれど、病院でレントゲン検査をしてもらったら折れてなかったんだよね。結局は打撲と少しの擦り傷とかだけだった。」 僕は松下に話しながら、いろいろ

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.6

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.5

          小説 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 無料連載中です。 最初から読んで頂ける方はマガジンにまとめていますのでNo.1からどうぞ。 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.5 「ウソだろ!!」 僕は目を見開いて心の中で叫んだ。 ちょうど軽バンを横目に通り過ぎるまさにその時、右折したはずの軽バンがいきなりバックしてきた。 そのまま軽バンは僕のバイクに接触。それでも尚、軽バンは気づかずにバックし続けている。 「おい、ちょっと待って!!」 僕は叫んだが軽バンは気づ

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.5

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.4

          小説 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 無料連載中です。 最初から読みたい方はマガジンとしてまとめています。 こちらからどうぞ。 https://note.com/hieisakurai/m/m1825974d1e83 #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.4 停電が始まって30分くらいした頃、周りのアトリエのデザイナーなども外に出てタバコを吸っていたり、マグカップを持ちながらスマホを見ている。 イギリスでよく見ることが多い自分で巻くスタイルのタバコは、巻く時

          #ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.4