社会人の物理勉強1 場の量子論関係

昔、理学部物理学科、大学院も物理系にいって、場の量子論の途中(大学院の中途半端な講義)ぐらいまで勉強して、大学院は一応物性関係で博士号(東大の駒場)までなんとか取りました。

その後、就職したのち、しばらく物理の勉強をしてませんでしたが、また、基礎を勉強してから場の量子論関係の研究をしたいなどと考えたので、場の量子論の勉強と、それ以外の科目の大学1年生からの復習を始めてみました。そこで何を復習しているかを書いてみようと思います。

※場の量子論関係で持っている本が何と24冊もありました。(原論文集2冊を除く。そのうち、人からもらったのが4冊、Kindleが0円でただだから入手したのが1冊)。まったく無駄です。
でもなんでこんなに買ったのかはわかりました。要するに場の量子論が激ムズで自習が難しいため、あれもわからん、これもわからんという風にしてどんどん増えていったんだと思います。はじめから、坂本場の量子論とかが出版されていれば、こんなに買うこともなかったでしょう。
大学4年の理論演習の説明のときに、E先生が場の量子論がゴツイものなので、一人で勉強するのは大変だから、みんなで勉強しましょうと、大学4年の場の理論の講義の宣伝をされていたのを思い出しました。
Colemanと坂本以外、積読状態のため、これ以降、場の量子論の本を買うのは止めます。(とりあえず買った本は、だいたい全部読もうかと)

目標
とりあえず、場の量子論と標準模型まで勉強を終える。欲を言うと、ストリング理論も勉強したい。

場の量子論で、本郷の物理学科4年の頃(20年前www)でスタンダードと言われていたのが、Peskinらの以下の本です。
An Introduction To Quantum Field Theory,M.Peskin & D.Schroeder

これは、場の量子論でスタンダードな本なので、とりあえずこれを読み切るのを勉強の目標にします。あと、以下の本も面白そうなので、通読しようと思います。
Quantum Fields and Strings: A Course for Mathematicians
Quantum Fields and Strings: A Course for Mathematicians Vol.2


というわけで、数年前からPeskinを冒頭から再挑戦した(学部4年の頃に、Part I の大半まで読んではいた)のですが、この優しいはずの本が良く分かりません。おそらく、基礎的な数学の知識(計算力)と物理の知識(相対論的量子力学および普通の量子力学など)が不足しているのでしょう。Part IのWard Identityあたりまで読みましたが全然わからず困りました。

Peskinがどうしてもわからないので、いったん、お休みして、授業形式の本に挑戦することにしました。Sidney Colemanがハーバード大学で教えた大学院生用の場の量子論の授業が本になったので、買って読み始めました。

Quantum Field Theory: Lectures of Sidney Coleman

この本は週2回の1年分の講義56回のうち、約50回分を収録しています。(分散理論の箇所は本が厚くなりすぎたのでカットしたようです。)
この本もわからない箇所は沢山ありますが、とりあえず、28章(1100ページ中600ページ)まで読みました。残りが、QEDとゲージ理論(半期の講義の後半部分)なので読もうと思いますが、ファインマン図の対象因子など理解していない箇所も多いんです。でも場の量子論関係の本を19冊も買って、繰り込みの計算まで読んだのはこの本が初めてです。さすがは授業形式の威力と言えるでしょうか。(そう書いてて、ふと思い出したのですが、PeskinでもQEDでvertex correctionはわからないまま、計算だけはしました。self-energyも計算だけはしましたね。)


授業はspin 0→spin 1/2→spin 1と進んでいって、ゲージ理論まできてようやく経路積分形式に移ります。授業だから当然ですが物理的な意味を言葉で説明している箇所が多いです。でもその説明がやはり難しくて、深く理解できては全くないです。

上のColemanの本よりもさらに初等的な場の量子論の本となると、学部3,4年生向けに書かれた坂本 眞人さんの2冊があります。2冊で1000ページ、問題の解答(PDFでダウンロード)が600ページ以上あったので、合計1600ページです。私のように計算力のない人間にはありがたい式展開の丁寧さです。丁寧すぎたため、ゲージ理論の量子論が場の量子論(II)に入ってません。いつか場の量子論(III)が出るのでしょうか?
坂本さんの本は、Colemanの本の副読本にぴったりです。Colemanの本で分からなかった箇所は、坂本 眞人さんの場の量子論の本を読んでから再度、Colemanの本にチャレンジしようと思います。

坂本 眞人著、場の量子論、場の量子論(II)



Sidney Colemanというと、本人が書いたAspect of Symmetryが有名です。上の場の量子論の本の後半部分と重なる部分が多いようです。こちらも読もうと思っていますが、まだほとんど手を付けていないです。

Aspect of Symmetry,S.Coleman


以下は全く手を付けていないですが、とりあえず買った本を挙げておきます。

Methods in Field Theory(Les Houches 1975), Roger Balian (ed), Jean Zinn-Justin (ed)
Faddeev,Callan,B.Lee,D.Grossらの講義

Gauge Fields and Strings,A.Polyakov  
難しいらしい。


S.WeinbergのQFTI,II(三巻は持っていない)
他と書き方が全然違う。全く読めてない。

Quantum Field Theory and Critical Phenomena,J.Zinn-Justin



Bjorken,Drellの2巻本
Relativistic Quantum Mechanics,Bjorken & Drell
これは買った。デザインが。。。

Relativistic Quantum Fields,Bjorken & Drell
研究室の先輩から貰った本。読んでない。

これも研究室の先輩から貰った本。読んでない。Doverからも出ている。
Quantum Field Theory,Itzykson & Zuber


相対論的量子力学 (量子力学選書),川村 嘉春著
ディラック方程式の水素原子の解の前まで読んだ。読んだうちに入らない。その部分までは、Bjorken DrellのRelativistic Quantum Mechanicsに似ていた。



ゲージ場の量子論I,II、九後 汰一郎著
研究室の先輩からもらった。(1章のみ蛍光ペンあり。先輩はそのあとは挫折した模様)自分で買った本ではないので当然読んでない。(Peskinが読めない私に通読できるとも思えず)自由スカラー場の量子化と経路積分あたりまでは読んだ模様。読んだうちに入らない。

物性研究者のための場の量子論 1,2、高橋康著
どこが物性なのかは不明。素励起前までしか読んでないので読んだうちに入らず。


Quantum Field Theory,Lewis H. Ryder
Peskinに挫折して入手した本。Dirac方程式はよんだが、相変わらずファインマン図のところがよくわからず挫折した思い出がある。この本はこれ以上ないほどの簡単な本なので、これも読めないとは、私はかなり頭が悪いらしい。


場の量子論 (裳華房フィジックスライブラリー)、坂井 典佑著
真空泡グラフが結局わからなかったことだけ覚えている。結局、繰り込みのところは全く読んでない。



演習場の量子論―基礎から学びたい人のために、柏太郎著
これは演習書で、問題を解くために使いました。本格的な摂動計算とかは載ってないです。



原論文集(あとで勉強するためにとりあえず買ったもの)
Selected Papers on Quantum Electrodynamics,J.Schwinger(ed)

Broken Symmetry: Selected Papers of Y. Nambu


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