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ビールが美味しかった日の話。

「スピードキングだ!」

工場長から声をかけられた。

会社の休憩室でnoteを見て
ひとりニヤニヤしていただけだ。
何も悪いことはしていない。

「えっ?」

ふと見上げると、そこにはもういなかった。

「何?どういうこと?」

しばらく考えたがまったく心当たりがない…

歩くのだって人一倍遅い。
ご飯もわりとよく噛む。

「スピードキングって言われたんだけど…」

仕事場に戻って同僚に聞いてみた。

「何すか、それ?」

「いや、工場長がいきなり…」

「工場長~?まーさーか?」

こっちが聞きたい。
通りすがりの変なやつなら「別に。」だが、

工場長。

これは何か
ダイイングメッセージならぬ
休憩所の一言で世界が変わる
レスティングメッセージじゃないか。

工場長が僕に伝えたいこと。

スピードキング…


あっもしかして、

仕事が早いってこと?

たしかに最近頑張っているぞ。
うんうん。

出世頭ってことか!

あるかもな。
大人の階段上っちゃうかな?

スティーブンキング?

あるある。

へんざないっ!

そ、だーりん、だーりん、
すてーん ばい みー

おおーすてーん ばい みー

これはないか(笑)
何言ってるかわかんないんだもん。

スピードキング。

なんか良さそうだぞ!
ヘッドハンティング的な匂いがぷんぷんだぞ。

「忙しくなるな。」

ビールをぷしゅっと開けて喉に流し込んだ。

ごくっ、ごくっ、ごくっ…。

ぷはー

満島ひかりさん ばりに飲んだ。

報われた。
頑張った甲斐があった。
コツコツやったからなあ。

冷蔵庫へ向かった。
自然と手が伸びる、2本目だ。

ぷしゅっ。

こんなに美味しかったビールはない。

まだまだ
飲みたい気持ちをおさえて
静かに眠りについた…

ーーーーーーーーーーー

「おはようございます」

工場長に元気良く挨拶した。

「おぅ、スピードキング くん。今日はどうだった?」

「はいっ今日も突っ走るぞって感じです。」

キャリアアップ か?
臨時ボーナス か?

いいよ。なんでも。

またまた祝杯だな?
ビール 足りるかなあ?

「突っ走る?!突っ走ったら困るよ!」

「はいっ?」

いやいや、工場長。
今さらそんなこと言われましても。

僕にはもう羽がついていますから。
走りだしたら止まらないんですよ。

「課長から聞いてないの?」

「はい…。何をですか?」

「課長ー!」

課長が ? の顔で歩いてきた。
なんか違うぞ…

「ほら、スピードキング 説明してあげて。」

「はい。あのね。速度違反だよ、10km オーバー。」

「あっ…」

工場内の制限速度 20km のところ、
快調に 30km で走っていたそうです。

「まぁなんでもいちばんはイイことだよ。」

「すいません…」

「明日から頼むよ。」


今日はビールを飲まんとこ。

自分のポジティブさに悶えた一日でした。

あのときの美味しかった
ビールの味を嚙みしめる日がくることを
目指してコツコツ働くことを決めた日でした。

かんちがいー

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