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白と黒とグレーな世界(1)

京都の大学に通っていた時、

大好きな先輩に言われた。

「お前、ほんまに白か黒やな。」

そう、わたしには中間はなかった。

白と黒、ハッキリとした明暗の行き来のみ。

グレーな世界なんて知りもしなかった。

理解しようとも思わなかった。

愚痴を言う人、表面では仲良くしてるのに陰口を言う人がとにかく苦手だった。

「愚痴るなら解決すればいいのに。」

「陰口いうならその子と遊ばなければいいのに。」

愚痴りたい妻と解決策を提示する夫の食い違いのような形でよく夫婦喧嘩の例で用いられるが、私は完全に男脳だったようだ。

でも、白と黒でいられたのは大学までだった。

システムエンジニアとして社会人になったら否応なく広がるグレーな世界。正論だけじゃやってけない。

波風を立てるわたし。

宇宙人呼ばわりされるわたし。

●●ちゃんは怖いからなぁと、言われるわたし。

理解できないわたし。

この仕事の意味は何?

誰のため?

会社のトップへの報告のための報告の仕事?

しかも嘘ばかり。取り繕うことばかり。

現実におきてることを直視して、解決していけばいいのに。

その場限りの言い訳を延々と並べるために、時間を使ってる。

そこに「お客様のため」という文字はあるのだろうか?

そして人生で初めて、愚痴をいうことを覚えた。

社会に出たら会社を「黒」として切り捨てられなかったからだ。

絵を描く父の元、「男性に頼らず自分で稼げるようになりなさい」と小さい時から母親から言われていた私は「石の上にも3年」という言葉を旨に、5年頑張って、大きなプロジェクトに入ったある日鬱になった。

最初はじんわりと、仕事の効率が下がっていった。

社内カウンセリングも受けた。

軽い鬱症状ですね。

プロジェクトで終電を逃しタクシーで帰って、あまり眠れずに仕事にいく。

休日出勤も納得できない理由で要求され、他の人は出る中、1人嫌だと反発する。

そして、ついに朝起きて動けなくなった。

私はダメな人間だ。

家で丸まってうずくまる。

仕事が出来ない私は価値がない。

仕事を失うのが怖いのに動けない。

旦那は弱いからだと言う。甘えてるんじゃないかと言う。

私は弱いのか?甘いのか?

旦那に理解してもらうのは難しいだろうとぼんやり思い、迷惑をかけてしまうのは後ろめたい。

そう考えて、しばらく実家に避難した。

つづく

少し過去について書きたくなったので勢いに任せて書いてみます。SEだったのが今や遠い過去のような生活です。でもあの経験があって今の自分があります。人生はつながっています。



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