NPOの監事にも役立ちそうな「KAM」とは

『月刊監査役』No.754号2023年9月25日号を読んでいたら中村慎二弁護士が執筆された「KAMの歴史、現状そして展望~KAMは常に進化を続ける~」という記事を発見しました。これは結構NPOにも役立ちそうだなと思ったので共有させていただきます。

KAMとは

KAMとは「Key Audit Matters」の略で、「監査上の主要な検討事項」という意味だそうです。
余り詳細はここには書きませんが、特に上場企業における会計監査について、(金融商品取引法上の)監査報告書の中で以下のことを記載するというものです。2021年3月期から上場企業に強制適用になっているそうです。

①監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由
②監査上の対応

事例分析レポート

ちなみに、強制適用は2021年3月期に開始しています。そして、この分析を日本公認会計士協会の分析チームがされており、公表しています。

かなり長い報告書なので全部は目を通せていませんが、特にp17の「KAM とした理由」などは、監査の際の検討の上でも役立ちそうです。

NPOに役立つか

このようなメリハリをつけて監査をするという考え方は、リソースが少なく何に優先順位をつけるかの判断がシビアになるNPOにでもかなり有益な考え方なのかなと思います。
他方、監事にとっては、より深い事業理解が求められることになり、ハードルが高くなるかもしれません。ただ、よりNPOの活動をしっかり支えるためには、このような活動が監事には求められるのかなと思います。
このKAMは、今は上場企業でも始まったばかりであり議論の蓄積もほとんどありませんが、NPOや非営利セクターにおいてこのような議論が当たり前になれば、多くの公益的な活動がより「安全に」運用できるのではと考えています。


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