面接官として考えていたこと

新卒の採用面接官をわりと長くやっていた。そこでどんなことを見ていたのかってのを知っておくと、自分が何をやればいいかも少しは見えるかもしれないから書いてみる。

面接の時間で「きちんと」人を見るのは無理

一番の前提なんだけれども、面接の時間は15分~30分、長くても1時間ぐらい。その中で面接官も人を見ようと努力するけれど、その人がどんな人なのかをきちんと見るのは難しい。だから面接官は今までの採用経験をもとに面接する人をみることになるんだ。

それから、採用してみた結果、その人がバリバリ活躍するようになるか、それほどパッとしないかは賭けみたいなところがある。面接できちんと見たつもりでも、やっぱり実際に働いてもらわないとわからないものなんだ。

大学を卒業しているかどうかは見てる

基本的に大学で学んだことが会社でそのまま役立つなんてことはほとんどない。だったらなんで大学卒業しているかを見るかというと、面接官の今までの経験が影響している。

これまで高校卒業の人と大学卒業の人を採用した結果、会社に入ってからの働きがどうだったかってこと。

高校卒業までの人でも、とっても優秀な人は確かにいる。でも、全体的に見るとやっぱり大学卒業の人の方が活躍している可能性が高い。そういう前提があると、高校卒業の人の方が明らかに優秀に見えない限りは大学卒業の人を採用したくなるんだ。

「学歴なんか関係ない。その人がどうかだ」というのは真実なんだけれども、最初に書いたように採用する方も賭けに失敗したくないんだ。失敗したらこれからの仕事にずっと影響しちゃうからね。

高校卒業の人と大学卒業の人の何が違うかというと、たぶん「考える力」だと思っている。高校まではどちらかというと、言われたことをやっているだけの勉強(それはそれで基礎学力には大切)だけど、大学では自分で考えなければいけないことが多くなる。それが当たり前になっているかどうかは大きいんだと思う。

実際のところ、プログラマ・システムエンジニアとしてコンピュータ関係の専門学校卒と文系大学卒を比較すると、最初こそコンピュータ関係の専門学校卒の方ができるけれど、入社6ヶ月後ぐらいでは文系大学卒に抜かれていくのを沢山見てきた。

高専卒は例外だね。優秀な人が多い。学校でも考える力を重視しているんだと思う。

学校で何を学んだか

どんな授業が得意だったか、好きな授業は何だったか、どんなところが好きだったか。興味をもったか。大学卒なら研究室の話。

これに表面上でなく、ちゃんと答えられる人は、勉強を押し付けられるものだと考えていない人か、普通の人以上に真剣に取り組んでいた人だから、会社に入ってから仕事を学んでいく上でも自分から積極的に取り組んでくれる人になる。

面接対策で色々と話す内容を用意してくる人は多いんだけれども、面接用に飾られたお話なのか、自分の本当の話なのかは、なんとなく分かるもんだ。話に感情が込もっているかそうでないかが全然違うから。

どんな本を読んだか、どんなきっかけでその本を手にとったか

こんな感じの質問を受けたら小説(物語)とかじゃなくて、他の本の事を話したほうがいい。前の話と似ているんだけれども、やっぱり自分から何かに興味をもって、自分からすすんでやって何かを得る姿を知りたいから。

ただ小説とかでも、単に面白そうだったからとか、話題になっていたからとか、友達から勧められたから・・・といった感じのことじゃなくて、自分がこういう視点で手に取ったんだって語れるならいいかも。考え方や大切にしていることが伝わる内容ならいいね。

なにかに打ち込んで達成できたことはあるか

これは努力する力があるか、継続する力はあるか、みたいなところを見たいから聞いてた話。ただ、あんまり部活とかの話は心に響かないのが本当のところ。大体が目標を上から決められていたりするから。

勉強にも学校にも関係しないことでもいいから、自分である程度高い目標を掲げて、それに向かって努力をして成し遂げたなら最高。逆に目標には届かなかったけど、ここまではできたっていうのでもぜんぜんOK。

年単位で打ち込んできて、普通の人にはあんまり負けないよということがあるといいよね。けん玉だったりしても、それこそ三段とかになってくると頑張ったんだなってわかる。

最後に

面接対策で、ハキハキ、スラスラと本当に優秀そうな話をする人はとても多い。本当に話の通りなら面接官よりも遥かに優秀なのは間違いないぐらい。でも、そういった対策で身につけたものって、見透かされることも多いし、面接官も聞きあきてる。

逆に、本当に時間をかけなければ身につかないものを持っている人は強い。面接で上手く話せなくたって関係ないんだよね。面接官だって、スラスラ話せるか、面接の場で失敗しないかを見ているんじゃなくて、その人がどんな人かを見ようと努力しているからね。

就職はゴールじゃなくて、新たなスタート。自分を偽って入社しても入ってからギャップに苦しむだけ。どうアピールするかじゃなくて、何年も前からアピールできる自分になれるように自分を磨いて過ごすのが何よりも強い。


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