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ライトハウス/ロバート・エガース監督

2021-08-19鑑賞

A24というアメリカのコアな製作・配給会社があるらしい。そういえば自分は「ミッドサマー」(アリ・アスター監督)を見逃しているし、ともあれ映画に製作会社名が冠される時代ではある。そのA24製作、ロバート・エガース監督(1983〜)の「ライトハウス」を見る。さすがにというか、地元のミニシアターにも情報感度の高そうな若者の姿が散見される。2019年のカンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞してもいる。
https://transformer.co.jp/m/thelighthouse/

ウエールズで1801年に起きた事件を元に、ニューイングランドの孤島で勤務に就く灯台守男二人の4週間を描いた映画で、舞台は1890年代となっている。はじめに気付くのは随分と狭い画面とモノクロフィルムで撮られた映像だ。ワイドが主流の映画館のスクリーンの半分ほどしか使われていない。

物語の最初から不気味な霧笛の音が鳴り響く。こちらからは何が起きているのかわからぬまま、無言のカメラは二人の姿を追う。初めて灯台守の仕事に就く若者イーフレイム・ウィンズロー(ロバート・パティンソン)と、年嵩で彼の監督者でもあるトーマス・ウェイク(ウィレム・デフォー)。開始早々も相当トキシックなマスキュリニティーでマウントを取るトーマス。男二人だけの孤島、灯台。これがこの映画の全てである。

映像は恐ろしく繊細で美しい。人はその美しさの中で狂気をはらむ。片目のカモメも主人公の一人(一羽?)ではあり、それはひとつの秘密と呪いに結びついているのだが、ある出来事が引き金となり「風向き」が変わり、大嵐のため迎えの船が来ないまま二人は孤立状態に置かれる。

内容はかなり複雑で、というのはその倒錯がウィンズローとウェイクどちらのものだかわからないからなのだが、だがそれは要するに「謎解き」をしても解明されないものでもある。二人が実は同じ名前を持つ人物であることが、物語の後半で明かされるのだが、思い返してみれば、一つひとつの会話が伏線として非常に丁寧に追い込まれており、その総体こそが物語であるという、ある意味完璧な人間ドラマではある。好きかと言われれば好きではないが、見れば「今」の世界が不思議と見えてくる、そういう映画である。

監督:ロバート・エガース  
出演:ウィレム・デフォー | ロバート・パティンソン

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