【書籍】『致知』2023年12月号(特集「敬、怠に勝てば吉(きつ)なり」)読後感
致知2023年12月号(特集「敬、怠に勝てば吉(きつ)なり」)における自身の読後感を紹介します。なお、すべてを網羅するものでなく、今後の読み返し状況によって、追記・変更する可能性があります。
巻頭:福地茂雄さん「時間は待ってくれない」p2
「時間」は増やすことも借りることもできない、「いま」は既に過ぎ去った過去である。言葉では時間は大切といいながら、何となく時間を過ごしていないだろうか、ということを改めて反省させられます。厳しいお言葉です。その瞬間瞬間に決めていく、そのことを改めて知らされました。この瞬間瞬間に感謝し、生きていくことの大切さを改めて誓ったところです。
会社に置き換えると、経営戦略における「時間」の価値に焦点を当てていると思います。ここでの主張は、「時間」が他の資源(「ヒト」、「モノ」、「カネ」)と異なり、増やすことができず、一度過ぎ去れば取り戻すことができないという点です。この観点から、経営判断において「現在」を重視し、迅速な意思決定の重要性を強調しています。
「ヒト」の価値と時間管理
人材育成の観点では、企業は研修や教育を通じて従業員のスキルアップを図ることができます。これには時間が必要ですが、投資した時間は、長期的に見れば企業の生産性やイノベーション能力の向上に寄与するでしょう。採用の観点では、新しい人材を採用することで、企業は新しいアイディアやスキルを取り入れることができます。これもまた時間を要するプロセスですが、適切な人材の採用は企業の将来に大きな影響を与えるでしょう。「モノ」の価値と時間
例えば新製品や技術の開発は、企業にとって重要な投資です。研究開発には時間がかかりますが、成功すれば市場での競争力を大きく高めることができます。「カネ」の価値と時間
企業は資金を調達することで事業を拡大したり、新しいプロジェクトを始めることができます。資金調達には時間がかかることもありますが、適切な資金管理は企業の成長に不可欠です。「時間」の固有の価値
時間は増やすことができない限られた資源です。企業は効率的な時間管理を行い、各種資源を最大限に活用する必要があります。経営においては、状況が刻一刻と変化します。このため、迅速な意思決定が求められます。過去にとらわれず、現在の情報に基づいて決断を下すことが重要です。経営判断と「現在」の重要性
「現在」というのは、実際には過去になってしまうという考え方は、経営の迅速性を求める現代のビジネス環境において特に重要です。決断を先延ばしにすることは、機会の損失につながる可能性があります。時間の「運用」と戦略
時間を効果的に使うことは、経営戦略において極めて重要です。適切な時間管理と効率的なプロセスは、企業の成功に直結するでしょう。
リード:藤尾秀昭さん 特集「敬、怠に勝てば吉(きつ)なり」p10
私もいろいろな方に出会い、そこからの学び、そして自分自身の学びも種々の形で実践していますが、果たしてしっかりとできているだろうか。また、自分自身、人事の立場からしっかりできているだろうか、ということを改めて感じます。
少し人事の立場で考察してみると、従業員のモチベーションと組織文化の重要性を強調したいと思います。敬意を持って仕事に取り組む態度は、怠慢を克服し、ポジティブな結果をもたらすことを示しています。逆に、怠慢が支配すると、個人のパフォーマンスはもちろん、組織全体に悪影響を及ぼし、最終的には失敗や滅亡につながる可能性があります。これは恐ろしいことです。
改めて、以下の点をしっかりと考えていきといと思いました。
・継続的な学習と成長の促進
従業員が自己成長の機会を求め、常に向上心を持って仕事に取り組む環境を作ることは、組織にとって不可欠です。これには、研修プログラムやキャリア開発の機会を提供することが含まれます。
・敬意を基盤とした組織文化の構築
社員が互いに敬意を持って接する文化は、協力とチームワークを促進し、組織の成功に寄与します。このためには、上層部から敬意を示し、それが社員にもしっかりと浸透するよう努める必要があります。
・ポジティブな影響を与えるリーダーシップ
リーダーが敬意と熱意をもって行動することで、従業員はその姿勢を模倣し、組織全体の姿勢を高めることができます。リーダーは、敬意を示すことで、他者を導き、影響を与える役割を担います。
・清潔で新鮮な心の保持
人事としては、従業員のウェルビーイングやメンタルヘルスに注意を払い、ストレスの少ない環境を維持することも重要です。これには、適切な休息やリカバリーの機会を提供することが含まれます。
・良い教えと良い言葉への露出
人事部門は、価値観やビジョンに基づくコミュニケーションを行い、従業員が組織の目標に対してポジティブな関係を持てるようにする責任があります。
従業員が自分自身に対しても組織に対しても敬意を持つように促し、怠慢を排除することで、持続可能な成功を確立するためのキーとなるのでしょう。強く認識させられました。
お天道様は見てござる 木村光伯さん p38
2006年に28歳で木村屋總本店の七代目社長となった木村光伯氏と、その経営哲学について述べられています。木村氏は、4期連続の赤字から企業を立て直し、2019年には創業150周年を迎えるほどの成功を収めました。この成功の背景には、単なるビジネスノウハウを超えた哲学があるのでしょう。
木村氏は、人間の弱さや他責にする傾向について触れています。「自己規律の重要性」を強調しています。木村屋の創業は、明治初期に茨城県出身の武士が江戸に移り住み、パンという新しい食文化に興味を持ったことから始まりました。これが、今日の木村屋の基礎を築いているのでしょう。
タイトル「お天道様が見てござる」は、2006年に4期連続赤字になった際に、中條高德さん(アサヒビール株式会社名誉顧問:2014年死去)から教えてもらったとのこと。私も大好きな言葉です。どんなに辛いめにあっても、お天道様は見ていてくれる、逆にお天道様が見ているのだから、どんな隠しごともできません。
ここからわかることを考察してみます。
・自己認識と自己改善の重要性
木村氏は、「お天道様が見てござる」という言葉から、自分の弱さや責任回避の傾向を認識し、それに対処することの重要性を学んでいます。これは自己改善と自己認識の重要性を示しています。
・敬と怠の「バランス」
木村氏は敬と怠の概念を陰陽に例えています。これは、人間の性質において、尊敬(敬)と怠惰(怠)の間のバランスを見つけることが大切であることを示しています。敬が怠を上回る(勝つ)ということは大切ですが、そのバランスも大切とのこと。敬が怠をはるかに上回っていたらどうなのか、それは、バランスが良いとはいえません。
・持続的な学びと成長
木村氏は、失敗や挑戦を通じて成長する過程を強調しています。また、仕事への没入とそれによる楽しさや成長を感じることが、仕事の質を向上させることにつながると述べています。没入と楽しさ、こうありたものです。
・革新と伝統の統合
新しい形のあんぱんや新ブランドの設立に取り組むことで、木村氏は伝統を守りつつも革新を進めるバランスを取っています。これは、伝統的な価値を保ちながらも、時代に合わせて進化することの重要性を示しています。これがなかなかできない企業は意外に多いものです。
・社会的な責任と伝達
木村屋の使命を「食で感動を繋ぎ、幸福の輪を広げる」としており、これはビジネスにおける社会的な責任と、その影響力を次世代に伝える意義を強調しています。本業で社会的責任を果たす、それが一番の近道です。
個人的な成長、仕事への取り組み方、社会的な責任、そして伝統と革新のバランスに関して、深い洞察を提供してくれており、自分自身に当てて考えると大変参考になる記事でした。
チームづくりの要諦は人間学にあり 森林貴彦さん、佐藤芳子さん p52
慶應義塾高等学校野球部の監督・森林貴彦氏と、金蘭会中学校バレーボール部の監督・佐藤芳子氏は、「致知」にて部内木鶏会を実施、それぞれのチームで素晴らしい成果を上げています。チーム作りにおける人間学の重要性と木鶏会への熱意が語られており、最終的に競技の成果を決定するのは技術や体力ではなく「人間力」であるとされています。対談には互いの尊敬と熱意が溢れ、両監督の人間性とリーダーシップが感じられます。まさに「人間学」の原点を感じるところです。
慶應義塾高等学校野球部、金蘭会中学校バレーボール部、それぞれが素晴らしい成果を出されています。それを支えるものは何か。どんな強豪であったも「怠」の瞬間はあります。だれでもそうでしょう。しかし、常に「敬」が勝つようにすること、そのことを意識する必要があります。それを継続できるということが、最も大切であり、一生モノの人間学としての価値があるのでしょう。教育者やリーダー、または個人の成長を目指す人にとって、有益な教訓を含んでいると感じました。
・継続的な成長の重要性
何かを達成した後に満足してしまい怠けるのではなく、常に成長し続ける姿勢が大切です。成功した後も、さらなる成長や目標を求めることが重要です。
・怠けの結果は何なのか?
成功後に緩むことは自然なことかもしれませんが、それによって怠けが生じ、結果として悪影響を及ぼすことがあります。貴重な道具を大切に扱わなくなるなどは、怠けた態度が問題を引き起こすことがあります。
・感謝の精神
成功後も「謙虚さ」を保ち、達成できたことへの感謝の気持ちを忘れないことが大切です。この文章では、怠けることと感謝の欠如が関連していると指摘されています。
・指導者の役割は何たるか
指導者や教師は、生徒や部下が成功後に怠ける傾向にある時、厳しく叱って正しい方向に導く責任があります。この文章の中での佐藤先生の行動は、そのような指導者の役割を示しています。
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