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#4 即興芝居の魅力

あくまで "芝居" である以上、観客が求めているのが
 ・面白い / 興味深いストーリー
 ・感情移入できるキャラクター
の2点である事に疑いの余地はありません。

これに関しては、
人が映画や演劇を見に行こうと思う時とそう大きな違いは無いと思います。

しかし、"即興" 芝居の場合、ここにもう1つの要素が入り込んできます。
それは未知であるという事。

これから観客の前で繰り広げられる物語が、
 ・どんなストーリーになるのか
 ・どんなキャラクターになるのか
はお客さんはもちろん、演者も知らないのです。

まだ何も決まっていない状態の中で、
演者同士が物語を紡いでいく。

例えば出演者AがBに対して「お母さん」と呼びかけた場合、
「あぁBはAのお母さんなんだな」
と理解するのはお客さんと出演者Bになります。
これは台本のある芝居では絶対に起こり得ない事です。

さらに、それに対してBがAに
「しっ! ここでは先生と呼びなさい」
と返したりすると、
お客さんと出演者A
「あぁ、ここは学校なのかな?」
と想像したりするのです。

このように出演者同士がコミュニケーションを取りながら未知に向かって進んでいくのが
即興芝居の大きな特徴です。

映画を観る場合は「鑑賞」、
演劇を観る場合は「観劇」
とそれぞれ呼び方がありますが、
即興芝居の場合、
「目撃」「体験」などがしっくり来る様な気がぼくにはしてます。
 
出演者AがBに対して「お母さん」と呼びかけた後、
Bが「もう私はあんたのお母さんじゃないの」と答えれば
両親が離婚したという物語ができますし、
Bのセリフが出る前にAが「今までありがとう」とセリフを続ければ
初めて親の元を巣立とうとする若人の物語が紡がれていきます。

このように一瞬一瞬の選択が、物語を創っていきます。
それは文字通り無限の可能性があるという事です
 
このように観客のみならず演者もスタッフも、
つまり会場全体が一緒にドキドキハラハラしながら進めていくという事が
即興芝居の大きな魅力だとぼくは考えます。

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