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人事・経営支援関連

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私の経営・人事支援関連の記事です。
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#社員

「人事課題を解決したい」企業の方に対し、私がお尋ねする観点

 私は、地方企業様の人事課題の解決支援の活動をしています。その際、経営者の方、担当の方とも多くのコミュニケーションをさせていただいています。その際、話題として、人事関係(制度等)の話はもちろんですが、基本的な経営の状況の話もさせていただいています。  最近でこそ、「人事は経営の根幹の一つ」という経営者の方も多くなってきました。総論としては理解されているものの、なかなか深く突っ込んで議論をするのは苦労します。とはいえ、最初から「サーベイシート」のような、こと細かい資料を使って

組織の結束力を高める戦略ー社員間のつながりを深めるアプローチ

 社員間のつながりを深めるための取り組みは、組織の生産性とイノベーション、そして社員の満足度とエンゲージメントを向上させるために重要です。私の長年の人事経験から学んだことを踏まえ、以下に詳細な考察を展開します。 組織構造と文化の再考  組織構造と文化が社員間のつながりに大きな影響を与えます。一般には、フラットな組織構造は、コミュニケーションの障壁を減少させ、部門間の協力を促進します。クロスファンクショナルチームを積極的に活用することで、異なる専門知識を持つ社員同士の交流が

変化に強い人材になるためのリスキリング:個人編ー後藤宗明氏

 Aoba-BBTの番組後藤宗明氏による「リスキリングのステップ(個人編)」というテーマです。今回は、「リスキリングのステップ 個人編」と題し、従業員がどのようにリスキリングを進めていけば良いかについて、具体例や詳細な情報を交えながら解説されています。  後藤氏は、リスキリングに関する以下の書籍を出版していますが、こちらも非常に参考になります。  リスキリングは、単に新しいスキルを身につけるだけでなく、変化の激しい時代を生き抜き、キャリアアップを実現するための重要な手段で

組織内ポテンヒットー不明瞭な責任のリスクとその対策

 ポテンヒットは、野球で使われる用語で、内野と外野の間など、守備陣が思わぬところにボールが落ちてヒットになることです。たまに見かけることもあるでしょう。  組織内でも、責任の所在が不明確で放置されがちな仕事、すなわちポテンヒット状態が生じることがあるでしょう。この問題に対処することは、組織運営において避けて通れない課題です。この問題は、表面的には些細なものに見えても、放置することで組織に大きな損害をもたらす可能性があります。私も長年の経験で、ポテンヒットのような問題を的確に

働く喜びを創出する: 全社員が輝くための多角的な人事戦略

 社員が会社の成長に関心を持っていないと感じる場合、それは組織として大きな問題です。組織の成功は、個々の社員の貢献に大きく依存しています。従って、人事の立場からは、社員のエンゲージメントとモチベーションを高めるために多面的なアプローチが必要とされます。 会社のビジョンや目標の共有  会社のビジョンと目標を明確にし、それを全社員と共有することは極めて重要です。会社のビジョンは、社員がその日々の業務が組織全体の目標にどう貢献しているのかを理解するための基盤となります。この過程で

組織力の源泉-他人の力を借りること

 「他人の力を借りる」ということは、個人の成長と組織の発展の両方において、非常に重要な役割を果たします。私も長期間人事に携わり、毎日のようにこの場面を見てきましたし、自分自身もそうなっています。これは組織内の様々な場面で顕著に現れます。個々の能力を最大化し、チームとしてのシナジーを生み出すためには、他人の力の活用が不可欠です。以下に、人事の立場から見て、他人の力を借りる重要性とその具体的な活用方法を述べます。 1. タレントマネジメントにおける他人の力の活用  組織内で個

中途採用の新潮流ーリファラルとアルムナイ採用戦略の革新

 中途採用市場の拡大に伴い、従来の採用方法に変革を求める動きが活発化しています。特に、リファラル採用やアルムナイ採用といった新しい形式の採用戦略が、企業と求職者双方の間で高い評価を受けています。これらの戦略は、人材の質の向上、採用コストの削減、組織への迅速な適応といった複数の利点があります。日経ビジネスの2024/03/29の記事『富士通、社員の仲介で400人採用 「ネオ縁故」はコスト低く定着率向上』を読み、改めてその重要性を認識したところです。 リファラル採用の進化と実践

研修プログラムの最適化ー組織と個人の成長を促進するためのアプローチ

 社内研修は、企業の成長と競争力の強化に不可欠な要素ですが、しばしば社員にとっての負担や「やらされ仕事」と感じられることがあります。これを変えるためには、研修プログラムを戦略的に設計・実施することが求められます。社内研修をより効果的にするための詳細な戦略を展開し、それらを実行する上での考慮事項を掘り下げてみます。 研修の目的と内容の明確化 目的の共有とビジョンの明確化  研修の究極の目標は、社員のスキルセットの向上と、それによる企業の業績向上です。このビジョンを明確にし、

人事戦略のパラドックスー非効率性を取り入れた効率と人間性の融合

 「効率」ばかりが追求されがちではありますが、「効率が全てではない」という考え方もまた重要です。私の長い人事業務経験から、非効率でも価値がある場面や、そうしたアプローチが顧客(この場合は社員や求職者)にとってどのようにプラスや魅力となるかを考察してみます。 1. 採用活動における「非効率」の価値  採用プロセスにおいて、効率を重視しすぎると、候補者一人ひとりの特性やニーズに対応することが難しくなります。例えば、面接の際に時間をかけて個々の候補者と深く話すことは、非効率に見