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希望年収の決め方、伝え方~本音は○○欲しいが...~

転職活動において、最も気になる事項の一つが「年収」であることは間違いない事でしょう。

希望年収の「決め方」ですが、もっと言えば、求人企業に応募する(または転職エージェントに伝える)際にいくらで伝えるか、ということになると思います。

その際、このように考えることはありませんか?

  • 自分が欲しい金額を、そのまま言っても良いのだろうか?

  • 言った金額は、本当に貰えるものなのか?

  • 実際、企業側はどんなことを考えているのか?

ストレートに自分の欲しい金額を伝えて、それを受け入れてくれる会社をひたすら探す、という考え方で活動ができる方は、このお話は何も気にしなくて良いと思います。

一方で、とはいえ、希望年収で選考のチャンスが潰れる可能性があるのなら、それは避けたい。年収条件の話はスムーズに進めたい、とお考えでしたら、次の視点を知ることが効果的と思います。

  1. 求人企業は希望年収をどういう視点で見ているのか?

  2. 求職者の視点で、求人票の年収条件をどう読めばいいのか?

私は転職エージェント、再就職支援と併せて12年間転職支援を経験し、私自身も5回転職を経験。
現職では採用業務もしており、企業側に求職者の希望年収を伝えること、自分の希望年収を伝えること、採用側として希望年収を聞く立場も経験してきました。

こうした経験と、勉強してきたことを基にして、この記事では、上記2つの視点から、希望年収の決め方、伝え方について解説をしていきます。


① 求人企業側の希望年収に対する考え方

企業側が希望年収を見た(聞いた)際、考えることは端的には次の2つです。

  1. 「金銭面で、当社で雇える人なのか?」

  2. 「当社で求める仕事ができそうか?」

1.の金銭面は、スキルの問題ではなく、その希望年収自体がその会社で払える額なのか否か、という考え方です(例:中小零細企業で経常利益500万円の会社に、希望年収1000万円の方が応募してきた。そのうえ、会社としてすぐに返さなくてはいけない様々な借り入れもある)。

金額が、仮に許容範囲内であったとしても、採用は人的投資活動のひとつ。
採用という”先行投資”が、いま会社でできる状態なのか、という観点でも考えます。

2.は、1.の判断を踏まえて、どの程度のパフォーマンスが期待できるか、という考え方。
経験者であっても、その会社でパフォーマンスが出せる保証は当然ないため、パフォーマンスの期待値が持てるかどうかになります。

1.、2.をまとめると、

「成果が期待できるのであれば、投資OK」

となります。

1-1 前職年収より高い年収希望を出しても、印象は悪くならない

人によっては、前職(または現職)よりも高く年収希望を出すと、企業側の印象が悪くなるのではないか?と心配される方もいらっしゃいますが、希望年収を高く出すこと自体は何も問題はありません

高い金額を提示しても、「投資OKか?成果が期待できそうか?」という視点自体が変わることはありません。

ただ、高い金額を希望した場合、上げても良いと思える根拠は何か?それだけスキルが高いのか?という点は見られます。

また、スキルがさほどないのに高い金額を求めると、自己分析ができていないと判断されることは考えられます。

1-2 最初から年収を上げたがらない企業の存在

一方、希望年収は勿論のこと、前職年収すら及ばない金額提示をしたい、という会社も少なからずあります。

その会社の理由としては、

 「ウチで同じように仕事ができるかどうかはわからない」
 「面接ではわからず、結局やらせてみないと判断できない」

との事。

確かに、例えば同じ産業機械の機械設計職であっても、会社が変われば構造、部品点数、CADツール、そして人間関係と全てが変わる為、前職(または現職)と同じ力を発揮するのに少し時間がかかる事もあります。

こうした会社の考え方は、期待値として、先行投資的に年収を決めるという考え方ではないところからきています。

1-3 現在の給与体系の枠で考える企業の存在

これもよく出てくる話として、次のような企業側の声もあります。

「その年齢だと、ウチの給与体系では○○万円が上限だね」
「同じくらいの年齢の社員で、それだけもらっている人がいない」
「その金額は、ウチで言うと○等級で部長クラスの年収になるから無理」

つまり、その会社の給与体系に基づいて考えると、その金額は合わない、という話です。

給与体系の中で収まる範囲であれば、スキルとその時の採用緊急度によっては上がる可能性も出てくるでしょう。

1-4 最初に年収の話をすると面接に来てもらえないから、後で話したいと考える企業の存在

採用に苦戦をしている会社、相場と比べて年収が安いと自覚している会社、報酬の支払いにまだ余裕がないベンチャー、スタートアップ企業などでよく見られるケースです。

この場合、そもそも希望年収は出せないというのは確定していながら、そのまま選考を進めてきます。

選考の初期段階ではあまり具体的な金額について話すことはなく(やんわりと、そこまで出せないと認識させるような発信は、してくることがある)、内定を出すタイミングで現実的な話をしてきます。

内定を出すまでの面接のプロセスにおいて、会社の社風やビジネスモデル、将来性、安定性など、金額以外の部分を訴求して求職者の意向を高め、最後に不利な年収の話をして不利な部分をカバーし、何とか入社になるようにしたい、という考え方になります。

1-2~1-4については、希望年収がかなわない可能性の事例として取り上げました。
希望年収自体で「評価」が下がるということではなく、企業ごとの事情がある、と理解されると良いと思います。

② 求職者視点での、求人票の年収条件の読み方

求職者が希望年収を決める際、様々な求人案件に書かれている「年収条件」の欄は、参考にされるのではないでしょうか?

例:年収400~700万円   
 ※経験、能力を考慮して決定

これを見た時、

 「400~700万円とあるけど、実際いくら位なの?」
 「最大700万円とあるけど、本当は出ないんじゃないか?」
 「ああ、これは400万スタート、ということだよね?」

等など、様々な疑問が浮かんでくると思います。

求人企業によって、どういう意図で設定をしているか、実際に書かれている金額の提示があるかどうかは変わってきますが、おおよその傾向として、この年収条件の読み方を解説します。

2-1 想定年齢を推測して見る

全ての企業は、採用人材に対して想定している年齢幅がありますが、この年収レンジは、その案件の想定年齢の下限と上限を表しているケースが見られます。

例えば、上記の例(400~700万円)で、想定している下限年齢が25歳、上限が40歳であるとして、

年功序列的な給与体系の会社であれば、25歳ならいくら位、40歳であればいくら位かは決まっているので、それに基づき表記する。

年功序列ではない場合は、在籍社員の現年齢と現在年収を基にします。
25歳の社員でだいたい400~420,30万円位であるなら、下限は400万円として、40歳の社員が今、700万円貰っているなら、700万円とする、という具体です。

想定年齢は、求人票には書かれていませんので、以下のような情報を掛け合合わせて推測するしかありません。

  • 仕事内容(管理職、リーダークラスの仕事なのか、担当クラスなのか)

  • 部署構成

  • 応募要件の経験年数

2-2 年収例を見る

年収欄には、次のような情報が書かれていることがあります。

■モデル年収例
25歳入社2年目/400万円
30歳入社5年目/450万円
40歳入社15年目/700万円

あくまで”例”ですので、必ずこうなるということではありませんが、実態に基づく情報であることが多いため、想定年齢と年収レンジをセットで考える材料になります。

2-3 実力主義の視点で見る

年収が年俸制であったり、完全に能力、職務、役割に基づく等級制度であるような記載がある求人の場合は、年収は実力主義で設定していることが考えられます。

採用時の想定年齢自体はあるものの、年収は能力、任せられる仕事内容、役職から推測していきます。

求人票の仕事内容から、担当クラスでこの内容の仕事ができるなら○○万円
管理職候補などで採用されれば、○○万円位、というように推測します。

2-1~2-3の視点で求人票の年収条件を見た上で、自分の年齢と希望年収は、この求人案件に対しては妥当と思われるのか、高いと思われるのか、安めになるのか、の見立てをしていきます。


③ まとめ

希望年収を決める際、まずは自分の希望本意で考えていって良いと思います。

その上で、求人企業側の視点、求人票からの推測を掛け合わせ、自分の希望年収が、いわゆる相場から見て高いのか、妥当なのか、安いのかを判断していく。

そこまでやった上でどう決めていくかは、自分自身の気持ち次第になると思います。
相場より高いが、譲れないということであれば、その前提で求人を探していき、うまくいけばOK。躓くようであれば、どこかで軌道修正する。

相場より安いから、じゃあもう少し欲張ろう、でもよいですし、まずは現状維持にして自分にプレッシャーをかけすぎないようにする、という選択肢もあると思います。

様々な検討をした上で、最終的に自分自身が一番納得のいく金額で進めていくのが良いと思います。

最後までお読みいただきまして有難うございました。

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