第９話（最終話）　雪の花（小説/ラブストーリー/ヒューマンドラマ）

「彼女は、幼い頃から両親に虐待を受けてきました。幼少期から少女期まで、ずっとです。
実の父親は、ろくに仕事もしない男で、ギャンブルと酒の日々で、妻や彼女に頻繁に暴力を振るいました。母親は必死に働いていましたが、どんなに働いても、夫がギャンブルと酒でお金を溶かしてしまう。当然、経済的に困窮して、強いストレスから、そのはけ口を彼女に向けるようになりました。虐待というのは、弱いほう弱いほうへのいくものです。その結果、彼女は両親から虐待を受けることになったんです。

これだけでも十分に悲惨ですが、話はこれで終わりません。
彼女が中学に上がる直前、おそらくは借金が原因で、夜逃げするように引っ越しましたが、その直後、父親は蒸発。少しの間、母親と二人で暮らしていましたが、まもなく、母親は別の男を作って、同居するようになりました。