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【書籍】『致知』2023年8月号(特集「悲愁を越えて」)読後感

 致知2023年8月号(特集「悲愁を越えて」)における自身の読後感を紹介します。なお、すべてを網羅するものでなく、今後の読み返し状況によって、追記・変更する可能性があります。

 今回は「悲愁を越えて」がテーマ。「悲愁」とは「悲しみに深く心が沈むこと。 悲しみとうれい。」という意味。誰にでも経験があることと思います。できるだけ忘れるようにするということも一つではありますが、一方で、悲愁に真摯に向き合うということもまた大切であります。改めて、このようなテーマを与えられることにより、多くの学びを得られたところです。多くの事例は、自身も経験する可能性は少ないであろう、尋常ではない、非常に厳しい状態に置かれ、悲愁に見舞われているわけです。その状態をいかに乗り越えていくか、多くのヒントがありました。いくつか、私自身が気づいた点をピックアップしてみたいと思います。


巻頭:數土文夫さん「士は以て弘毅ならざるべからず」 p2

 「士」とは、道に志し、学問・修養につとめる人です。また、「弘毅」とは、度量が広くて意思が堅固であること。このような人材が不足しており、内村鑑三氏の『代表的日本人』にを読み直すべきとのこと。早速私も読み直してみたいと思います。

 内村鑑三が世界に紹介した代表的日本人は、鷹山の他に西郷隆盛、 二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の計五人です。 なぜ彼らが選ばれたのか。 内村の念頭には四聖、つまり釈迦、キリスト、孔子、ソクラテスの姿があったのではないかと私は考えます。 内村の選んだ五人はいずれも私利私欲から離れ、自ら悟った天命に従い生涯にわたり道を追い求めました。 そして『論語』を熟読し一様に仁の人でした。 彼らこそは、まさし人間のあり方を説いた四聖の理想に適う人物といえます。
 失われた三十年に生きる現代の日本人は改めて内村鑑三の 『代表的日本人』を読み直し、この現状といかに向き合うべきか自問してみてはいかがでしょうか。

『致知』2023年8月号(p3)より引用

 

リード:藤尾秀昭さん 特集「悲愁を越えて」p8

人の世は悲しみの海である、とはよく言ったものだ。人の数だけ悲しみがある、とも言える。 この世に悲しみと無縁人は一人もいない。
では、人生の悲愁をどう乗り越えていくか。本号にご登場の人たちの生き方から、自分なりの解答を探し出したい。

一つは石川不二子さんの短歌である。

しずかなる悲哀のごときものあれど
われをかかるものの餌食となさず

悲哀の感情に狎れることに喜びを見出す人もいるが、悲しみの中にどっぷり浸かって、自分を悲しみの餌食にしてはならない、ということである。

もう一つは、弊社刊『1日1話 読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』の三月三十日に収録されている玄侑宗久さんの言葉。
《すべてのことは自分が何かを学び、深まるために起こる》

先達の言葉を噛みしめ、人生の悲愁を越えていきたい。

『致知』2023年8月号(p9)より引用

 「人の世は悲しみの海」確かに人の数だけ悲しみがあります。そして、同じ人でも、また違った類いの多くの悲しみがあるでしょう。私もさまざまな悲しみに会ってきたという覚えはあります。しかし、人の世そのものが悲しみ海だとすれば、それを避けることはできません。その中でどのように生きていくかということが非常に大切になってきます。

 例に挙げられたお二人(石川不二子さん、玄侑宗久さん)の言葉はまさに学びが多い言葉であり、心に。止めておく必要があろうと思います。石川さんの言葉は、悲しみの「餌食」になってはいけないということであります。悲しみが自分が中心となってしまってはいけないということを指し示しています。

 そして、玄侑宗久さんのお言葉。「すべてのことは自分が何かを学び、深まるために起こる」とのこと。悲しみも起こるべくして起きたもの。従って、それをどのように扱っていくかというのを、自分自身でしっかりと受け止め、考えていかなければならないということにもなります。

奇跡を起こす心の法則 井上裕之さん p26

そんな人生の第二の逆境の時を支えてくれたのもやは賢者、先人の教えでした。ちょうどその前から私は思想家・中村天風師の成功哲学を熱心に勉強しており、著書『1日1分中村天風』(青春文庫)を上梓したばかりでした。特に私が心を励まされたのは、次の師の言葉です。

心というものは厳粛に言うと、
生きるために使うので、
使われるためにあるんじゃないんだから、
これ忘れちゃだめだよ

妻の病気のことは確かに悲しいことだ。しかし、悲しみや怒りなどの感情に振り回されて、心に使われてはいけない、心は人生をよくしていくために自分自身で使っていくものなんだ―改めて天風師にそう教えられ、病気は家族の絆をつくるための大事な出来事なんだと、気持ちを前向きに切替えることができたのです。これまでの人生を振り返ってみると、冒頭に述べたように、 人生逆境からしか学べないという思いを深くしています。

『致知』2023年8月号(p30)より引用

 井上さんが、ドライブをしている最中に奥様とお子さんが乗せていて、事故に遭ってしまった結果、奥様は長らく病院の生活になってしまったというものになります。まさに「死」という可能性もあるという中で、「悲愁」というのを感じたところでしょう。

 しかし、井上さんは諦めることなく。実行していた。そんな状況というのはなかなかないと思いますが、実際に悲愁にあった際に、中村天風先生も、「心に使われてはいけない、心は人生をよくしていくために自分自身で使っていくもの」ということ。心は「使う」ものとのことです。ともすると心に潰されてしまうということがあるでしょう。自分が何をすべきかということをしっかり考えるということが重要であるということを改めて認識させられます。

どんな逆境にもポジティブスイッチは見つけ出せる 澤邊芳明さん p36

ですから、学んだことは「必ず「道はある」ということ。全く道がないように見えても必ずある。だから諦めてはいけないんです。
(中略)
まず大事なのは「ネガティブに浸り切る」ということです。人間、いきなりポジティブにはなれません。 しばらくは悶々としている(笑)。 その中で一つでも、これだったら頑張れる、という対象を見つけて没頭すればいい。怪我をしてもコロナで困っていても、何かに没頭できれば、ネガティブにはなりません。逆に退屈だと心に穴が開いてしまう。人間がネガティブになる一番の原因、問題は退屈であることなんです。
 もう一つは、解決できない難題、悩みに延々と囚われるのではなく、答えがある課題を探して解決していくこと。私がパソコンを習い始めた時のように、元通りにならな体を治そうとするのではなく、目の前の課題をクリアして未来で取り返すんだと考える。こうした体験を踏まえて、私は「人生は必ず取り返しがつく」ということをお伝えしたいんです。
 怪我をしない人生も楽しかったでしょうけど、それは普通の楽しさ。起伏があって大変でも仕事に熱中しているいま、この人生のほうが遥かに楽しいですね。

『致知』2023年8月号(p37)より引用

  澤邊さんは、高校を卒業した18歳の春休みにバイクで交通事故に遭われます。そして頸椎が動かないということで、障害者になってしまいます。その望感というのは計り知れないものがあるでしょう。しかし、その中で。学校に入り、そして学生で起業をし、会社を大きくして行くわけです。これだけでも素晴らしいことです。会社もかなり成長しました。

 しかし、コロナ禍で、仕事が減っていく状況がありました。その中でまた会社が倒産をするという可能性もあったわけです。その中で。澤邊さんのことを聞いて非常に感心したのは、「ネガティブに浸りきる」ということです。これはかなり衝撃的でした。通常はネガティブであるということをできるだけ避けようとするわけですが逆に「浸りきって」しまう。なかなかその状態を受け入れるということは難しいものですが。この状態になっていけば、光が見え、今回のテーマでもある「悲哀を越える」ということにも繋がるのかも知れません。

病気にとらわれず、今やれることをやりましょう 米澤佐枝子さん p43

病気でも人間関係でもなんでも、目の前のことに苦しんでいる生徒たちには、相手や物事を変えようとするんじゃなくて、自分を変えたら何か変わるかもしれないよって言うの。人生は修業なのだから、どんな出来事が降りかかってきても、そを乗り越えようと努力することが大事。どうしても乗り越えられなかったら、ひとまずそこに置いておく。そうして今自分ができることをやっていくうちに、気づけばそこに置いていたものが解決していることって結構あるし、解決しなくてもその場に置き続けておけばいい場合もある。
(中略)
さっきも言ったけど、何も悩みや苦しみを抱えていない人は一人もいません。笑顔で元気そうにしている人でも、聞いてみると壮絶な人生を歩んでいたりして、私のがんなんて大したことなかったと思うくらい。人生には泣きたくなるような出来事もあるけれど、でも生きていれば絶対いいことはある。だからマイナスな言葉を出しちゃ駄目よ。絶対によくなると思ってやっていたら本当によくなるから。
(中略)
大切なのは、今、今。いくら先のことを憂えても仕方がないから、今やれることを一所懸命やっていくこと。

『致知』2023年8月号(p43)より引用

 米澤さんは40代でがんが発見されるという、ショッキング境遇があったわけです。しかし、それを乗り越えるにはどうしたらよいかというヒントが、たくさん詰め込まれています。

 その中ででも、「ひとまずそこに置く」というのは、非常に大事なところだと思います。まずはニュートラルな視点に立つということでしょう。放っておくと解決したという経験は誰にでもあるはずです。だから置くというのも大切だと思います。
 また、よく言われるように、相手を変えることは困難であるから、自分が変わること、それが重要だと思います。そして自分ができるということをやるということも、意外に忘れがちでありますが重要なことと思います。「昨日よりも今日一歩進んでいる」という感覚が非常に大切です。



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