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白と黒とグレーな世界(2)

鬱病はやっかいだ。

周りから見ると一見サボっているようにしか見えないからだ。

甘えとか、弱いとか言いたくなる気持ちはわかる。

正直精神を病む人が多い職種で、突然上司が失踪したり、倒れて救急車で運ばれる姿も見てきた。廊下を徘徊する姿も休職する姿も見てきた。

まさか、わたしもその立場になるとは思いもしなかった。だって自分は強い人間だと思っていたから。

が、実際には、強さではなく、白か黒かでしか割り切れない不器用な潔癖さが自分を追い詰めた。

「心はどこにあるのか?」はわからないが、脳みそがもう働くのを拒絶してる。

もうこれ以上無理しないように。

そんな感じの状態だと思う。

限界を超えたから、命の危険があると判断され、物理的に強制シャットダウンされた感じだ。

でも身体は動かないが、なけなしの思考はまわるので、しばらくは会社をサボっているという罪悪感に身悶える日々を過ごす。

そして、時が過ぎれば過ぎるほど、諦めに近い感覚になり、少しずつ穏やかになっていく。

実はわたしの父も自分の母親を亡くしたことをきっかけに不安定になり鬱病らしきを発症して以来、仕事を辞めており、母は大変苦労をしていた。(当時はこの病気自体は知られておらず、病院を受診はしてないが、あとから振り返るとそうなのだと思う。男性の更年期でもあったと推測される。)

そのため、幸か不幸か、両親共に理解があった。母も父の時と違って娘であったため、受け入れやすかったようだ。

初期の環境もよかったのか、ほどなく安定して旦那の待つ家に帰り、細かくはもはやあまり記憶がないが、病院に通い薬を飲んで良くなったと思ったわたしは最初は焦って復帰を試みた。

仕事は、お金を稼ぐ手段として割り切ろうと思ったのだ。

が、その試みは敢えなく失敗に終わった。

白か黒かの人間が、割り切るという自分の気持ちに嘘をつく要領の良い人間でいられるわけがなかった。

仕事、職場自体が根本原因のため、戻ることで簡単に再発した。

今思えば、治ったんじゃなくて、薬でごまかしてただけだったから、当たり前の話だが。


この薬もわたしを苦しめた。

飲めば確かに軽くなる、むしろ気分が良くなるが、切れると辛くなる。

当時29歳、結婚して2年。

なんとなく30歳になるまでに子供を産んでいると想像してたわたしだが、現実には夫婦で仕事に忙殺されなかなか出来なかった。

さらに薬を飲んでいると子供を作れない。


ごまかしてるだけの薬に頼るのが次第に怖くなった。そして、ある時、勝手にやめてしまった。

正直、焦っていた。早く元に戻らなければと。

薬に頼らないという選択自体は間違いではなかったと思うが、急にやめてしまったため、離脱症状にも苦しむことになる。

これが薬の怖いところだが、うつ病ではなく、急にやめたことによる薬の副作用で、一気に死にたくなった。

何度も電車に飛び込んだらと想像を続け、何をしても楽しみも何も感じられなくなった期間がしばらく続いた。

仕事どころではない。

ここでついに1年間休職することになった。

勢いで書き出して、思った以上にヘビーになった。思えばちょうど10年前の話なのだと気づく。節目だから唐突に吐き出したくなったのだろうか。それにしても、最後まで書き切れるのか、何もプロットも立ててないので、ゴールがどこかはわからないが、書けるとこまで書いてみようと思う。

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