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アルバム「Zeppelin IV」の内ジャケット・イラストは何故Hermitなのか?

もはや伝説級ロックアルバムの名盤「Led Zeppelin IV」(正確にはタイトルはなく「Four Symbols」などと呼ばれる)、ツェッペリンの4枚目のアルバムは、名曲「Stairway to Heaven」が収められている大ヒットアルバムとして名高いのだが、不思議なことに内ジャケに見開きで描かれているイラストについての考察は聞いたことがない。

タロットの知識がなかった10代の頃は「なんかカッコいいけど不気味なイラストやな」くらいの印象だったが、ある日「これってHermitじゃん!!」とゾワゾワすることになる。

Wikipediaでも、内ジャケに見開きでHermit・隠者が描かれていること、それに対するペイジのコメントが記載されている程度である。

内ジャケットには、暗闇の中、崖の上に立つ隠者ランタンを掲げている絵が描かれている。この絵はペイジの友人であるバリントン・コルビーによるもの。この絵の隠者はタロットカードのナンバー「IX」のハーミットを表している。カードには用心、忍耐、慎重、懸命という意味があるが、ペイジは「目標に向かっての上昇の真実の光を現してるんだ」と説明している[9]

https://ja.wikipedia.org/wiki/レッド・ツェッペリン_IV
内ジャケットに描かれているHermit、隠者
タロットカードのHermit(ウェイト版)Wikipediaより

見比べてみれば偶然どころではない一致!ジャケットにはタイトルはおろか画像の説明もなにもないわけだが、注目すべきはわざわざ見開きにして、タロットに描かれている部分よりも下の光景が描かれていることだ。

内ジャケットの下半分

よく見ると、赤丸で示したところに徒手で登ってくる人物が描かれている。崖の上に立つHermitは登ってくる人物を見下ろしている、或いは見守っていることになる。Zeppelinのライブ映画「The Song Remains the Same」を見た人なら、この場面が映像として演出されていたことを思い出すだろう。

以前はYoutubeに映画全編がアップロードされていて観ることができたのだが、現在は流石に削除されてしまったので記憶でシーンを書き出してみる。

1)ジミー・ペイジ演じる老人(Hermit)が崖の上からランタンを掲げて下方をじっと見つめている。
2)若い(当時の年齢の)ジミー・ペイジが崖下からよじ登ってくる。
3)老人の足元まで到着すると、赤ん坊の奇っ怪なイメージが現れる。
4)老人は左手で剣を掲げ、左から右、右から左と往復させ、その残像が七色?のイメージで描かれる。

映画「The Song Remains the Same」より

さて、この剣の動きは何なのだろうか?
ある日思い立ったのが、ナイトの叙任の儀式である。

リンク先記事の写真は故エリザベス女王がコロナ禍の英国に於いてチャリティに多大な貢献した老紳士(元軍人のトム・ムーア氏、この時100歳!)にナイト(騎士)の称号を授ける儀式を執り行っているところで、通常は左右の肩を剣で軽く叩く儀式的ジェスチャーを行う。

映画で描かれたカラフルな剣の往復は、ナイトの叙任、もしくは秘教的グループへの入門儀式或いはイニシエーションを暗示しているのではないか?
当時ジミー・ペイジがアレイスター・クロウリーの屋敷を購入したり黒魔術にハマっていると噂されたりしたらしいが、クロウリー関連の教団(あるのかどうかは知らない)への入門を果たしたのであろうか?

そしてスピリチュアルな観点から考察すると、Hermitをペイジ自身が演じていることも、自身のハイヤーセルフ(未来の完成された自分、高位の自分など様々に解釈される守護霊的な概念)が現在の自分を導いている、不気味な赤ん坊のイメージは生まれ変わり(クロウリーの?まさかね(苦笑))を暗示している、などとも解釈できる。

アルバムの内ジャケット全面だけではなく、映画でその場面を演じるほど思い入れがあったということは、何らかのスピリチュアルな出来事が自分に起こったということを、気づいてくれる誰かへと知らせるメッセージだったのだろうか?アルバムジャケット、内ジャケットともに文字を一切廃したのも、言葉によって類推されるのを避けたかったから、イメージだけで分かる人に伝わるようにしたかったのではないのか?

当時のロックファンたちはタロットやスピリチュアル・ムーブメントとクロスオーバーすることが(少なくとも日本では)なかったのか、こういう解釈が噂になったという話は聞いたことがない。
しかしまあ、歳を取ってからこういうことに気がつくのも案外悪くないものである(笑)。


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