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ハウス・イン・ザ・フィールズ/タラ・ハディド監督

2021-06-12鑑賞

タラ・ハディド監督の「ハウス・イン・ザ・フィールズ」を見ました。
https://www.uplink.co.jp/fields/

モロッコの山奥で暮らすアマズィーグ族の姉妹の話。まなざしが写真のような映像だ。タラ・ハディド監督は写真家でもあるそうだが、とはいえ、逆に写真家が映画を撮ってもこういう映像にはならないのも不思議ではある。ちなみに建築家のザハ・ハディドは彼女の叔母にあたるそうだ。

アマズィーグ族は、数百年もの間「変わらない」生活を送っている。「女性は男性と同等に働く権利があるって。」少女ハディージャはモロッコ国王のその宣言を聞き、弁護士になりたいと思っている。彼女の大好きな姉ファーティマは、父親の意向で学校を辞め、会った事もない男性の家に嫁ぐという。「結婚するのが怖い。だけど義務だから」と。秋から冬、そして春から夏へ。アトラス山脈の山間部の美しい自然の中で、だが女性にとってはやはり厳しい生活のように見える。ラマダンが明け、姉ファーティマの壮大な婚礼の宴が始まる。

この映画はドキュメンタリーなのだが(ハディド監督は7年間も彼女らと生活を共にしたという)、どこか劇映画のようでもあり物語のようでもある。ハディージャは実時間から切り離され、自分自身を演じているようにさえ見える。小さいクルーでの撮影だという。撮影はハディド監督自身だそうだが、フォーカスはカメラにまかせ、それが人と人の間を抜けて行ったりもするのだが、そのまなざしがことのほか美しい。「伝統的な社会」とフレームの外のいわゆる「現代社会」とを行き来しながら、それが特異なリアリティーをもって私たちの目前に立ち上がる。

監督:タラ・ハディド

OUTSIDE IN TOKYOインタビュー
http://www.outsideintokyo.jp/j/interview/talahadid/index.html


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