見出し画像

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の感想!マリオが人間になった!!

面白かった!

なにより、全編通して映像的な快感で満たされていて、イルミネーションの本領が遺憾なく発揮されていた。

しかし物語の踏み込みがいまいち足りてなくて、それもまたイルミネーション映画らしい。これについては後述。

今作で1番好きなシーン

映像面以外での本作の1番の功績は、マリオをアイコンじゃなくて人物として描き直した点。なにより、マリオとルイージに家族を用意したのがデカい。マンハッタンに住むイタリア移民としてのマリオは新しく、しかし納得感もあってかなり良かった。
彼は家族(ルイージ)を大事にしていて、そして未だ何者でもなく、何者かになろうともがいている。

自室にて、I'm finishedの文字とともに暗くなったモニターに映り込むマリオとか、いかにもな演出があったりした。こういう演出大好き。

強大すぎるが故にどこか漠然としていたマリオというアイコンを、感情移入可能な一人物として描き直すことに成功した時点で、この映画はもう勝っている。

こんな兄弟好きになるしかない

そんなマリオと対をなすのがピーチ。彼女は既にお姫様として皆に認められている一方で、家系という文脈を持っていない。
また、血のつながった家族を持たないという意味ではマリオと対照的なんだけど、マリオの家は移民であって、元いた土地から離れているという点ではマリオとピーチは同質ということになる。この対照性と同質性が二人を引き合わせる。

惜しい点

しかし、彼女の内面が殊更に描かれることはない。
終盤でも、自分の故郷であろう世界に来た感慨などは特に描かれず、なんか勿体無い。

家族といえば、クッパの結婚願望も今作のテーマに繋がりそうなものなのに、この願望に関しては「そういうものだから」ってだけで、特に説明はなかった。マリオをアイコンから人物にした割に、クッパなど周囲の描き方が甘いなというのはある。そのあたりもうちょっと尺を使って描いてくれてもよかったと思う反面、そこまで腰を落ち着けて描いていたらこんなに気持ち良いテンポにはなっていなかったとも思うので難しいところ。

なのでそこら辺の話の部分は全部まとめて続編に期待したい。

イルミネーションにその辺りを期待する方が間違っているのだ、というのも一理ある

結論としては、イルミネーションの技術で映像化されたマリオ達が死ぬほど可愛かったので良い映画だと思った。

その他、細かな感想。

・字幕で見たんだけど、クリスプラットの声がめちゃめちゃマリオだった。ジャックブラックの声もめちゃめちゃクッパだった。

作中で流れるマリオブラザーズのCMが常軌を逸して良すぎた。頼もしげな顔でこっちを見てくるのが可愛い。引っ張っていくマリオと気弱なルイージの仲良し兄弟ってのが二人の仕草から伝わってきてとても良い。
あのCMに伴って、アイコニックな二人の衣装(デカデカとイニシャルの書かれた帽子とか)も「弱小配管工が自分達をアピールするための精一杯の工夫」として理解できるようになる。

好きなのでもう一回貼っちゃう

マリオがパスタのキノコを避けるのが可愛すぎた。また、それがフリになることで、特訓シーンで、ルイージを救うため苦手なキノコを我慢して頬張るマリオを応援したくなった。この2つのシーン本当に大好き。

・調子に乗ってるCMや、下水道を探索するシーンはゴーストバスターズ的だなと思った。舞台も同じマンハッタンだし。しかし内容的にはゴーストバスターズの真逆を行ってる。ゴーストバスターズは家庭に縛られていない個々人の都会的な繋がりの話。一方でマリオは家族の繋がりの話。(ゴーストバスターズといえば、本作にはルイージマンション要素もしっかり入っていた)

・特訓シーンが良かった。火の玉の連なった棒をくぐり抜けるタイミングが掴めないのはすげー分かる。
ピーチ姫がかつて訓練したのと同じルートをやるってのがゲーム的で良いよな。
(オープンワールドなんかではその特徴も薄れているけど)ゲームは現実世界の時間や場所に依らず他者と体験を共有できる。映画もそう。みんなで一緒に遊ぶことで体験を共有するのではなく、1人で遊んだ体験が何故だか共有できるってのが面白い。

・BGMもあいまって、スター状態でテンションぶち上がり。ここに限らず、全体通してBGMが最高。
話的には、「ルイージを守る」から「ルイージと守る」へと変化する熱い展開ではあるものの、冒頭で描かれたマンハッタンってそこまで守りたくなるような街かな?という気持ちにもなる。

・最後にMr. Blue Skyが流れてきて、否が応でもガーディアンズオブギャラクシーを連想した。
来週観に行くのが楽しみ。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?