「勇気をありがとう」「次は私が頑張る番」潰瘍性大腸炎患者として、安倍さん辞任に思うこと
きのう(2020年08月28日)、内閣総理大臣の安倍晋三さんが辞任を表明しました。
安倍さんは指定難病の一つである「潰瘍性大腸炎」を抱えておられます。そして、以前も記事にしたとおり、私も同じ潰瘍性大腸炎を患っています。
安倍さんは私の「ヒーロー」でした
潰瘍性大腸炎を持ちながら憲政史上最長在任。政策や言動に思うことは多々ありましたが、それでも安倍さんと同じ病気(潰瘍性大腸炎)を持つ私にとって、彼は「ヒーロー」でした。
内閣総理大臣は間違いなく、日本で最も大変な仕事の一つです。そのポジションに、憲政史上最長で同じ病気の人が就いていたことは、「自分だって頑張って良いんだ」と思わせてくれます。長期政権だった安倍さんは「功罪相半ばする」存在かもしれません。しかし、各国を飛び回って多くの首脳と会談したり、様々な会議に出席したりしている姿は、少なくとも私に「この病気があったって、こんなに活躍できるんだ!」と教えてくれました。
勇気を与えてくれた安倍さん
本当のことを言えば、22歳ながら指定難病の一つである潰瘍性大腸炎を発症して、何度も将来を悲観したことがありました。「このままなら、いっそ」と自死を考えたことが一度たりともないと言えば、嘘になります。
でも、考えてみたら、安倍さんは中学生で潰瘍性大腸炎を発症して、内閣総理大臣を長く務めておられます。多感な時期に、この下痢や血便に悩まされる病気に悩まされ始め、一度は首相の座から退きながらも、それでも憲政史上最長在任の内閣総理大臣として、仕事を続けておられました。
この事実は私にとって、「同じ病気でも内閣総理大臣を何年もやれたんだから、自分だって何か成し遂げられるかもしれない」と思わせてくれます。「明日からも頑張ろう」と奮い立たせてくれます。
こんな心ない意見もあるかもしれません。
しかし、衆議院には骨形成不全症を持つ原口一博さん、参議院には筋萎縮性側索硬化症(ALS)の舩後靖彦さんと脳性麻痺の木村英子さんがいます。こんな発言は彼らの活躍や将来すら、否定してしまいかねません。
政治家が代表する国民のなかには、病気や障害を持っていたり、妊娠・出産、育児や介護といったライフステージにいたりする人もいます。「政治家が国民の代表」であり、有権者が「(たとえ病気や障害があろうとも、様々なライフステージにいようとも)この人に政治家になって欲しい!」と一票を投じたのであれば、考えられるべきは「その適格性」ではなく「選ばれた政治家が活躍できる環境整備」のはずです。
もちろん、安倍さんの政策や発言に対して、私も批判がなかったわけではありません。政治家としての彼に、思うところも多々ありました。それでも、同じ病気の患者さんが闘病と仕事を続けておられる姿に、私はとても勇気づけられたのです。安倍さんの背中は、間違いなく私に希望と勇気を与えてくれました。
だから、次は「私が頑張る番」
だから、政策や言動への評価はさておき「勇気をありがとう、安倍さん」と思います。
そして、今度こそは私が頑張って、潰瘍性大腸炎や他の難病の患者さんに勇気を与える番です。
何より、これからは一人の同じ病気の患者さんとして、彼の寛解を心から願うばかりです。
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