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#023 屋外も”ルンバ”する時代が到来!ロボットで芝生の手入れを完全自動化するHusqvarna Automower 435X AWD

 【木村ヒデノリのTech Magic #023 】ついに本格的にロボットと共同生活する時代が到来した。ルンバなど、お掃除ロボットは一般にも浸透してきたが、芝刈りもロボットに任せることができるようになった。Husqvarnaハスクバーナ社は、チェンソーやトリマーなど農林・造園機器を作るスウェーデンの会社だ。325年の歴史を誇る老舗企業であり、最新機器から手斧まで幅広く手掛けている。

 手斧といえばハスクバーナというくらい有名なので、キャンプをされるユーザーの方が馴染みのある企業かもしれない。今回紹介するのはそんな同社が開発し、密かに全国の企業で導入されはじめているロボットの最新型だ。その実用性は折り紙付きで、芝刈りを新しい視点で解決してくれるものだった。記事で紹介するものは業務用途のもので高額だが、コンシューマー向けのモデルもラインナップされている。家庭で使用したい方向けに最後に紹介するので気になる方はチェックしてほしい。

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ハスクバーナ製ロボット中唯一の四輪駆動タイプとなる435X AWD

ルンバを彷彿させる実用性は必見

 生活を豊かにしてくれるロボットといえば、真っ先に思い浮かぶのがルンバだ。それ以外はロボットというより家電の延長だったり、あまり実用的でなかったりする。例えばGROOVE Xグルーブエックス社のLOVOTらぼっとはかなり売れているが、どちらかというとペットのような立ち位置のロボットだ。何かしらの持ち主の代わりに家事をやってくれるわけではない。対して実用的なものとなると、Qrio LockキュリオロックHueヒューなど、用途特化したものがほとんどだが、これらはロボットというよりもIoT家電というのが適当だろう。

 何をもってロボットと定義するかは難しいところだが、本稿では「ある程度の裁量をもって自律的に行動し仕事をしてくれるもの」としておきたい。行動というところがポイントで、人間が動かなくても広範囲にわたって行動し、家事を代行してくれるのがロボット足るに欠かせない要素だろう。この点から見るとルンバの完成度はかなり高いが、芝刈りを同等レベルで自動化してくれるのがこの435X AWD(以下、435X)だ。「ロボットでなんてちゃんと刈れるの?」と疑問に思う読者は多いだろうが、少なくともルンバのUXと同等以上の体験を提供してくれる。そんな驚きのコンセプトや機能を解説していこう。

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面積や刈高、傾斜面で様々な機体がラインナップされている
(※今回紹介するのは一番右の435X AWD)

芝を刈るのではなく、伸ばさないというコンセプト

 電動芝刈り機というと手押しで刈った芝を袋に溜めていく、というのが一般的だろう。そんな中本機が画期的なのはその常識を覆してくるところだ。ハスクバーナの芝刈りロボットは芝を回収せず、剃刀くらいの薄い刃で微細にしながら処理していく。刈られた葉は微細なため、落ちて土に触れ、微生物に自然分解される。このため毎日稼働させてもユーザーが芝を回収する手間はゼロになるのだ。

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カミソリのような刃で土に触れるくらい細かくカットし、
微生物に分解させてしまう構造

 芝を回収する必要がないので、本体サイズもコンパクトにでき合理的だ。通常であれば手押し式の延長として考えてしまいそうだが、最初から使う側の視点に立った設計がされておりこの点はかなり好感がもてた。導入時に芝や雑草が伸びてしまっている場合は一旦手動で刈らなければならないものの、導入後の手間はほぼないというのがとても実用的だ。

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一度短く刈って導入すれば毎日の稼働で綺麗な状態を維持できるのが画期的
(手動で手入れ手前、と435Xで手入れ奥)

芝の成長に合わせた手入れができるなど、ハイスペックな機能を余すことなく搭載

  天候や季節に合わせて自動で手入れしてくれるのも素晴らしい。モデルによるが、同社製品には「天候タイマー」という機能が搭載されており、芝生の成長に対して作業時間を調整し、成長期に自動で芝刈り時間を最大化してくれる。逆に、シーズン後半は時間を削減してくれるので、芝生と製品双方の消耗を低減してくれるというから驚きだ。ここまで自動化できるのであればロボットに任せる意義が出てくる。痒いところに手が届く仕様も300年以上の歴史から紡ぎ出されるものなのだろう。

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スケジュールをはじめ、どのくらい動いたか、トラブルはあったか、
なども全てアプリで管理できて便利

 前述した表に記載しているモデルはどれもスマホアプリ[Automower®︎ オートモアConnectコネクト]に対応しており、スマホから毎日のスケジュールや刈高を設定できるほか、ベースに戻れなかったり、持ち上げられたりなど、異常があった場合でもリアルタイムに通知が来るようになっている。Bluetoothのほか、3G通信も備えているので盗難追跡ができ、防犯面でも強い。ここまでハイスペックな機能を搭載するにも関わらず、本体は全天候に対応しており、本社所在地である北欧の過酷な気候にも耐えるように設計されているのも運用上の安心を担保してくれてるだろう。

四駆ならではのパワフルな走行も必見

 さらに435Xは他のモデルと違い四輪で駆動する。これによって刈高や充電回数に不利な点が出てくるものの、傾斜角70%(約35°)まで対応できる。庭なら平坦で角度は関係ないかもしれないが、業務用途だとかなりの起伏が予想される。通常モデルは20°弱とそれでもかなりの傾斜に対応しているが、35°は驚愕だ。実際に今回は筆者が関わっている団地の芝生で2ヶ月ほど実験したが、かなりの角度をギリギリまで綺麗にしてくれる。やはり二輪と四輪の差はかなり大きく、アップダウンの激しい状況では選択肢として唯一無二のものだろう。

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35°まで対応できるのは四駆ならではで業務用に適している

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今回試験導入に協力してくださった西武緑化管理(株)の杉山さん
オートモアはガイドケーブルを地面に埋め込む必要があるが、
西武緑化管理では専用の埋設機を用意しており、
手動の数十倍効率よく施工を終わらせてくれる

芝刈りを完全に自動化してくれる素晴らしい完成度

 繰り返しになるが、実用性を考えると435Xは他に追随を許さない完成度となっている。業務用途として盗難や故障のリスクがあるので、保守管理も含めたリースやレンタルにした方が良いかもしれないが、一軒家に広い芝生をお持ちの方は人工芝よりも自然芝プラス芝刈りロボットをおすすめする。今回とは違い、起伏が少ない場所であれば二輪モデルでも十分。さらに作業エリアが600m2以下であれば価格も10万円代(ガイドワイヤーは別途)とコンシューマーが導入を考える際も現実的な価格となっている。

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105はエリアが狭いものの、安価になっておりコンシューマーでも導入できる

 ニューノーマルが浸透していく中、郊外に広い家を買い、リモートで働くというスタイルも増えていくだろう。そんな際は広い家を自ら丹念に手入れするのではなく、ロボットなどで自動化して手動作業がない、新しいライフスタイルを目指すのも面白いのではないだろうか。

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