ジェンドリン・シンポジウム、参加申込始まる

ジェンドリンの名を冠した、英語圏オンライン・シンポジウムの参加申込が始まりました。シンポジウムは、今年、2021年の4/8-4/11に開催されます。彼の哲学に関する研究を中心とした発表が行われる模様で、基調講演者が既に何人か決まっています。

1. シンポジウム申込サイト

シンポジウムの参加申し込みは、下記のウェブサイトにあります。

Saying What We Mean: A Symposium On The Works Of Eugene Gendlin (言わんとすることを言葉にする:ユージン・T ・ジェンドリンの業績についてのアカデミック・シンポジウム)

参加費は、世界各地域の経済状況に応じて、3段階が設定されています。


2. シンポジウム趣旨

ジェンドリンが逝去した翌年に、彼の哲学的業績を集めた論文集がアメリカのノースウェスタン大学出版局から刊行されました。論文集のタイトルは、日本語にするならば『言わんとすることを言葉にする:暗黙的な精密さ、そして応答的秩序』です。

Gendlin, E. T. (2018). Saying what we mean: Implicit precision and the responsive order: Essays by Eugene T. Gendlin (edited by E. Casey, & D. Schoeller). Evanston, IL: Northwestern University Press.

この論文集を共通テーマの一つのとして、「シアトル大学の心理学・哲学部門」が「国際フォーカシング研究所 (TIFI) のジェンドリン・センター」と協力して 、ジェンドリンの業績に関する研究をさらに進めるのが、シンポジウム開催の趣旨のようです。

論文集『言わんとすることを言葉にする』は、次のようなテーマの4つのパートからなっていて、各テーマにはそれぞれのテーマに沿った論文が収録されています。

a. 暗黙的なものの現象学
b. プロセス・モデル
c. プラトン、ハイデガー、カント、そしてウィトゲンシュタインの辺縁(エッジ)
d. 暗黙的なものを用いた思考


3. 基調講演者

シンポジウムの基調講演者に当初予定されていたのは、論文集編者で哲学博士のドナータ・シェラーだけでした。しかし、その他の基調講演者として、新たに以下の哲学博士が先頃追加されました。追加されたのは、エドワード・ケイシー、ロバート・シャーフ、ジェームス・リサー、エリック・セヴァーソンの4名です。

・ドナータ・シェラー (Donata Schoeller) 博士:
ドイツ語圏の哲学者であり、同時にジェンドリンの理論構築法「辺縁で考える (TAE)」の実践家でもある。ジェンドリンの哲学的主著『プロセスモデル』のドイツ語共訳者。ジェンドリンの論文集『言わんとすることを言葉にする』の共編者。ここ5,6年の間に、ジェンドリンの哲学に関する論文を多く発表している。彼女の論文においては、従来あまり議論されてこなかった、デューイからジェンドリンへの影響関係が集中的に論じられている。以下の動画は、フォーカシング実践家に向けた、彼女の講演の公式記録です。
Felt Sense: a beautiful yet misleading term

・エドワード・ケイシー (Edward Casey) 博士:
アメリカの大陸系哲学者。訳書に大著『場所の運命:哲学における隠された歴史』(新曜社)がある。ジェンドリンの論文集『言わんとすることを言葉にする』の共編者。以下の動画は、彼の所属校である、ニューヨーク州立大学ストーニー・ブルック校の公式チャンネルが公開した講演記録です。
Border vs. Boundary at La Frontera

・ロバート・シャーフ (Robert Scharff) 博士:
元々の研究テーマであるコントの実証主義の他に、実証主義との対比でハイデガーの技術論やディルタイの精神科学論なども守備範囲とした哲学者。90年代にすでにジェンドリン哲学に関する彼の論文が執筆・公刊されている。近年では、論文集『言わんとすることを言葉にする』への長大な書評、‘Gendlin’s experiential phenomenology of “saying”’が哲学の雑誌に掲載されている。

・エリック・セヴァーソン (Eric Severson) 博士:
元々の研究テーマは、エマニュエル・レヴィナスの哲学やそのユダヤ的な伝統。シンポジウム開催校である、シアトル大学の教員。国際フォーカシング研究所 (TIFI) が開催するオンラインセミナーの講師も行っている。以下の動画は、ボストン・カレッジLynch Schoolの公式チャンネルが公開したオンライン講演記録です。
Golem, Technology & Ethics with Eric Severson

4. 4月開催を楽しみに

以上のような盛沢山なシンポジウムの予告がされています。そういったわけで、シンポジウムが4月に開催されるのを、私は心待ちにしているところです。

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