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21世紀のオンライン教育(遠隔授業)

バリューイングリッシュというオンライン英会話を10年ほど経営しております。英語試験対策を強みとしており特に英検1級2次試験の合格者を多数輩出してまいりました。直近では、ミネルバ大学について興味を持ち調べました。10年以上オンライン教育(遠隔授業)に関わってきた経験を活かして、2020年のコロナウイルスのパンデミックで大きく変わろうとしているオンライン教育(遠隔授業)について考えてみます

なぜ、今まで学校に登校し、集団授業だったのか?

当たり前のことを問われると、なかなか答えに困ってしまうのではないでしょうか?なぜ、集団で授業していたのか?と聞かれたらなんと答えますか?

1つ大きな要因は、義務教育を提供するにはそうするしかなかったと私は推測しています。1人の教師あたり30人教えないといけないとするとどうしてもあの形式になると思われます。目的は、事前に決められた内容を決められたタイミングで生徒に伝えることです。

集団授業で教師・生徒に何が求められていたか?

集団授業では、生徒は、ある意味で膝の上に手を置いて正しい姿勢で静かに先生の話を聞くということが求められました。効率よく情報を伝播する、または生徒視点で吸収するには、よく話を聞き、しっかりノートを取ることが大切になります。教師の役割はわかりやすく授業を実施し、次の単元に移ったと時についてこれない生徒が出ないようにするためにみんな同じペースで進んでいることを確認する必要がありました。これは20世紀の大企業でも、言われたことを言われた通りに実行することが業務の主流であり、学校でのスキルが社会に出てからも活用できていた側面はあると思います。

オンライン教育(遠隔授業)は生徒の学びを変えるか?

オンライン教育が本格的に浸透すると、生徒にとって「教えられる(授業を聞くスキル)」ことが大切ではなく、「学ぶ(自ら問う)」スキルが大切になるという大きな変化が起きると予想されます。

今までは、与えられた課題を効率よく解くことが大切でした。例えば、ありとあらゆる試験は、ある意味で「それは試験に出ないよ」という部分を見極め、必要なことだけに集中することが学習効率を高め試験での高得点につながりました。これは"How"のスキルです。なぜこのスキルが価値を落とすかというと、"微分方程式の解き方を教えて”と適切な問いを投げれば、Googleや検索エンジンが探してきてくれるからです。

今後は、なぜ?と問うことから始めて、自分で調べ、検討し、知識として整理し、まとめることが重要度を大きく増します。また、グループでの討論会(グループでの授業)に向けて事前知識がないと参加できないので、自習する力が大切になってきます。

オンライン教育(遠隔授業)で教師の役割はどう変わる?

まず、「コンテンツを伝達する」能力は急速に価値を失う可能性があります。オンライン・オンデマンドで配信され、トップ講師以外の授業は著しく価値を失うということです。一方で、それぞれがトップの分野で勝負せざるを得ないので、コンテンツは多様化する。これに伴い、教師の大切な役割の1つは『良いコンテンツを見つけてきてその授業ビデオのリンクを生徒に共有』してあげることです。これは、学ぶべきテーマが決まればそれに適切なStudy Guideを設計し、提供してあげることと言えます。

2つ目に大切なことは、(個別)進捗管理と生徒の学習の動機付けです。義務教育で学ぶことは決まっているので、適切な順番とタイミングで生徒が学習を進めていることをフォローしていくことが大切になります。例えば2年生で1学期で学ぶべきことから遅れていないか?だけ確認できれば、あとはどんどん先に進む分に関しては生徒の自主性に任せておけばよいことになります。AIのサポートで知識の習得の確認などは各段に手間が減ると考えられます。なぜ、その科目を学ぶと良いのか?その魅力を伝えられるかどうかが学習の動機付けに大きくかかわってきます。また、躓いた時にそのポイントを理解し、適切なサポートを適切なタイミングで与えることが大切となります。

3つ目に大切なことは、ファシリテーションです。オンラインのツールで生徒が集団で集まる理由は何になるでしょうか?知識自体は、個別のビデオを見たり、プチテストを解いたりすれば集団でやる必要はありません。例えば、「地球温暖化」の理由は現在分かっていることを事前にStudy Guideとして与えられていれば各自が学んできます。その上で、なぜ地球温暖化がどんどん進むのか?どうしたら解決できるのか?などはみんなで意見を出し合うことで理解が深ります。このようなディスカッションをファシリテーションできる能力は重要度を増します。

オンライン教育でICTツールはどう変わるか?

マイクロソフトのSkypeやTeams、グーグルのHangout、Zoomなど遠隔授業のためのツールはかなりインフラが整ってきています。これらのツールでは、授業への貢献度(発言数、発言時間)を計測し、教師をサポートするちーるが今後は競争優位性になると思われます。ハードウェアに目を向けると、今後、PCはマイクやスピーカー、タブレット(ペン入力)などの重要度が急速に高まると予測しています。また、音声の読み上げ機能や、音声入力も特に小学校低学年で重要度を増すと予測されます。

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Gerd AltmannによるPixabayからの画像

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