【児童文学評論】 No.311 2024/01/31

「オランダ語の子どもの本こぼれ話」(1)

 

初めまして、野坂悦子です。これまで楽しみに読んできた「児童文学評論」に、オランダやベルギーの子どもの本の動きなどを、書かせていただけることになりました。ときには私のもうひとつのライフワーク、紙芝居のこともまじえて、のんびり不定期に連載を続けていければと思っています。

私はオランダ語の翻訳者として、1989年に絵本『レナレナ』(ハリエット・ヴァン・レーク/リブロポート刊/2019年に朔北社より復刊)でデビューしました。オランダは個人主義が強く、同性婚や安楽死を世界に先駆けて法制化したところ。多文化共生の理念を大切にしているものの、今は他のEU諸国と同様に、難民の受け入れ体制をめぐって大きく揺れています。そんな国で生まれた児童書には、やはり日本の感覚とは異なる部分が多々あります。例えば最近私が訳した『パパがしげみになった日』(ヨーケ・ファン・レーウェン作/岡本よしろう絵/ほるぷ出版)では、突然起こった戦争のせいで、主人公トダが隣国に住むママのところへ、ひとりで国境を越える旅をします。そう書くと、難民をテーマにした深刻な物語のようですが、全体にとぼけたユーモアが漂い、児童文学の厚みを感じるのです。

 

初回で取り上げるのは、2023年12月にハーグの文学博物館/子どもの本の博物館で発表されたアンソロジー『君のための本(Een boek voor jou)』(仮題)についてです。

この本はベルシャ語、アラビア語、ティグリニャ語(エリトリアとエチオピアの言語のひとつ)、ソマリア語、クルド語、トルコ語で出版され、オランダに150以上あるAZC(難民申請者センター)で暮らす、これらの言語を母語とする4歳―12歳の子どもたちに、歓迎プレゼントとして配布されます。全部で1万部、用意されました。

Een boek voor jou | Marit Törnqvist (marittornqvist.nl)

http://www.marittornqvist.nl/nl/optredens/special-projects/een-boek-voor-jou/

また、これらの言語を話さない子どもには、いろいろな土曜日の過ごし方を描いた文字なし絵本『土曜日(Zaterdag)』(サスキア・ハルフマウ作、レオポルト出版)が配布されます。

Amazon | Zaterdag | Halfmouw, Saskia | Personal Hygiene

https://www.amazon.co.jp/Zaterdag-Saskia-Halfmouw/dp/9025873774

このプロジェクトの中心人物は、絵本作家のマリット・テルンクヴィスト(テーンクヴィストの表記もあり)。『君のための本』の初版は2017年にアラビア語で発行され、オランダに難民として来た子どもたちにプレゼントされました。

そこに収められたのは、アニー・M.G.シュミット、フィープ・ウェステンドルプ、トーン・テレヘン、マックス・ヴェルジュイス、テー・チョンキン、ジャック・フリーンス、パウル・ファン・ローーン、ベッテ・ウェステラ、シャルロット・デマトーン、フィリップ・ホップマン、そしてマリット・テルンクヴィストらの物語や詩やイラストレーション。

 

12月初旬から配布が始まる新版『君のための本』には、さらにアンネマリー・ファン・ハーリンゲン、レオ・ティマース、テッド・ファン・リースハウト、そしてベルギーのオランダ語圏からバルト・ムイヤールト(アストリッド・リンドグレーン記念文学賞受賞作家)らも加わっています。どの作家や画家も、無償で作品を提供。ちなみに、ジャック・フリーンスとテッド・ファン・リースハウト以外の作家には、すべて邦訳作品があります。

また今回の発行・配布には、オランダ文学基金、Querido出版に加えて、COA(難民申請者受け入れ中央機関)をはじめとする多くの団体が賛同し、協力しました。

このプロジェクトの目的は、「子どもたちを、新しい世界の美しい物語で、しかもその子たちの母語で、歓迎すること」。そうすれば「子どもたちは到着後すぐに、着いた国や文化と出会える」から。

ヨーロッパ全体同様、オランダに到着する難民の数は急増しています。UNHCRの報告によれば2021年には24696名、2022年には35535名。もっとも多いのはシリア、アフガニスタン、トルコからの人たちです。オランダ国内に住む難民全体の数も、ウクライナからの急増によって2022年には2021年の2倍以上、218457名にふくらんでいます。Bescherming in Nederland: Asielverzoeken in cijfers (vluchtelingenwerk.nl)

https://www.vluchtelingenwerk.nl/nl/nieuws-en-kennis/cijfers-over-vluchtelingen-nederland-europa-wereldwijd/bescherming-nederland

これらの数字の中で子どもたちの正確な数は把握できなかったのですが、『君のための本』の発行部数(1万部)の意味を考える手がかりにはなるでしょう。

 

マリットはスウェーデン人の父とオランダ人の母を持つ、オランダ語圏を代表する人物です。日本でも、『赤い鳥の国へ』(アストリッド・リンドグレーン作/石井登志子訳/徳間書店)、絵も文も本人が手がけた『しあわせの島へ』(長山さき訳/徳間書店)、『愛についてのちいさなおはなし』(野坂悦子訳/小峰書店)など11点の作品が翻訳出版されています。

2015年には来日し、国際子ども図書館をはじめ各地で講演やワークショップを行いました。様々な社会活動でも知られ、2020年にはIBBY-iRead読書プロモーター賞を受賞しています。これはIBBY(国際児童図書評議会)と中国のiRead基金が創設した賞で、子どもの読書活動に貢献し、社会に大きな影響を与えた個人に贈られるものです。国を越えて、読書の楽しさを伝えてきた彼女は、 特にイランの読書推進プロジェクトRead with Meとの関係の中で、難民やストリートチルドレン、困難な境遇の子どもたちへの長年の支援で知られています。

https://www.kodomo.go.jp/info/child/2020/2020-077.html 

https://jbby.org/news/oversea-news/post-8725 

https://www.tokuma.jp/news/n34913.html 

自身のHPによれば、自分が住む村のAZCを繰り返し訪れるうちに、そこの人たちが母語の本を切望していることを知って、今回の本のアイデアを思いついたそうです。マリットはスウェーデンでも同様の活動をしていて、2016年にはアラビア語訳のリンドグレーンの児童書3万冊が、スウェーデンで配布されました。

 

日本での難民認定申請者数も増加傾向にあり、2022年には3772名でしたが、令和4年における難民認定者数等について | 出入国在留管理庁 (https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/07_00035.html)、外国にルーツを持つ子どもの数も増え続けています。(2019年の文部科学省の調査によると、義務教育の学齢に相当する外国籍の子どもの数は12万4千人)。赤ちゃんに絵本を贈る「ブックファースト」運動が盛んになっている日本なら、出版を通して日本の文化をそんな子どもたちに届ける運動も生まれてくるかもしれません。しかし、強い意志と情熱を持って動き始める人がいなければ、何も始まらないのが現実です。

 

締めくくりに、マリットから個人的に聞いた、たとえ話をひとつ、ご紹介しましょう。

<父親と女の子が浜辺を散歩していました。すると、そこにたくさんの小魚が打ち上げられていました。女の子は1匹ずつその魚を救い上げて、海にもどします。「こんなにたくさんいるんだから、そんなことをしたって無駄だよ」という父親に、女の子はこう答えました。「でもパパ、わたしがやらなくちゃ。だって目の前の魚をほっておいたら、みんな死んじゃうんだよ」>

 

理不尽だらけの世界の中に計り知れない悲しみがあっても、そこから目をそらさずに、今の自分にできることを、自分の手で行う。その女の子の後ろ姿と、このプロジェクトを実現させるために奔走した(であろう)マリットの姿が私の中で重なるのです。

時間をかけて入念に描かれた彼女の絵本を見るたびに、鋭い感受性と、豊かな色彩感覚に驚かされます。他者の苦しみ、悲しみにも強く共感できる人だからこそ、ひと目で人を巻き込む力を持つ絵を生み出せるのかもしれません。『おねえちゃんにあった夜』(シェフ・アールツ作/長山さき訳/徳間書店)に描かれた大きな大きな満月や、『だいすき そんなきもちをつたえてくれることば』(ハンス&モニック・ハーヘン作/野坂悦子&木坂涼訳/金の星社)の最初の詩「だいすき」のために描かれた、床いっぱいのハートのように。

2022年に出した『亀とぼく(Schildpad en ik)』(仮題/Querido出版/未邦訳)では、男の子がおじいちゃんから聞いた、海亀とのかけがえのない友情の物語を、自らの文と絵で伝えています。マリット・テルンクヴィストは、これからも絵本作品や社会活動を通して、私たちに「共に生きる」ことの意味を問い続けるのでしょう。


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スペイン語圏の子どもの本から(58)


『パパはたいちょうさん わたしはガイドさん』(ゴンサロ・モウレ作 マリア・ヒロン絵星野由美訳 PHP研究所 2024.1)

 最初の見開きで読者は、女の子がパパと手をつないで学校に行くところだとわかります。そして、次の次の見開きの絵を見てはじめて、この女の子がメガネをかけてアイパッチをしていること、パパが白い杖をついていることに気づき、おやっと思うことでしょう。そして、次のページを開くと、「わたしの めは かすかに みえるけれど、パパの めは みえない。」という文章があります。でも、「パパは(中略)このせかいの だれよりも ずっと、たくさんの ものを みてる。」のです。

 そんな女の子とパパが、学校に行くようすをえがいた絵本です。途中には、二人だけの楽しみがあり、遊びがあり、どきどきする瞬間があります。視覚に障害を持つ親子の日常が、同情もあわれみもさしはさまずに描かれているのがすてきです。女の子とパパが信頼しあい、愛しあっているようすが、絵からも言葉からも伝わってきて、心があたたまります。

 道路を通りすぎる車から始まって(スペイン語だと車種名は、みんな動物の名なのです)、「ひかりと かげと おとの ジャングル」に見立てられた通学路には、さまざまな動物があらわれます。画面の片すみに登場する青いおさるさんをさがすのも楽しいでしょう。

 マリア・ヒロンの描く人物は繊細で、手足や体の動き1つ1つにも感情が表れているようです。スーラの点描画のように、全体に色がうっすらしているのは、この女の子の視界を再現しているからでしょうか。

 2023 IBBYバリアフリー児童図書の「障害がある子どもや人物を描いた本」のカテゴリーにも選定されています。公共図書館にも学校図書館にもぜひそろえていただきたい、スペイン発の絵本です。

https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-88147-8


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イベントのお知らせ

どちらもオンラインの講座です。全国どこからでもご参加いただけます。

1、JBBY新・編集者講座「作り手と読者をつなぐ 子どもと本の居場所づくり」

日時:2024年2月7日(水)18:30-20:30(2月19日まで見逃し配信あり)

講師:増田喜昭さん(子どもの本専門店「メリーゴーランド」店主)

参加費:一般:1,650円 JBBY個人正会員/法人会員:1,430円

詳細、お申し込み方法はこちら

https://jbbyonline046.peatix.com/view


2、JBBY希望プロジェクト 学びの会「生きる力をはぐくむ居場所づくり~不登校やひきこもりの子どもたちによりそう」

日時:2024年2月14日(水)18:30-20:30(2月21日まで見逃し配信あり)

講師:西野博之さん(認定NPO法人フリースペースたまりば 理事長、川崎市子ども夢パーク・フリースペースえん他、各事業総合アドバイザー)

参加費:一般1,320円 JBBY個人正会員/法人会員990円

詳細、お申し込み方法等はこちら

https://jbbyonline045.peatix.com

(宇野和美)


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◆ぼちぼち便り◆ *作品の結末まで書かれています。


1月の読書会は、『消えたソンタクホテルの支配人』 (チョン ミョンソプ/著 北村幸子(さちこ)/訳 YA! STAND UP 影書房 2022年12月)を課題本に選びました。


日本の植民地支配が始まる3年前である1907年、実際にソウルにあったソンタクホテルが舞台になったミステリー作品です。ホテルボーイの16歳の裵正根(ペ チョングン)とホテルの隣にある梨花学堂でやはり16歳の学生・李福林(イ ポンニム)が、ホテルを経営するソンタク女史の行方不明事件を解明しようとするストーリーです。両親を亡くした正根(チョングン)は、王を護衛した大韓帝国侍衛(シウィ)隊の兄に連れられて、ソンタクホテルに来ます。ソンタクホテルを経営するソンタク女史は、皇帝・高宗(コジョン)の側近で、皇室典礼官、つまり、皇室で西洋の礼儀作法と西洋料理を担当している外国人。ソンタク女史は、日本の伊藤博文をはじめとする多くの外国人がソンタクホテルで晩さん会をしたあと、消えてしまいます。チョングンが心配していると、「急にかたづけないといけない用事ができて、しばらく青島(チンタオ)へ出かけます」という手紙が来ます。チョングンは、ソンタク女史がいつも使っている便箋と違うため、無理矢理書かされたのではないかと疑い、英語のできる福林(ポンニム)と調査に乗り出します。そして、二人は、この失踪事件が、オランダのハーグで行われた万国平和会議に皇帝の高宗(コジュン)が秘密裏に密書を下賜し、特使を派遣したという、実際にあった「ハーグ密使事件」とかかわっていることを知ります。


全体的には、ミステリー仕立てで、テンポよく読めた。どんどん読めた、など多くの人がおもしろかったという意見が多かったですが、タイトルにわくわくしたが、ミステリーとしてはやや物足りないように感じた。ハーグ事件の大きさとストーリーがやや釣り合っていないように思った、などの意見もありました。


登場人物についても多くの意見が出されました。主人公が働く男子の正根(チョングム)と、学んでいる女子の福林(ポンニム)という設定になっていてうまく配置されている。二人は、かなりのエリートだと思った。いろんな人がでてきておもしろく描かれていた。実在の人と架空の人がうまく組み合わせてできている。ソンタクホテルに入った正根(チョングン)をいじめた万徳(マンドク)が、実は独立のためのスパイであり、正根(チョングン)の味方だと思っていたボーイのホンボがお金のためにソンタク女史を裏切っていたというどんでん返しがおもしろかった。万徳(マンドク)の正体を知るとかっこよく感じた。誰が善人で誰が悪人かわからないところがおもしろかった。善人と悪人の伏線はもう少しあってもよかったのではないか。実在の親日派の政治家李完用(イワニョン) が自分の過去を語るなど、ただの悪役ではなく、一人の人間として描かれている点が意義深い。大韓毎日申報社の社長でイギリス人のベセル社長や、ポンニムの伯父として登場する実在の親日派の政治家、李完用(イワニョン)などが、自分のことを語るのはやや説明的に感じた。人の名前が多くて混乱した。人物紹介の部分をコピーして手元に置いて読んだという人もいました。


ストーリーの中では、万徳(マンドク)が正根(チョングン)たちの後をつけていて、先回りしたというエピソードで、あとで、それが自転車を使っていたと種明かしされるところが時代を感じておもしろかった。ドラマチックではあるが、騒々しさは感じず、落ち着いて楽しめた。ソンタク女史の最後のことばである「わたしの故郷のアルザスは、もともとプロイセンの領土でしたが、わたしの生まれたころはフランス領になっていました。16歳になったとき、普仏戦争がおこってドイツ領になりました。歴史というものは、どうなるかだれにもわからないものです。だから、あまり落胆しないで、耐えねばなりません。そう、また春がめぐって来るまでは、ね」(p.219)が心に残った。そして、この「春」がくるまでに韓国はどれだけ長い間待たなければいけなかったか、今も完全な春とは言えない状況に心が痛む。日本がその発端にかかわっていることを重く受け止めた、などが語られました。


実話に基づいたフィクションであることについては、「あとがき」からそうだったのかと2度楽しめる。実話にのっかっていてハラハラドキドキし、どこがフィクションなのか知りたくなった。ソンタク女史は架空の人物だと思っていたら実在の人物で驚いた、などの発言がありました。


この時代の韓国の状況については、何も知らないと気づいた。歴史をもっと知らねばと思った。福林(ポンニム)の父が韓服を着て、伯父は洋装、町行く人もいろいろな服装があった。韓国文化が服装や店の様子、通りの様子などから読み取れるのが興味深い。渾沌とした時代だったことが多様な服装からも読み取れる。皇帝・高宗(コジョン)は韓国で初めてコーヒーを飲んだ人と言われている。この作品でもコーヒーがホテルで出されていて興味深かった。アメリカやロシアなど大国の圧力の中にあった韓国の状況がわかって興味深かった。大国にはさまれて、かけひきをしながら生き延びた国だと改めて思った。この時代の韓国の状況が明治期の軍国主義とかかわっていることがわかる、などが挙げられました。


韓国について詳しい人からは、明治維新がおもしろいように、この時代は激動の時代でとてもおもしろく、韓国のドラマや映画などでも多く取り上げられている。特に、実在の親日派の政治家李完用(イワニョン)は、よく悪役として登場する。韓国ではあまりに悪役としてのイメージが強いので、韓国の読者にとって、ポンニムの伯父という設定で大丈夫なのかと思った。『高宗・閔妃 然らば致し方なし』 (木村幹/著 ミネルヴァ書房 2007年12月)や『閔妃(ミンビ)暗殺―朝鮮王朝末期の国母』 (角田房子/著 新潮社 1988年1月)などでこの時代のことを知っていたので、重ねて読んで興味深かった。著者は韓国ドラマ「馬医」の原作者だと知ってなるほど、ストーリー展開がうまいと思った、などの発言がありました。


また、歴史を知っている韓国の若者読者にとってこの本は、この時代はそういうことだったのかとおもしろく読めると思うが、日本の多くの子どもは知らないと入り込めない部分もあるのではないかと思った。日本の読者には、日本をこういうふうに見ているのかと知ってほしい。日本の高校生に読んでほしい。ハーグ密使事件によって皇帝・高宗(コジョン)が失脚し、日本が支配をぐっと進めるきっかけになった。日本の人たちに今の政治状況や韓国との関係を知る上でも読んでほしい、などの意見も出されました。そのほかにも、自分で地図を探してみながら本を読んだので、地図があったらよかった。年表がほしかった、という感想もありました。


最後に、日本と大いに関わりのある韓国の歴史を土台にした作品が訳されたこと自体に意味があること、大阪での翻訳の勉強会を重ねてこの本が出版されたことの意義についても語り合いました。(土居 安子)



<財団からのお知らせ>

● 第19回国際グリム賞 贈呈式・記念講演会

講 師:クレア・ブラッドフォード博士(第19回国際グリム賞受賞者)

演 題:「オーストラリアの緑との交流 オーストラリアの絵本における植物と人間のかかわり」

日 時:2月4日(日) 14:00~17:00

会 場:國民會館 武藤記念ホール(大阪市中央区大手前2)

定 員:70人(申込先着順)  参加費:無 料

主 催:一般財団法人 大阪国際児童文学振興財団/

    一般財団法人 金蘭会/大阪府立大手前高等学校同窓会 金蘭会

お申込み、詳細は ↓↓

http://www.iiclo.or.jp/07_com-con/01_grimm/index.html#19ceremony


●「日産 童話と絵本のグランプリ」40周年記念フォーラム

「童話を語る・絵本を描く -童話・絵本のつくり手を目指すみなさんへ-」

「第40回 日産 童話と絵本のグランプリ」表彰式で、本グランプリ審査員による、40周年記念フォーラムを開催します。

日 時:3月9日(土) 13:30~15:30 (全体のうち、フォーラムは50分程度です)

会 場:大阪府立中央図書館 ライティホール

講 師:黒井健(絵本画家)、高畠純(絵本作家)、富安陽子(童話作家)、吉橋通夫(児童文学作家)

進 行:宮川健郎(IICLO理事長、児童文学研究者)

定 員:70人(申込先着順) 対 象:中学生以上 参加費:無 料

主 催:大阪国際児童文学振興財団

協 賛:日産自動車株式会社

お申込み、詳細は ↓↓

http://www.iiclo.or.jp/07_com-con/02_nissan/index.html#40forum

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三辺律子です。


 腱鞘炎になってしまいました涙。それで、今回はこれも音声入力で打ってます。慣れないので、キーボードを打つよりもよほど時間がかかるのですが(→が、「evenを動物よりもよほど機関もかかるのですが」になったりする)なんとかやってみます。iphoneのほうがきれいに入力してくれるので、いちいちPCに転送するのがめんどくさいけど、そっちにしてみようか……。

 本当は、『カデギ: 物流倉庫でミックスコーヒーをがぶ飲みしながら働いた話』(イ・ジョンチョル著、印イェニ訳)が、韓国版さわやかバージョン『家族を想うとき』(ケン・ローチ)でおもしろかったとか、『あなたの燃える左手で』(朝比奈秋)で、移植した他人の手と自分の手の境がヨーロッパの国境に重なっていくさまに魅了されたとか、『「人それぞれ」がさみしい』(石田光規)と『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』(金間大介)を読んで納得しつつもやもやしたとか、書きたいこと――というか、単にしゃべりたいことはいろいろあるのですが! 

 映画は終わってしまう……という理由で、今月は(も?)こちらだけ。よろしくお願いいたします。

 

〈一言映画評〉


『哀れなるものたち』

監督は、あの『ロブスター』(大好き)『女王陛下のお気に入り』(大好き)のヨルゴス・ランティモス。でも(でも?)今回はなんと金獅子賞! 

天才外科医により蘇生させられたベラは「世界を自分の目で見る」ため放蕩者の弁護士と駆け落ちし、大陸横断の旅へ。大人の女性の体に新生児の脳を持ったベラの、偏見から解き放たれた視線がもちろん見どころなんだろうけど、個人的には、ゴシックふうの世界、ユーモアも含んだグロテスクさが、最高だった(金獅子賞の映画というより、『ロブスター』の監督の映画だ、と思って見にいったほうがいいと思います)。


『悪い子バビー/アブノーマル』

1993年ベネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞した作品がなぜか今、日本で公開(理由を知りたい)。母親に監禁されたまま35年を過ごした男バビーが、外の世界に飛びだし、奇想天外な経験をするさまを描く。わたしがこれまで見た変な映画ベスト3に入ると思う。どんなものを予想していっても、その予想を上回るアブノーマルさを味わえること保証します。超グロテスクだし、笑っていいのかわからないまま笑っちゃうんだけど、どこか哀しさみたいのが漂っているところが、よかった。


『僕らの世界が交わるまで』

DV被害者のシェルターを経営する母親と、YouTubeで自作の曲をライブ配信している息子はまったく交わらない。意識高い母親は息子に失望しているけど、彼女のほうにも弱さがあって……。息子の設定がいい。政治に関心のある意識の高い女の子を好きになって、なんとか彼女に追いつこうとするけど、空回り。はたから見てても、全然だめなんだけど、それでもなんとか彼女と対話しようとする。そこがすごくよかった。


『ポトフ』

19世紀末、フランスの片田舎を舞台に、「食」を芸術にまで高めた美食家ドダンと、彼のメニューを完璧に作ってみせる天才料理人ウージェニーの愛の物語。正直、ストーリーはややありがちに思えたのだけれど、冒頭20分くらいある、ひたすら料理をする場面だけでも十分見る価値があると思う!


『ミツバチと私』

8歳のアイトールは自分を男の子とは思えない。その違和感から心を閉ざしているが、ある日、叔母が営む養蜂場でミツバチの世話をするようになってから、だんだんとありのままで生きたいという思いを抱くようになっていく。8歳という年齢で背負うにはあまりにも重い――まわりの大人の重要さを思った。


『ファースト・カウ』

西部開拓時代。アメリカンドリームを求めてオレゴン州にやってきた料理人クッキーと中国人移民キング・ルーは、夢をかなえるため、ある計画を思い付く。それは、この地に初めてやってきたたった一頭の牛からミルクを盗み、ドーナツを作るというビジネスだった! 先住民や、ルーら移民、そして支配層の白人が入り乱れていた開拓時代の空気が伝わってくる。そして、冒頭のシーンが全編を引っぱっていく感じも好みでした。


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以下、ひこです。

【絵本】

『ガウディさんとドラゴンの街』(パウ・エストラダ作 宇野和美訳 教育評論社)

 ガウディと彼の建てた建築物を巡るエピソードを物語のように描いた絵本です。作者のガウディ愛が伝わってくる仕上がりで、楽しいです。何かに気を取られると周りが見えなくなり、路面電車にぶつかりそうになるエピソードは、ちょっと悲しいですが、それも彼の人となりを上手く浮かび上がらせています。

https://www.kyohyo.co.jp/publication/detail.html?id=190


『てぶくろ』(ジャン・ブレット:再話・絵 おかだよしえ:訳 岩崎書店)

 おなじみのウクライナ民話です。1989年の作品。枠の中で物語が展開していく、枠の外でも展開します。ラチョフ作品と比べてみても楽しいですね。

https://www.iwasakishoten.co.jp/book/b430378.html


『ともだちの かたち』(ダニエラ・ソーサ:ぶん・え 木坂涼:訳 岩崎書店)

 ともだちがいないと思っている君へ。ともだちが欲しいと思っている君への絵本です。毎日話すような親友だけではなく、ちょっとした笑顔を交わした相手がいるだけでも、傘をさしかけてもらっただけでも、同じ遊びが好きな子だけでも、心を交わしさえすれば、ともだち。一人の時もあるけれど、大丈夫。君が心を開きさえすれば、たくさんのともだちが待っています。

https://www.iwasakishoten.co.jp/book/b10040274.html


『くらべた・しらべた 野山のいろいろ うんこ図鑑』(盛口満:絵・文 岩崎書店)

 「ちしきのぽけっと」シリーズ最新刊です。

 生き物たちのうんこを等倍サイズから、拡大サイズまで、ちゃんと見えるように整えて描かれています。何を食べているのかも、うんちの中から探ります。イリオモテヤマネコやヤンバルクイナのうんちもございます。

https://www.iwasakishoten.co.jp/book/b10040260.html


『おやすみレストラン おすしやさん』(misato. 岩崎書店)

 子どもがおすしやさんをするとか、おもしろいおすしやさんがあるとかではありません。シロクマの子グマたちが、掛け布団をおすしのネタに見立てて、自分はシャリになって眠るのです。これが、かわいい。この発想良いですね。

https://www.iwasakishoten.co.jp/book/b10040271.html


『まっくらぼん』(なかじまひろみ 岩崎書店)

 停電になってまっくら。すみちゃんは、怖い怖い。すると、そこに、不思議な生き物、まっくらぼんが現れ、すみちゃんは一緒に夜空を飛んでいきます。夜の中では、たくさんの香りや音が感じられます。まっくらは豊かなのです。町に灯りが付きました。家族の元へ帰ります。ほんの小さな冒険のわくわくを表現しています。

https://www.iwasakishoten.co.jp/book/b10039622.html


『ちゃうちゃうちゃうねん』(もりなつこ:作 はしもとえつよ:絵 文研出版)

 ゆいちゃんはクラスであっくんに「すきかもしれへん」と言われます。どこがやろ? ゆいちゃん、気になる気になる。あっくんに聞くも教えてくれない。ゆいちゃんは「すき」 について考えます。

https://www.shinko-keirin.co.jp/bunken/book/9784580826069/


『おんせんぽかぽか』(パト・メナ:作・絵 星野由美:訳 岩崎書店)

 「すたすた」、「のしのし」、おさるが温泉へ向かいます。頭の上にはおんせんのピクトグラム。おさるたちは、おんせんにはいって「ぽかぽか」。オノマトペとピクトグラムの共演です。

https://www.iwasakishoten.co.jp/book/b10040276.html


『おとうさんをかして』(ホ・ジュンユン:文 チョ・ウォニ:絵 古川綾子:訳 岩崎書店)

 お父さんが亡くなって、塞ぎ込んでしまった弟。大好きな野球もしなくなった。一緒に野球をしようと「わたし」が言っても嫌がる弟。「わたし」は友だちに、それぞれの得意分野でおとうさんになってくれるように頼みます。そんな姉と、友だちたちの気持ちに、弟もやっと心を開いてくれるのです。

https://www.iwasakishoten.co.jp/book/b10036599.html


『パーマさんはパーマやさん』(樋勝 朋巳 福音館書店)

 パーマさんは、パンやさんではなくパーマやさんであろうことは誰にもわかりますが、それを堂々と言ってしまうところの抜け具合が、このシリーズの真骨頂です。パーマさんは出張パーマやさんで、色んな人のところへ出かける様子が淡々と描かれます。そして、フランソワ先生のところへ行くと先生がいない! みんなで探しに出かけます。

 しかし、時間がないとき用の、のせちゃうパーマというのがすごいなあ。

https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=7293


『むげんことわざものがたり』(大串ゆうじ 偕成社)

 「犬も歩けば棒に当たる」から始まって、ことわざで物語を紡ぎます。よくこれだけ考えたなあ。大串さん、すごい。ことわざと慣用句50個が覚えられます。

https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784033503103


『乗りもの歴史図鑑 人類の夢をかなえた飛行機の本』

 恐竜でもおなじみのヒサクニヒコさんが、飛行機の初期から現在までの歴史を描きます。なにしろ歴史図鑑ですから、ボリュームたっぷり。そして、その歴史の時間の多くを戦争が占めているのもよくわかります。戦争は、安全性も含めて飛行機を進化させてきたのです。空を飛ぶ夢と、海外に早く行きたい欲望は別の物ですが、それを併せたところに戦闘機や爆撃機があります。人間の想像力は怪物でもあります。

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784864122450


「まど・窓・まど」(深井 聰男 文 / 深井 せつ子 絵 「たくさんのふしぎ」467号 福音館書店)

 防御を優先とした西欧の窓や扉、湿度を下げて快適さを優先した日本の窓や扉、世界の様々な窓や扉を紹介してくれます。そこには歴史があり文化があり、何より人の暮らしがあるのです。

https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=7207


『どうふつえん』(スージー・リー:作 姜汶政、松岡礼子:訳 サウザンブックス社)

 親娘が動物園に。動物の檻には動物が見えません。動物が見えているのは、どうやら登場人物だけのようです。動物に見とれている両親。娘は檻の外を歩くクジャクが気になっています。そして、親から離れ、見えなかった動物たちと一緒に遊びます。必死で娘を探す両親と、楽しい時間を過ごす娘の対比が見事です。

http://thousandsofbooks.jp/project/thezoo/


『おまえうまそうだな さよならウマソウ』(宮西達也:作・絵 ポプラ社)

 『おまえうまそうだな』が出版されてから、もう20年にもなるのですね。ティラノサウルスとアンキロサウルスの子どもウマソウが出会ってから20年。ティラノサウルスもすっかり年老いて、伏せっています。襲いかかる翼竜。と、子連れのアンキロサウスが助けてくれます。どうして? 誰でも想像できる展開がとてもいいですね。

https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/2670060.html


『なんていいひ』(リチャード・ジャクソン:文 スージー・リー:絵 東直子:訳 小学館)

 家の中で遊んでいる子どもたち、雨の中外へ出て傘を差して遊びます。雨でも楽しいよ。もちろん雨が上がっても楽しいよ。傘を差していれば空に浮かべるかもね。春を楽しめるワクワク絵本です。

https://www.shogakukan.co.jp/books/09725244


『みえた! ぎたいするいきものたち』(キャロン・ブラウン:作 ウェズリー・ロビンズ:絵 小松原宏子:訳 くもん出版)

 擬態する動物は当然見えにくいわけですから、それを、裏から光を当てて浮かび上がらせます。シンプルさが楽しい一冊。と同時に、擬態という、自然のすごさも実感できます。

https://shop.kumonshuppan.com/view/item/000000003509



【児童文学】

『ちょっとこわいメモ』(北野勇作 福音館書店)

 そんなに怖いわけではなくちょっと怖いだけの物語。というのが実は一番怖い。だって、怖さを自分の中で増幅してしまうから。小林勇人が遭遇した四つのお話。話しかけてくるぬいぐるみのクマ。電気もないのに見られるTVなどなど。夢野久作風の怖さです。あ、物語毎に、最後に小さなメモがあるのも怖い。

https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=7255


『プリンセス・ダイアリー』(メグ・キャボット:作 代田亜香子:訳 静山社)

 新作12巻目が出たのに合わせて、かつて河出書房新社から出ていたシリーズを静山社より順次刊行。訳者の代田さんによれば、20年前の旧作をメグ・キャボットが加筆、削除、整理し、アップ・デートしたとのこと。

https://www.sayzansha.com/book/b636213.html


『ケモノたちがはしる道』(黒川裕子 静山社)

 都会の中学生1年生の千里は、手羽先に羽が残っていたことを騒いだため、母親から熊本の祖父に家に行くように言われる。祖父は猟友会のベテランで、害獣とされた鹿や熊のわな猟をしている。

 千里にとって、猟だの、解体だのは、まったく遠くの出来事だったのだが、命と肉の間、命なのか肉なのかという、解決しようもない問いから、目をそらせないことになる。

 肉を前にして、「命をいただいている」と手を合わせるのは比較的簡単だ。しかし、命から肉への間には、命を肉にするという行為が介在する。私たちはそこを忌避しがちだが、それなしには、「命をいただいている」など立ち上がってこない。黒川はそこを伝えてくれた。

https://www.sayzansha.com/book/b636416.html


『キオクがない!』(いとうみく 文研出版)

 自転車のブレーキが効かず交通事故で記憶を失った中学2年生の孝太郎。元の自分はどんなやつだったかわからない。弟も最初はおびえていたし。今の孝太郎は優しく人当たりもいいけれど、それに戸惑う人もいる。今のままの孝太郎の方がいいのだろうか? 少しずつ記憶の断片が蘇ってくる孝太郎は、過去をはっきりさせようとするのだが……。

 事故による記憶喪失という設定ですが、アイデンティティが揺らぎ、どこにも着地点がない時代を切り取っています。「過去は変えられない。けど、ここからやり直すことはできる」。その通り。

https://www.shinko-keirin.co.jp/bunken/book/9784580826038/


『最高のともだち』(草野たき 講談社)

 DVの父親を持ち、好きな人は叔父の恋人であるリク。離婚後、部屋に引きこもっている母親を持つ菜摘。子育て放棄で自分の喜びだけに生きている母親を持つライト。

生き難さの中にいる3人の子どもが出会い、新しい世界へ行こうとする、つまりはこの世界の命を葬ろうとするところまで行きながら、ギリギリ生還する物語。その生還に希望を抱きます。

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000377441


『ジューンドロップ』(夢野寧子 講談社)

 不妊治療を繰り返すも成功しない両親のピリピリが横溢する家庭に暮らす高校生のしずく。注意を逸らしたために幼い妹を事故で亡くしてしまったタマキ。二人は、願いを叶えるという縛られ地蔵像の前で知り合います。二人は友だちとなり、それぞれが抱えていることを知っていきます。

 YA本ではなく大人の小説として書かれています。それぞれが抱えていることが後半まで描かれていないのはそれ故かも知れません。

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000379633


【その他】

『東京都同情塔』(九段理江 新潮社)

 第170回芥川賞受賞作。

 ザハ案の国立競技場が建てられている世界とすることで読者は、現実とのズレを、または現実のズレを常に意識しながら読むことになります。犯罪者が幸せに暮らすことで社会の平等を実現する刑務所・高層タワーの東京都同情塔という設定もまた、そのズレの中にあります。そして、この物語の主眼である、AI生成の言葉が主流となる世界での生の言葉もまた、ズレています。建築家としての仕事でコンペを勝ち抜き、東京都同情塔を設計した牧名は、レイプをレイプと認められなかった10代の頃の傷を抱えながら、東京都同情塔が崩れていくことを夢見もする。

今のところ、すべてが借り物のパッチワークであるAI生成言語が紡ぎ出す薄っぺらでも正しい正義の出現は、子どもの本にも影響を与えるでしょう。

https://www.shinchosha.co.jp/book/355511/


【絵本カフェ】

『みらいってなんだろう?』(ほそかわてんてん 講談社)

 考える絵本です。

明日が遠足なので、心配なちぃちゃん。何が心配?

 乗物酔いをするし、半日、森を歩く自信がない。

明日とはすぐ先の未来のことです。未来は、どうなるかわからないので心配なのです。でも、「心配するのは わるいことじゃないんだよ」と作者は語りかけます。ここがまず大事なところですね。

 そして経験を重ねることで「きおくのひきだし」(過去)が増えてきます。この引き出しは多ければ多いほど、未来を予測するために役立つのです。間違ったり、危険だったりしそうな場面で、どの道を進めばいいか、決められ、わからない未来が、少しだけわかるようになるわけです。そして一歩進むと、また一つ引き出しが増えていきます。

 とはいえ、道を選択すると、残りの道を捨てることになります。でも、それは気にしないでいい。もっと引き出しが増えていくと振り返って、その道もありだったかなと思うこともありますが、それはもう終わったことですから仕方がありません。

 考えてもみて下さい、あなたやわたしが歩む道は一本だけなのです。「自分だけがすすむ道。それがみらい」なのです。

 さて、ちぃちゃんは遠足に出かけます。友だちは教室とは別の顔を見せてくれます。友だちの意外な一面は、ちぃちゃんの引き出しにしまわれます。家に帰って、親に今日の体験の話をすると、今度はその話は親の引き出しにもしまわれます。こうして、みんな豊かな引き出しを増やしていくのです。

 「みらいのことを かんがえると 心配になるのは いくつもの すてきな しょうらいを えらぶことができるから」。

いいですねえ。

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000381190


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