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『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の感想。

1番の感想。

完っっっっ全にリック&モーティで笑った。じゃあこっから始まるフェーズ5と続くフェーズ6を通して、アベンジャーズはリックと戦っていくのか。

最初からリックアンドモーティだと思っていたわけじゃないけど、見終わった後、脚本家がリックアンドモーティの人だと知った瞬間に一気にパズルが組み上がって快感だった。
そうそうそう、蛍光色でベトベトでなんか陽気なエイリアン達が闊歩する宇宙に、マルチバース中から集まってきたマッドサイエンティスト達の会議、これ全部見たことあるじゃん!

感想

フェーズ4を通して徐々に熱量が下がっていって、ワカンダフォーエバーを見終わったときには、もうMCUを劇場へ観に行くのはやめようと思っていた。
それでもフェーズ5の開幕ということで、やっぱり最後に新章への門出を見届けてお別れにしようと見に行った。

前半は「俺が見たかった量子世界ってこういうことじゃないんだけどな」と失望しながら見続けていた。
量子世界って言うくらいだから「少し目を離した隙に、さっきまでそこにあったものがなくなってる……てかあれ?自分も居なくなってる!」ってくらいのめちゃくちゃな世界なんだと思っていた。
映画が始まってすぐスコット達が量子世界に吸い込まれたときには、「マジか、こっからずっと量子世界なの?大丈夫かな、観終わる頃には発狂しちゃうんじゃないかな」とかワクワクしてたのに、その実情はただのスターウォーズ的な異星の風景で、だいぶ拍子抜けだった。

しかし後半は結構面白かった。
あらゆる可能性のスコット達に唯一共通するのは娘を思う気持ち、みたいなアツい展開。
そしてアントマンとワスプが互いを観測し合うことで可能性を収束させるSF的にもアツい展開。
この辺りはニッコニコで見ていた。

ヒーロー達の別の可能性を見せるというのはワットイフやロキ、NWH、MoM等、フェーズ4からの流れだ(本当をいうと、フェーズ3のEGの過去巡りからその兆候はあった)。
これによって、今後ヒーロー達の設定の内、別のあり方もあり得た部分と、それしかない根幹の部分が腑分けされていくんだろう。何が彼らを彼らたらしめているのか、スコットの場合にはそれは娘を思う気持ちだった。
この流れがどこに繋がっていくのかが楽しみ。
あくまでアース616のアベンジャーズに焦点を絞り、彼らがマルチバースを統べるカーンを相手取る展開になるのであれば、この世界特有の設定が大事になってきそうだけど、NWHやロキなんかを見る限り、むしろ他の世界のアベンジャーズ達との共闘みたいな展開になっていきそう。そのときにはスコットの娘思いなんかの根幹部分が大事になる。(既にアベンジャーズという企画自体が他作品という違う世界の存在達の共闘であるのに、更にマルチバースを越えて共闘なんか始めたらマジでしっちゃかめっちゃかになる気しかしない)

フェーズ5,6のラスボスになるのであろうカーンも、今のところサノスほどの魅力はないにせよ、まあこれはこれで良い。

というかサノスもIWまでは偶に出てきて不敵に笑ってるだけの青いおっさんだったので、この時点でサノスより劣ってるというのはちょっと可愛そうかも。むしろフェーズ5の序盤から現場に出て働くカーンは偉い。

囚われた男を不憫に思っていたら、実はそいつが巨悪だったってのは好き。
しかし、今後もいろんなカーンが出てくるんだろうけど、その時に心配なのは、なんかバイキンマン的に予定調和に倒され続けるようになるのだけは避けてほしい。

予定調和と言えば、フェーズ5,6に対していまいち乗り切れない点がもう一つ。
まず前提として、僕はフェーズ1〜3の加速度的な盛り上がりと、最終的にサノスとの大決戦に臨むEGの感動は、映画史上初めてのものだと思っている。
しかしフェーズ4〜6は、観客達が既に1〜3を体験しているってのが辛いよなと思った。
歴史上初のビッグウェーブだったフェーズ1〜3と違って、フェーズ4〜6はいわば2波目で、それこそ波のように以前の波形から今後の盛り上がり方をある程度見積もれてしまう。

その他、細かな感想。

見に行った理由にはゴーストバスターズアフターライフのポールラッドが良かったからってのもあるんだけど、それに加えてスペシャルゲストとしてビル・マーレイまで出てきたもんだから、なんだか見透かされている感じがした。

翻訳こんにゃく、スモールライト、バイバインと、これもうドラえもんだろ。
って感想は、どちらかというとドラえもんのカバーしているSF領域がいかに広いかって話。

マルチバースや、ブラックパンサー2で描かれた植民地支配など、フェーズ4での前フリが今後しっかり回収されていきそうで安心。
ところでインド洋に急に現れた巨人(『エターナルズ』)についてここまで一切誰も触れてないけど、あれはどうなったんだ?

これにて一件落着?と一抹の不穏さを残してフェーズ5の第1作が終わっていった。陽気なアントマンだからこそ忍び寄る不穏さが効果的に効いている。

フェーズ1〜3に対してのフェーズ4〜6の辛さってのはもうどうしようもないので、フェーズ1〜3の奇跡的な成功に立ち会えたことに改めて感謝しつつ、それを工業的に再生産できる(と踏んでいる)marvelの凄みを確認する方向にシフトしようと思う。

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